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2-2

 あれから部隊の編成だとかなんだとか説明があったり部屋を移動したりしたが、なりたくてなったわけではないので魔王の全てがメンドイ。……しかし、それも左近にステータスを見せるまでの話だった。


「なん、だとっ!?」


 数時間前、俺の言った言葉が繰り返されるが、今度も俺が言ったわけではない。左近だ。ステータス板を舐め回すように見ている。


「どや」

「始めて見ました…。チーターなんて」


 あ、そっち?俺がキョトンとしていると、左近は俺に突き出すようにステータス板を返した。左近のチーターのイントネーションが違う気がするのは気のせいだろうか?


「あ、チーターって【表世界】のネコ科の動物じゃないですよ。チートを持った方のことを言うチーターです」

「なるほどっ!」


 ということは俺は最強なのか。そういうことなのか。うっひょーい。


「反応、魔力、素質は最高ランク…そして回避不可能な技を繰り出せる雷属性。さらにさらに魔王の契約特典で、全ての属性がそこそこ使えるようになっている……。まさにチーターの名に相応しいです、魔王様っ」

「そんなにスゲーの?」

「神にだってなれますよ!」


 左近は興奮気味に言った。実は俺も素直に嬉しい。なにしろ昨日左近は『神になったらあっちの世界からてきとーな人間呼び出して、代わりに魔王やらせて、自分が勇者になっちゃえばいいんじゃないですか?』という提案をしていたからだ。

 神になったら勇者になれる。そしたら女子にチヤホヤされる。…結局はこういう狙いである。


「じゃ、じゃあ神になるにはどうすればいい?」

「えっと…【力】は十二分にあるので、そうですね。ニセ神様に聞いてみてはどうです?」


 そうだな、と思い、俺は【(魔)王室】を出ようとした。が、貼り紙に気付く。


「ん?…『探さないでください』……『ニセ神』!?」

「どういうことでしょう!?」


 そのまんまだろ。訳わかんねーよ神様。いくら偉くても気紛れは困るよ。でも、貼り紙に気づいてよかったと思う。今気づかなければ怒り爆発してただろうし。それこそ【力】放出して洞窟壊すのではないか?


「…仕方ありませんね。帰ってきたら聞きましょう」

「そもそも帰ってくんのか…?」


 俺はそれが気になる。


「一時的な家出ですよ、多分!」


 自信満々に『多分!』と言われても返す言葉が見つからないではないか。


「では_ニセ神様が帰ってくるまでの間、どうすれば勇者が来るかを考えましょう」

「いや、勇者が来る来ない以前に勇者はいるのか考えようか」


 勇者はトール大臣が調べてるんだし。俺らがどうこう言ったって、トール大臣が勇者を連れてくる時間に変わりはないだろう。


「もしもの話ですよ。トール様なんかに頼らなくとも、自分の力で勇者を見つけたいじゃないですか」


 いい考えだな。その方が遥かに早く済みそうだ。


「勇者を見つける、か。どうせ俺強いんだから見つけるというより、全員の恨みをかって全員攻め込ませればいいんじゃねーの」

「全員の恨みですか」


 って、いかん。何を言ってるんだ俺は。完全に悪役じゃないか。ニセ神の貼り紙を剥ぎ、立っているのが疲れたので玉座に座った。


「具体的には?」

「犯罪をしまくるとか」


 全然具体的じゃないけどいいか。…勇者をたくさんにするなら、全員が嫌がることをするのが一番だ。中でも家族を殺すのは王道だが、ターゲットが多いのでたくさん殺さなければならないし、そうなれば一人か二人だけ残した方がより恐怖や憎しみを植え付けられる。勇者を増やすためには…。


「王様を殺すとか?」

「へ!?」


 自分なりに考えた結果だ。左近が驚いて飛び上がる。


「ま、待ってくださいよ。確かにいい考えではありますが、都市だけではなく国を相手にしなくてはならないのですよ!?」

「あ、そっか。でもほら…そんな全人類が攻めてくるわけでもないし…」

「来るんですよ!この世界には兵士なんてものは存在しませんからね。もし魔王様がそのあと勇者になられても、国は滅亡しちゃってますっ」


 滅亡…?そうか、争いが無いなら戦い方だって知らないのか。この世界の生き物は。


「うー…じゃあどうすれば…」

「やはり勇者は一人に絞る方がいいですね……おや」

「やほ。神だよぉ」

「なんだ。ただのぶりっ子か」


 ずいぶんと早い家出だったな。ニセ神が誰かを連れて【(魔)王室】に入る。…もしかして勇者?


「ちがーうっ!左近よこの魔神はおぬしのじゃな?」

「ああ、ボクの使い魔ですが何か?」


 使い魔?人間じゃないの?


「氷山の一角で身を縮めておったわい」

「どこにいたかと思ったら…」

「道に迷ってたっす!」


 ……なんだそりゃ。

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