第2話:戦闘艦の紹介
現在、ノクターンでも執筆していますので更新が遅れますが同時進行で頑張っていますのでよろしくお願いします。
富嶽達が朝霧造船所地下ドックに行くと武装した朝霧軍事警備会社の社員が迎えてくれてIDカードを渡されて鋼鉄のドアが開いて二人は入って行く。
「厳重だな? やはり機密の塊と言う訳か」
「ええ、そうですね。ちなみにこの鋼鉄扉を初めとした地下ドックは数百メガトンの核爆弾が直撃してもビクともしません」
東郷の言葉に富嶽はただただ唖然として絶句している状態であった。
そうこうして五分程、歩いた時に広大な空間に出る。
東郷が指パッチンするとドック内に照明が次々と点灯する。
富嶽達の目の前に二隻の艦がガントリーロックの上に鎮座していた。
「こ、これは……!? 六万トンはある空母? いや、海上自衛隊おおすみ型輸送艦だが規模が桁違いだ。それに横の艦は……旧日本海軍陽炎型駆逐艦?」
富嶽の言葉に背後から正にその通りだと声がして後ろを振り向くと朝霧翁と巫女服装束を着た秘書の女性がいた。
「朝霧翁様……一体これは?」
「ふむ、説明するがその前にこれから君の部下になる乗員達を紹介せねばならないからね? 付いてきたまえ」
そう言うと先頭に出た朝霧と秘書はドック奥に歩いていき二人は急いで追いかけて行き突き当りのドアの傍に来ると朝霧が対面するぞと言い扉を開ける。
富嶽が部屋の中に入るとそこも百畳はある会議室に五十名の人員が座っていて朝霧翁を見ると全員が起立して敬礼する。
朝霧が壇上に立つと共に翁に促された富嶽も壇上に立つ。
「皆の者、これからお前達の上官になると共に艦長としてお前達を指揮する『富嶽武雄』艦長だ! 全員、富嶽艦長に対し敬礼!!」
ドスの効いた大声で命令すると五十人の人員が一斉に富嶽に対し敬礼する。
富嶽も解雇された時の職業が警備員だったので敬礼や答礼の仕方も勿論、知っていて直ぐに対応する。
その姿に満足した朝霧は直れの号令をかけて着席させると富嶽に何か自己紹介でもしてやってくれと言われて富嶽は頷くがこんな場面は初めてなので緊張して口を開くことが出来なかったが東郷が無言で笑みを浮かべて頷くと不思議と落ち着く。
改めて富嶽は壇上から真剣な表情をしている皆に言葉を掛ける。
「初めまして、富嶽武雄と言います。こんな場面に慣れていませんが……何というか……美味しいご飯を食べたり綺麗な女性を抱く為には生きていなければなりませんし……死ぬのは痛いので嫌ですので皆さんも無理をせずに死なないように頑張りましょう」
拍子抜けた自己紹介に朝霧も意表を突かれたようだったが優しい笑みを浮かべると頷きながら笑う。
前にいる乗員達も唖然としていたが直ぐに緊張感が溶けた感じで笑い声が起きる。
東郷も笑っていて場の緊張感が溶けた感じで和やかな雰囲気になった時に朝霧が先程とは違う普通の表情でこれから乗艦する船の事に付いて説明があると言うと全員がピタっと収まり静かになるが先程とは違う雰囲気だった。
富嶽と東郷が彼らの前に設置している椅子に座ると扉から三人の老齢の男性が入ってくる。
その内の二人が食堂で会った人物だったので富嶽は吃驚すると二人の男性も笑みを浮かべて無言で会釈する。
三人が壇上に立つと真ん中の人物が自己紹介する。
「富嶽艦長を初め、皆様にお会い出来て光栄です。私は朝霧造船所四代目所長にあたる『藤田伝後』と言います、右横にいるのは地磁気学者の『狩衣幸次』で左横にいる禿げ頭の人物は物理学者の『坂田重蔵』です、彼達は名は知られていませんが世界最高レベルの頭脳の持ち主で両名共、皆様と片道切符の旅に同行します」
藤田の言葉に坂田は前に一歩出るとよろしくお願いしますと答える。
そして例の艦の説明が始まるので全員が再びドックに戻る。
「富嶽艦長を初めとする皆様が乗艦するのは旧日本海軍陽炎型駆逐艦を真似て建造した“雪風”という艦です。皆さまも御存じの通り、かつての大東亜戦争で唯一、陽炎型駆逐艦として一隻だけ残った“雪風”と同じ型をしていますが性能は想像を絶しますので今から説明します」
そう言うと藤田が指パッチンすると空中に巨大なホログラムが出現して鮮明な性能表が表示されると皆が息を呑む。
基準排水量:4500トン
全長 :135メートル
最大幅 :13メートル
喫水 :5メートル
主機 :朝霧式永久機関クリーンエネルギータービン二基二軸
馬力 :300万馬力
最大速力 :60ノット
巡航速度 :35ノット
航続距離 :∞
基本性能が表示されたスクリーンを見た富嶽を初め、全員が息を呑んだがそれは主機たる内容で永久機関クリーンエネルギーという字句だったのである。
「永久機関……だと!? 馬鹿な、未だ人類史上始まって以来、誰も成功させたことがない永久機関が実現しているだと?」
機関長となる『徳川義武』が信じられないような表情をして叫ぶ。
藤田は頷くと乗員達と一緒にいる青年を指差して彼がその夢の機関を開発実現させた人物ですと言うと他の全員がその青年を見る。
その青年は会釈をして自己紹介する。
「私は朝霧エネルギープラントの研究員であった『生瀬方信』と言います。皆さまと共に出撃しますので機関についてはお任せください」
富嶽がよろしくお願いしますと言うと生瀬もお辞儀する。
「さて、次は武装システムについてです」
次話は凄まじいチート兵器の紹介と6万トン級の輸送艦についてです