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瞳子⑬
そして、ようやく、待ちわびていたメールが届いた。
投稿サイトの作品についてお話ししたいという出版社からのメールだった。
彼の最後の作品、わたしが唯一読めてないあの作品のことだった。
出版社は書いたのがスキャンダラスな女だという話題性を求めている可能性が高いと思う。
でも、これだけはちゃんと明らかにしないといけない。
書いたのは彼で、わたしじゃないということ。
このメールはわたしにとっての、一つの踏ん切りだった。
とにかく読まなければ、話は始まらない。
怯えていてはだめなんだ。
わたしは雪乃先輩から回収した彼の原稿を引き出しから取り出す。
手書きの文字を見ただけで胸が痛くなる。
アイアンブルーのインクで書かれた癖のある文字を見て苦しくなる。
でも、読まなくちゃ。
そして、読み始める。
「彼女と初めて会ったのは大学の文芸部の部室だった。」




