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冒険者ギルドはテンプレ天国

テンプレは正義。




 下へと戻ってきた四人は、掲示板の前に並んでいた。


「どれがいいかな?」


 掲示板に貼ってある依頼の中で、鉄ランクでも受けられる依頼は三つあった。




ゴブリン5匹の討伐 ランク:鉄~

依頼人:街道を往復する商人

報酬:銀貨2枚


オークの睾丸一個の納品 ランク:鉄~

依頼人:貴族お抱えの商人

報酬:大銀貨一枚と銀貨2枚


薬草5束の納品 ランク:鉄~

依頼人:薬師

報酬:大銅貨8枚



「一気に全部うけちゃえば?一気に終わらせられそうな依頼だよ?」

「うーん、でも俺薬草の知識とか―――あ、鑑定すれば一発だったわ」

「じゃあ決まりだね」


 そうして三枚をはがして、カウンターに持って行こうとしたらガタイの良い柄の悪そうな男に行く手を遮られた。


「うおぉい新入りィ。やけにいい女連れてんじゃねぇか。俺に寄越せや」


 何言ってんだこいつ?

 なんだか他にも柄の悪そうな男たちが集まってきてミラ達に下卑た視線を向ける。


「はぁ?」

「どうした?びびっちまって反応できねぇのかぁ??」


 テンプレを押さえた反応に笑いそうになる。

 と、いうか我慢できずに吹き出してしまった。


「ぶふっww」

「あ?なに笑ってんだこいつ。まぁ良い女共は俺達が可愛がってやるよ」


 男達がミラとブランシュを舐め回すように見つめ、ミラ達は気持ち悪い毛虫でも見たかのようにブルッと身震いしている。

 しかも一部の男はクロエにもいやらしい視線を向けて、舐め回すように眺めている。

 最初の男がミラ達に手を伸ばそうとする。


「ああ?なにすんだテメェ」

「最期通告だ、これ以上俺を不快にさせるな」


 男の伸ばした手をがしっと掴む。

 最初こそ馬鹿らしくて笑ってしまったが、ミラとブランシュにいやらしい視線を向けるなんて許せない。

 非常に不快だ。

 クロエもまだ仲間になったばかりだが、俺の仲間になった以上カス共には指一本触れさせん。


「ガハハハ!!!!こりゃ傑作だぜ!!!!新入りのお前に何が出来るってんだ!!!あんまりにもおもしれぇから女共はぐちゃぐちゃに犯しまくってやったあとにぶっ壊れたのを返してやるよ!!!!感謝しやがれ!!!!」

「そうか、理解した。――――死ね」


 男に向かって腕をスッと振る。


「ガハハハ、ハ、は............?」


 次の瞬間、男は糸の切れた操り人形の如く崩れ落ちた。

 さっきまでミラ達に下卑た視線を向けてバカ笑いしていた冒険者達も何が起きたのか理解できずに静かになってしまう。



 今俺は何をしたのか?

 今、俺は腕を振った時に袖から針を何本か投げ飛ばしたのだ。

 そして、その針は致命傷になることはせず。的確に男の脊髄を破壊し、針に付与した能力にて切断。

 結果、男は首から下のほぼ全身の感覚を失って倒れたのだ。

 男は訳がわからないという顔で身体を動かそうと試みるが、ぴくりとも動かない。


「な......なに......しやがった.......」

「何って少し痺れて貰っただけだよ。殺さなかっただけ感謝しろ」


 流石に殺したら後々めんどくさそうだったから手を抜いてやった。

 後悔はしていない。



「「「「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」」」

「おっ!?おおおお????!!!」


 いつのまにかギャラリーの冒険者が集まっていたらしく、歓声が上がる。


「流石は僕の王子様だね、タツキ」


 ミラが嬉しそうな顔で右腕に抱きついて胸を押しつけてくる。

 これは恐らく周りに見せつけてやろうって魂胆か?


「守って下さり有り難う御座います。愛しています、タツキ様.......」


 同様に左腕にブランシュが抱きつく。

 ブランシュも便乗してくる。


「ご主人様..............かっこよかった...........」


 クロエが感心したような顔で前から抱きついて、お腹に顔をすりすりし始める。

 妹がいたらこんなかんじかな?と思う。俺の友人の一人は『妹がかわいいなんて幻想だよ.....』と言っていたが。



――――ドスドスドスドスドス!!!!!!



「お前マジで新入りか!??さっきの凄かったな!!アイツ等新人を食い物にしててよ、結構な嫌われもんだったんだよ。ぶっ飛ばしてくれてスッキリしたぜ!!!!」


 いかにもサッカーしてますといった雰囲気の若い冒険者の男が興奮した調子で話しかけてきた。

 金髪碧眼で中々のイケメンだ。

 周りを見ると、さっきまでミラ達にいやらしい視線を向けていた男達は早々に退散していたり、テンションの上がった冒険者にボコボコにされたりしている。

 受付嬢を見ると、やれやれといった雰囲気でお咎めはなさそうだ。


「俺はコイツにムカついてやっただけだからな。感謝されるような事はしてない」


「謙虚な奴だなぁ。しかもこんな良い女ばっか侍らせやがって........もしかして良いとこの坊ちゃんか?」


「ハハ、坊ちゃんじゃあないけど皆俺の大切な家族だよ」


「いいねぇハーレム、憧れるぜ。しかしそんなに強いなんてほんとすげぇよ。もしパーティ組んでないんだったらどうだ?うちのパーティに来ないか?これでも銀ランクパーティなんだ。あ、俺の名前はフランツだ宜しくな。明日あたりに新しいダンジョンに潜る予定なんだが、どうだ?」


「すまないがパーティはこの四人でもう組んでるんだ。だけど俺たちも新しいダンジョンには行ってみるつもりだからもしそこで会ったら宜しくな」


「そうか、そりゃ残念だ。うっし!じゃあもしダンジョンの中で会ったらこっちも宜しく頼むぜ!!!俺の彼女も紹介するよ!!!!」


 フランツは嵐の様にまくし立てるとブンブン手を振って離れていった。

 さっき倒した男はギルド職員に引きずられて何処かへ行ってしまった(針には回復魔法が効かなくなる呪いを付与していたから呪いが解けるまで多分長くとも一週間は寝たきりになるだろう)ので俺たちは受付に三枚の依頼書を持って行った。


「ゴブリン、オーク、薬草の三つの依頼ですね。お間違いありませんか?」


「ええ、それで大丈夫です」


 受付も滞りなく終わる。

 あの男達もギルドの手に余っていたということなんだろう。受付嬢に小さく「ご迷惑をおかけしました。それとありがとうございます。」と言われた。

 ギルド職員も大変だなぁ。



 やっと落ち着いた四人は依頼をこなすために門の外へと歩いていくのだった。

いつも読んで下さりありがとうございます。

毎日書き続けるのって大変ですね。

だんだんストーリーが頭のなかで追いつかなくなってきてやばいです。


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