鉄の爪(4)〜戦場に咲いた花〜
「戦場のパッチワーク」
それは、戦いの最中に「布の罠」を仕掛けるというものだった。
タエは持ってきた大量の布を使い、パッチワーク団の各々に作戦を伝えた。
「この布を敵の進路に敷くのよ!」
「…布が戦いで何の役に立つんだ?」
アーチボルドが困惑する。
しかし、タエは自信満々だった。
「この布には、滑りやすくなるよう細工をしてあるの。敵がこれを踏めば転ぶわ」
ジョナサン、アーチボルトは半信半疑になりながらもタエに従う。混沌とした戦場で、タエは彼らにおいて精神的支柱だったのだ。
ちょうど、キルトを全て敷き終わったのち、グレゴールが鉄の爪を引き連れ、戦場に現れた。
驚くことに、実際に鉄の爪の兵士たちが布を踏むと、次々と転倒した。バイクに跨った騎馬隊に、影響は大きく、滑るキルトがタイヤを空転させ、バイクが次々スリップしていく。
「本当にやりやがった…!」
ジョナサンが驚く中、タエはさらに指示を出した。
「今度は、この布を旗のように掲げなさい」
パッチワーク団の仲間たちは、布を掲げながら陣形を作り、まるで戦場に花が咲いたようだった。
その光景に、鉄の爪の戦士たちが動揺する。
「こ、こいつら…戦場で布を振り回してやがる…!」
その混乱を突いて、鉄の爪を追いかけてきたバロンたちが鉄の爪を取り囲んだ。
「やるじゃねえか、タエのばあさん!」
こうして、戦局は一気にパッチワーク団側へと傾いていった。
第二十章:グレゴールの敗北
戦いが続く中、ついにジョナサンはグレゴールと対峙した。
「お前の策も、これで終わりだ!」
ジョナサンが叫ぶと、グレゴールは歯を食いしばった。
「くそ…こんな奴らに…!」
彼は銃を構え、タエに銃口を向けた。だが、タエは静かに歩み寄った。
「止まれタエばあさん!やられちまう!」
取り乱すアーチボルド、バロンをジョナサンが制止する。
「ばあさんを信じようぜ」
タエは既に銃口の目の前まで進んでいた。
「あなた、これを見なさい」
彼女が差し出したのは、一枚のパッチワークだった。
「…何のつもりだ?」
「これは、あなたの部下たちがこっそり作っていたのよ」
グレゴールは驚いた。
そこには、鉄の爪の戦士たちが縫い合わせた小さな布が集められていた。
「こ、これは…」
「彼らも、ただ戦うだけがすべてではないのよ」
グレゴールの手が震える。
そして、ついに彼は剣を下ろした。
「…俺の負けだ」
戦いが終わった瞬間だった。