15話 再びハクの襲撃にあう!!
15話 再びハクの襲撃にあう!!
次の日の朝、ガルヤ達が襲われたアミが引いていた荷車を取りに戻った。 ガルヤ達が荷車の所へ行くと、アミは無残な姿になっていたが、荷車と荷は無事だったそうだ。
みんながその積み荷を確認しているときに、キムルが俺の横に来た。
「アミは襲われたが、積荷は無事だったな」
「こんな時の為に、アミの荷には食べ物は積まないんだ。 大抵、初めに襲われるのはアミなので、アミが襲われている間に他のみんなが逃げるんだ。
アミには可哀そうだが、少しでも時間を稼ぐ事が出来る。
その時、アミの積荷に食べ物が積んであったら積荷も荒らされるが、そうでなければこうやって、後で荷だけ取りに行く事が出来るからな。 その為にこういう商隊には、必ず何台かの荷車をアミに引かせる事になっている」
「そうか······その為に、わざわざアミにも荷を引かせているのか」
「ああ、荷車を付けられたアミは逃げられない事をハク達は知っている。 だから始めは人には目もくれずにアミを襲う。
しかし、群れを作っていて食欲旺盛なハクには、アミ一頭では満足出来ないみたいだ。 だからその後もしつこく襲ってくる。
今回は群れを壊滅状態にしたからもう襲撃はないと思うんだが、安心は出来ないな」
「それで、昨夜も見張りを立てていたのか」
「まあ、用心の為にな」
キムルは仕方がないと言うように、肩をすぼめた。
そういえばと、俺はアミがいない荷車を指して聞いた。
「あの荷車はどうするんだ?」
「他の荷車に荷を振り分けるか、護衛のタムを一頭回す。 今回は荷が特に多いから振り分けは無理か」
タムを回すとなったら護衛のフォーメーションが崩れる。
頭のいいハクなら必ずその隙を狙って攻撃してくるだろう。 一か所が崩れると全員を護るのが厳しくなってくる。
となると、やるべきことはただ一つだ。
「じゃあマリに引かせよう」
「ケント! 俺の話を聞いていたか? 荷車を引いたアミは、一番初めに襲われるんだ。 襲われた時は見捨てるんだ。 荷車が付いているからマリも逃げられない」
「護衛にはタムが必要だ。 一頭でも減ると奴らに隙を与える事になる。 マリは僕とアンで必ず守るから心配はいらない」
何か言おうとしたキムルを置いて、俺はガルーラの所に行って説明した。 ガルーラも当然猛反対したが、俺の説得で渋々承諾してくれた。
◇◇◇◇
マリに荷車を付けていると、ガルヤが興奮した様子でやって来た。
「お前! 正気か? マリが食われてもいいのか?」
「大丈夫だ。 マリもみんなも守ってみせる。 自由に動ける護衛のタムの数を減らす事は出来ないだろう? 護衛を減らすと今度は人が襲われるぞ」
言葉に詰まったガルヤが大きなため息をついた。
「お前は言い出したら聞かないからな。 わかった。 俺達も出来る限りマリを守ろう」
ガルヤも渋々承諾した。
◇◇◇◇
マリは先頭を歩く事になった。 先頭が一番安全だからだ。 俺とアンがマリと一緒に歩き、ガルヤとガルーラが両サイドを守った。
昼食休憩の後、暫く歩いていると前の方で何かが動いた。
「止まれ! ちょっと見てくる」
ガルヤが護衛を一人連れて前に走って行った。
ガルヤが見えなくなった頃、突然アンが吠えた。
「来たぞ! 気を付けろ!」
後ろを見ると低木の間から、一頭のハクが後方にいるアミに飛びかかる所だった。 すでにキムルが弓を構えている。 ハクの口がアミに届く前に、キムルの矢に射抜かれて倒れた。
もう一頭、続いて襲って来たハクを、ツーラが仕留めた。
その時、すぐ横からマリに向かって飛び出してきたハクがいた。 そのハクにアンが飛びかかり、その後ろから出て来たハクを、俺が続けて二頭仕留め、もう一頭を護衛の一人が槍で倒した。
再び後方を見ると、初めに攻撃してきたのとは反対側の森にハクが隠れているのが見えた。
俺はナイフを抜いて一足飛びに荷車を飛び越え、ちょうど襲いかかって来たハクに体当たりをしながらナイフを突き刺した。
勢い余って飛ばされたハクだが急所を外してしまったらしく、すぐさま起き上がって俺に向かってきたので横っ面を蹴り飛ばして木に叩きつけた。
そしてすぐに倒れているハクの元へ行き、今度は急所にナイフを突き立てる。 すると、グウッ!と唸って今度こそハクは動かなくなった。
再び後方のアミを狙って襲ってきたハクをキムルとツーラが仕留め、闘っているアンの横から飛び出してきた一頭を護衛のタムが踏みつぶした。
その後、アンが闘っていたハクを倒したのを最後に、周りは静かになった。
あっという間の出来事で、急いでガルヤが戻って来た時には、全て終わっていた。
「前にいたのは囮か。 小賢しい真似をしてくれる。くそ!」
ガルヤが唸っていると、ツーラが後ろからやって来た。
「10頭倒した。 昨日の様子だともう数頭しか残っていない。 この群れの襲撃はもう無いだろう」
「そうだな。 とにかく早くこの場を離れよう。 急ぐぞ! 出発!」
小走りで進み、次のサールは素通りしてその次のサールでやっと休憩を取る事になった。
◇◇◇◇
落ち着いてからアンのケガの具合を改めて見たが、今回はほとんど無傷だった。
放牧場でも思っていたが、アンは他のハクに比べると一回り以上大きい。 1対1では負ける事はないだろう。
「アン、よくやった。 お前は本当に強いな。 いい子だ」
アンの小さめの頭を撫でると、フサフサの尾をワッサワッサと振って、喜びを精いっぱい表してくれる。
本当に可愛い奴だ!
アンの頭をグリグリと撫でながら愛情を注いでいると、ガルーラと何人かの団員が、大きな肉を持ってアンの所にやって来た。
嬉しそうに尻尾を振るアンに「ありがとう」と声をかけながら肉を食べさせてくれた。
「やはりアン殿は凄いですね。 これからは商隊には必ずハクの護衛を付ける事にしましょう。 しかし、アン殿ほど賢いハクはいないでしょうな」
「ですから、アンに殿は要りませんって」
苦笑しながら俺が言うと、またも周りから笑いが起こった。
今度はみんなが心から和んでいるのがわかった。
犠牲者がなくて、良かったですね!( v^-゜)♪




