第32話 斜め上のダンジョンマスター
「じゃあ行ってくるぜ! マスター」
「おう、程々にな!」
「行くぞ~野郎ども~! 気合入れて行け~!!!」
「「「「「ウオオオ~!!!!」」」」
異世界に転移して将軍を騎士にするはずだったのだが、少し座標を間違えた様で、以前の世界とは違う世界に来てしまった様だった。まあ、違うと言っても剣と魔法と魔物が居るので誤差の範囲だと思う。それに冒険者組合も有ったし、貴族も居たので当然、騎士って者も居たし王様が居たので姫様だっていた。
でも何故か将軍はまだ騎士に成って居なかった、知らない世界なのでいきなり騎士に成れないだろうと思って最初は冒険者になったのだった、ラノベで良くある設定の有名な冒険者になって、貴族に目を掛けられて騎士になるって奴をやろうとしたのだ。
だが冒険者になった将軍は物凄く強かった。馬に乗って45口径をぶっ放し、魔物を次々に狩って行ったのだ。そうすると持ち前のカリスマから冒険者や荒っぽい連中が将軍を慕ってやって来た。そう将軍の子分が増えたのだ、そして今や子分が千人位いるボスになってしまったのだった。そして何だか子分が増えた将軍達は偉く盛り上がって祭りを始めちゃったのだ。
「目標は、クソ伯爵だ! あいつ等ぶっ殺して領地を奪うぞ~!!!」
「「「「おおお~! 将軍! 将軍! 将軍!」」」」
目の前にいるならず者達の大将が将軍だった、元は冒険者だったのに今や大規模な傭兵団のボスになっちゃったのだ。これから伯爵を攻めて領地を分捕るのだそうだ。騎士とは程遠い行動と思うのだが本人が楽しそうなので良いだろう、多分、美学とやらは元の世界に置いてきたのだろうと思う。今や将軍から暗黒大将軍にレベルアップしたようだった。
「あの人本当にフリーダムだよな、騎士に成って姫様を助けるって話は何処に行ったんだろうな?」
「あの人も大概マスターに似てますね、斜め上に進みますからね」
「本当にな、言ってることを直ぐ忘れる所までそっくりだ」
「うむ、あの御仁なら魔王になれますな」
「さて、そんじゃ俺たちも行くか。キュウちゃん」
「はいマスター」
「どうした? 青い顔して・・・・・・あっ何時もの事か」
「怖いんですけど、コアさんとバルキリーさんが私の事をスゲ~睨んでるんですけど」
将軍は伯爵狩りに、そして俺はギルドのクエストにと行くのだが、ギルクエには何時もキュウちゃんを連れて行っていた。コアやバルキリーを連れて行くとクエストが一瞬で終わってしまうのだ、ドラゴンなんて朝飯前に食う様な連中を連れて行っても、俺が見てるだけなので全然楽しく無いのだ。そこで程よく強いキュウちゃんの出番って訳だ。将軍に貰った馬に2人で乗ってクエストを受けるのは楽しかった、俺は馬に乗れないからキュウちゃんの後ろ、つまりキュウちゃんにしがみついて移動するのだ。
「気にするな、アイツ等は強すぎる。全部のクエストが薬草採取レベルになっちゃうからな。キュウちゃん位が丁度いい相棒だな」
「ぐぬ~あの女いい気になってますね!」
「吸血鬼の癖に生意気な、2号の座は渡さんぞ」
「羨ましいぞキュウちゃん、吾輩も邪王様のお役に立ちたいのじゃ」
「留守番頼むぞ! お土産買ってくるからな~」
「怖いです~、帰りたく無いです~」
ブルブル震えるキュウちゃんと一緒に隣町のクエスト、オーガ討伐に向かう。俺ひとりならギリギリ勝てるかどうかって言うクエストだが、キュウちゃんは腐っても上級の吸血鬼、ギルドのモンスターレベルで言えばS級の魔物なのだ、本気を出したキュウちゃんはオーガよりも強いハズ。まあ、気が弱くて何時も本気を出せないで終わるのだが。
「今日のクエストはオーガ討伐だからな、期待してるぞキュウちゃん」
「オーガですか! チョット強すぎる様な気が・・・・・・」
「あれ? キュウちゃんってS級の魔物だよね、オーガってB級だからキュウちゃんの方が強いんじゃないの?」
「私がS級なのは眷属を増やすからです、戦闘力はオーガとあんまり変わらないです。もしかしたら負けるかも・・・・・・」
「負けたらお仕置きだからな! コアとバルキリーに言いつけてやる」
「ひえ~、死ぬ気で頑張ります」
まあこうやって俺も自重を止めて楽しく暮らしていた、暇になったら将軍の世界征服の手伝いをしても良いだろう、資金なら元の世界から分捕った金や銀、それに国連軍から分捕った武器まで有るので余裕で世界征服出来るだろう。
そして3年後・・・・・・見事将軍は世界を征服して王様へと成り上がった!?
「え~と、マスター? 俺は王様に成った様なんだが・・・・・・」
「良かったな将軍! おめでとう! 立派な暗黒大将軍になった様だな」
「それなんだがな、俺はどこかで少し間違えた様だ・・・・・・」
「少しじゃね~よ、全然騎士に成って無いじゃん! 騎士すっ飛ばして王様になるんじゃね~よハゲ!」
「なあもう一度チャンスをくれよ、今度こそ騎士に成るからさ! 頼むよ、この通り!」
この時点で俺は冒険者レベルがBだった、頑張ってはみたけれど俺とキュウちゃんのコンビではB級冒険者が精一杯だったのだ。討伐するはずのオーガからキュウちゃんと2人で逃げ回ったのは今では良い思い出と言えるかも知れない。そしてコア達3人が遊びでコンビを組んだ冒険者パーティー・ブラックウイドウは1年でSS級冒険者、冒険者達全員の憧れのパーティーへと出世していた。これはとても気に食わない状況だったので将軍の言葉に乗って俺は再び転移する。
俺は将軍が騎士に成り、俺がS級冒険者になれる世界を見つけるまで何度でも転移してやるのだ。
「よし! 転移だ、次こそ理想郷に着くハズだ」
「マスターには無理です」
「次の世界の食物が楽しみだな」
「次の世界も邪王様に捧げましょう」
ダンジョンマスターの旅はこうして続いて行った、行く先々で大問題を起こしながら。
「いや~、これからが本番で面白くなるのに終わるのは残念だな~」
「うるさいですよ、、、」
「嘘だな、ネタ切れだろう」
「全ては邪王様の御心のままに」
「ひえ~、私超ミニ履かされたんですけど、何ですかこれ、じらしプレイですか!?」
「な~、俺は結局騎士に成れるのか?」
長い間のご声援有難うございました、ダンジョンマスターのいい加減な冒険はここで終わりますね。まあ、その内違う話でお会いするかも知れません。今度こそ愛と勇気と感動の・・・・・・嘘です、そんな話は書けません。
斜め上のダンジョンマスター・現代編 完




