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2018年11月4日日曜日 文化祭2日目(5)

 ようやく5番目、ミフユの番になった。紅麗亜はこれはアピールしどころとばかりにある点に触れてきた。

「最後の登場は古城ミフユ先輩です。実は今回、姉妹対決もあります。古城先輩が小学生シェフの一人は古城ミアキちゃんのお姉さんなんですよね。古城先輩といえば先の生徒自治会長で今回唯一のソロチームでエントリーしてくれてます」

 マイクを向けられたミフユはわざと偉そうにして見せた。演技、演技。

「うちの料理は私がよくやってますから。妹も最近作るようになって随分腕を上げてきているのは確かですが、姉としては鎧袖一触ですね」

 小学生達がざわめいた。

「がいしゅういっしょく?」とユウスケくん。

「圧倒的なつよさで私たちに勝つって言ってるけど、負けないから」と広乃ちゃん。

「お姉ちゃんの本気はうれしい。でも私達は三人いる。三人集まれば折れない」とミアキも奮起している。

 珍しくユウスケは自分の知ってることわざなのに間違えてると思い指摘した。

「秋ちゃん、それは毛利の三本の矢だから少し違うよ」

「同じようなものだからいいの!」と広乃ちゃんが容赦無く却下。ユウスケくんは慣れてるみたいで気にせず「それでいいよ」とか言ってる。

 ミフユはそんな小学生たちの様子を見ていて壇上でおもわず苦笑してしまったし、観客にも受けていた。

「あ、ピーチチームの食材確保が終わったようです」

「じゃ、私も選ばせてもらうね」

そういうとミフユは「残り物には福があるはず」と内心で願いながら玉子やらお野菜を選んで行った。


 各チーム紹介が終わると亘理委員長は左手のストップウォッチを片手に号令を掛けた。

「それではお料理タイムのカウントダウンを開始します。勝負は泣いても笑っても40分真剣勝負。心して掛かって下さい」

 亘理委員長は右腕を挙げると左手のストップウォッチのボタンに指を掛けた。

「5、4、3、2、1、スタート!」


 各チームで一斉に調理が始まった。審査員は興味津々と各テーブルを回り声をかけて話を聞いた。彼らはその過程も試食同様の評価タイムとしていた。そして最後に自分の推すシェフをきめて発表する。そして観客がそれに投票するのだ。


 男装の麗人執事こと三重陽子と仲のいい日向肇は一緒に見ていた。肇のクラスはこの後、合唱コンクールに出場するのでブレザーできちんとネクタイを締めている。

「古城姉妹対決って妙な事になってるなあ。2年B組はあの二人のエントリーってラッキーだけど」という肇。

「まあ、本気の喧嘩って訳じゃないから良いんじゃない?それにしてもやり方が面白いよね」

「それはね。この時間じゃなかったら出てみても良かったかもしれない。みんなが料理を食べてジャッジは難しいだろうしいいアイデアだよな」

「誰が味方をしてくれるかでも差はつきそう」

そんな事を言いながら陽子と肇はコンクールの行方を目で追っていた。二人とも料理をするので興味もあったのだ。

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