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一、評判
「おい、あいつは?」
「ああ、部屋だろどうせ」
廊下で立ち話をする彼らはどうやら兵であるようだ。だが彼らの衣服が汚れている様子はない。
「なあ、あいつが一人で全員倒したんだろ?」
「そうだよ。だから陛下もああいう扱いをなさるんだろ」
二人とも嫌悪の表情がありありと浮かんでいる。
彼らのいう「あいつ」は相当嫌われているのだろう。
「そういった話は控えろ。」
話をしていた兵は礼をする。
「以前にも言ったはずだ。あれのことは口にするな。」
彼らの上官である軍長は不快さを全面にだしている。確かにこの国ではあまり好ましくない話題なのだ。兵達ももちろんそのことは承知しているが、人の口に戸をたてることはできない。
「申し訳ありません」
「分かったらはやく戻れ」
兵は礼を再びすると、足早に歩を進めていった。
軍長は溜息をついてそれを見送ると、彼らとは反対の方向へ進んでいった。




