第106話 嫉妬のヴィルナ
ソウヤとドリベディットと戦っているとき、バーメンたちとヴィルナたちは魔王軍と交戦していた。ソウヤのおかげで作戦を少し変更するだけで済んだ。
予定通り、最初魔法兵が先制攻撃を仕掛けて弓兵がそれに叩きこむように射撃していった。歩兵たちが山の斜面を滑り降りるように魔王軍に攻撃を仕掛けた。
「ソウヤ殿が一人でドリベディットと戦ってくれている!必ずここで魔王軍をつぶすぞ!」
谷間の通路は金属音や肉が抉れる音など様々な音であふれかえっている。そんな中にヴィルナたちも戦っている。
「よっこいしょー!」
「せいっ!」
ヴィルナとリアンの掛け声とともに放たれる攻撃で魔獣がダース単位で吹っ飛んでいく。ソウヤがいない分張り切って戦っているようだった。
「負けてられませんね。私も頑張らないとな!」
「こんなの~バラバラにしてっちゃうよ~」
上からでは攻撃しにくくなったためエルンは下におり魔獣の頭に風穴を開けていった。ベルメスは、鎌で魔獣を目にも留まらぬ速さでバラバラにしている。
「なんだか盛り上がってるな。俺も早く寝たいから、たとえ俺の部下だったとしても俺には向かった時点で市は確定したようなもんだからな。死ね!!」
ガルは、それ違う魔法を同時詠唱して魔獣を肉塊やミンチに変えていっている。
バーメンは魔導馬に乗りながら剣で魔獣を倒していた。リーメンはハルバードで魔獣たちを狩っていた。最初のほうはゴブリンやオークなどのそこで強くのない魔獣だけだったので苦戦することなく戦うことができたが。
「うあぁぁぁ!!!」
「くそっ!!」
前のほうでたたかっているやつらの悲鳴が聞こえてくる。
「飛竜のワイバーンの亜種が来たぞ!」
「それだけじゃない!ダークウルフも来てるぞ!」
「バトルゴーレムもだ!」
次々と、A、Bクラスの魔獣の名前が聞こえてくる。前のほうで兵士や魔導馬が空に投げ飛ばされていくのが見える。
「よし!手ごたえのありそうなやつが出てきたようじゃな」
「まだまだいけますよ!」
「今までのやつがウォーミングアップってやつだな。」
いつの間にかベルメスが消えていたけど死んではいないだろうから大丈夫だろう。リアンたちは、前線へと楽しむかのように躍り出ていった。
しかし、ヴィルナは戦いながら一つ悩みを抱え込んでいた。それは、ほかの仲間との力の差である。ヴィルナはまじかでみんなの戦う雄姿や力を見てきた。それがコンプレックスになり悩みになった。
「どうしたんじゃ、ヴィルナ」
リアンはあまり元気のないヴィルナに声をかけた。
「いや大丈夫だよ。」
ヴィルナは、それだけを言い戦いの中に体を投じた。が、ぼーっとしていたせいか。自分に来る攻撃にきづくことができなかった。ヴィルナはあまりにも強い衝撃に意識が朦朧としてしまった。
「私のかわいい魔獣と家臣たちをかわいがってくれてありがとうね!次は私がかわいがってあげるわ!」
体が鱗に覆われていて尻尾や羽の生えた魔族がヴィルナを踏んでいた。
「おい、貴様何をしてるんだ。」
まるで地獄の底から聞こえてきたような声が聞こえてきた。ソウヤだった。空間に穴をあけベルメスとともにリアンたちの元に戻ってきた。
「はぁ、なんなんだお前は。私は魔王軍十二天星が一人、天秤座のワキュレン。」
「ワキュレン久しぶりだな。」
いつの間にか完全武装になっていたガルが殺気を込めた言葉が聞こえてきた。
「ははは、落ちこぼれの魔王様じゃないですか。ねんねしてなくてよかったんですか?あ、このゴミみたいのはあなたの仲間でしたか?」
「貴様ぁ!」
ヴィルナは、意識が回復してきたが体が動かない。不意打ちだったせいか、かなり痛い。しかし、周りの声は聞こえてくる。
(あぁ、みんなの声が聞こえてくる。ソウヤにガル、私のために起こってくれてる。うれしいな。あぁ、みんなみたいに強かったら私もこんな風じゃなかったんだけどな。あぁ、羨ましいな。)
ヴィルナの強さへの悩みはいつの間にか“嫉妬”なっていた。
(マスター、大罪武装:嫉妬の殺槍を感知。所持者:ヴィルナ)
(それは本当か!?)
(はい、しかしながら力が安定していません。離れないと巻き込まれる可能性があります。)
ソウヤはリアンたちをヴィルナから離れさせた。
「何をしている主人!ヴィルナが危ないんだぞ!」
「そうですよ!何をしているんですか!?」
ソウヤは、黙って今にも飛び出しそうなリアンたちを止めていた。
「今はヴィルナを信用しろ。」
「何を言ってるの?ソウヤ~ヴィルナは…!」
ベルメスが、何かを言おうとした瞬間リアンたちの目には信じられない光景が見えていた。
「な、うわぁぁぁ!?」
ワキュレンがヴィルナに足をつかまれ地面にたたきつけられていた。ヴィルナはふらふらと立ち上がった。
「力への嫉妬を検知。嫉妬が既定値をオーバー。大罪武装:嫉妬の殺槍を顕現する。」
ヴィルナの声ではない声がヴィルナの口から聞こえる。その声とともにヴィルナの体に青と黄色の鎧が装着されていく。
「敵をつぶします。」
「くそう!一度くらい…調子に乗るなよ!小娘!」
ヴィルナとワキュレンの戦いが始まった。




