表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

布と布の戦い(2)〜布の力〜

形勢はパッチワーク団に傾き、影の織工は確実に数を減らしていった。しかし、戦場の混乱の中、ヴァルゴは不敵に笑った。


「面白い…だが、布の力を使うのは我々の専売特許だ」


そういうと、ヴァルゴは自身が纏っていた黒い布を広げた。布は宙に浮かぶと空に広がっていく。やがて、パッチワーク団を覆い被せるような大きさになると、

そこに浮かび上がるように新たな模様が現れた。


「な、なんだ…?」


ジョナサンが身構える。


「これは、“影縫い”の術。お前たちの動きを完全に封じる布だ」


ヴァルゴの声に呼応するように、空に広がる黒い布からは無数の黒い糸が伸び、パッチワーク団の面々に絡みついた。


「しまった…!」


ヴァルゴの黒い糸に絡め取られたパッチワーク団は動くことが出来ず、立ち尽くしている。


「またか!」


アーチボルドも膝をつく。


「やられた...この糸の量ではパッチワークの鎧も役に立たねぇ...」


「これが影縫いの術。これだけの数、操ることは出来ぬが、動きを止めることは可能だ」


ヴァルゴは続ける


「お前たちの布は優しい。だから負けたのだ。

布は支配し、管理するものだ」


ヴァルゴが手を振ると、動けなくなった仲間たちが糸に絡め取られ、引きずられていく。


「間違っているわ、貴方」


タエが歩み出た。


「ふん、老婆が何をする?」


「糸にはね、支配する力なんてないの。あるのは、布を、人を、結びつける力だけよ」


タエは静かに針を取り出し、黒い布に近づいていった。


「何をしている?」


アーチボルトが力を振り叫ぶ。


「俺らは囮さ。ばあさん、今だ!」


「何をする気だ、老婆!」


「ヴァルゴ、あなた、ここほつれているわ」


タエは黒い糸の"ほつれ"を勢いよく引き抜いた。


「しまっ…」


黒い布はみるみるうちに糸に戻ってゆき、やがて

全ての糸がタエの手におさまった。

ヴァルゴの影縫いの術は破られた。

それはタエの経験、観察眼、またジョナサン、アーチボルド。またパッチワーク団との信頼の上に成り立つ、ヴァルゴにとって最大の攻撃。


「動けるぞ、アーチボルド!」


「わかってるぜ!」


ジョナサン、アーチボルドが同時に切り掛かる。


「お前の布はもう機能しない…!」


「やらせるものか!」


ヴァルゴは口からピンポン玉ほどはある大きさの

どす黒い糸の塊を吐き出した。その異常に真っ先にジョナサンが気づいた。


「こいつ、まだ糸を...まずい!奴、逃げるぞ!」


「もう遅い」


「これで終わりではないぞ...パッチワーク団」


ヴァルゴは舌打ちした後、口から出した糸をまるでターザンの様に操り、廃墟街の闇へ消えていった。


「...クソ、行かせちまった」


「あの消耗だ。そうそう仕掛けてくることはないだろう」


ヴァルゴは消え、影の織工の脅威も去った。

戦いは、ひとまずパッチワーク団の勝利に終わった——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ