第18話 冒険者達
見習い冒険者になったのでウキウキして街をさまよう事にした俺達3人プラス1匹、車で移動しているのだが街は普段と変わらない。魔物に襲われている冒険者や商人の馬車等はどこにも無かった。
「う~む、そうそう都合よく美人の冒険者がオークに襲われてるって場面は無いよな、やっぱり」
「商人の馬車って言うのも無理が有りますね、ここには馬車が走っていませんし」
「ラノベの知識って奴は役に立たないんじゃ無いのか? マスター」
「う~む、どうやらそうらしいな。あれは異世界がメインだからな、現代じゃどうなるんだろうな?」
その時俺の持ってるスマホがけたたましい音を立てだした、夜中に聞くと心臓に悪い例のアレだった。
「凄く煩いですねマスター、それ!」
「うん、エリアメールって奴だ。何か重大な事が有るとなるやつだな」
ーーーオーク3匹出現! ○○町の住民は注意して下さい。家の中に入り、外に出ないで下さい。地域の保安要員は直ちに○○町に向かって下さい! ーーー
「お~! 魔物の情報はスマホで流れるのか、便利良いな。情報が早いしな」
オークの情報が入ったので、カーナビを頼りに現場に向かう事にする。流石は現代、向こうの世界と違って情報が伝わるのの早いこと。これなら魔物の被害を最小限に出来るだろう、街が荒れてないはずだった。そして慣れない街を車で移動している最中にもスマホが鳴り出し、他の場所にも魔物が現れたと言う情報が新たに入って来ていた。今度はゴブリンが出現したらしい。
「マスター、あっちだ。あっちにオークが居る!」
「分かった、距離は?」
「大体500メートル位かな?」
バルキリーの魔物感知に魔物が引っかかった様だ、こちらにはバルキリーが居るので魔物を簡単に見つける事が出来る、と言っても直線距離にして1キロ位まで、オークよりもっと強い魔物ならもっと遠くからでも分かるみたいだが、弱い魔物は近くに行かなくては感知出来ないらしい。コアは自分のダンジョン内でなら全ての魔物と侵入者の場所が分かるのだが、外に出れば俺と同じで魔物を感知出来ないのだ、だからダンジョンの外ではバルキリーが一番魔物を見つけるのが早い。
現場に着くと既に魔物と人間達の戦闘が始まっていた。オーク3匹対人間4人の戦いだ、オークは3匹共棍棒装備、人間の方も上下にSWAT装備、それに盾を装備している者が2名、刺股や槍を装備している。最初は機動隊か警官かと思ったが、装備がバラバラなので冒険者の様だった。
「よし、ここは俺が抑える。お前らはもう1匹を狙え!」
「おう、直ぐに片付ける。死ぬなよ! リーダー」
「テーザーを使う、皆注意しろ」
何だか凄く楽しそうにオークと戦っていた、4人の連携は抜群で危なげなく戦っている。オークの棍棒を上手いこと盾で防ぎ、仲間が槍やテーザーで動きを封じている。強い戦い方では無く、非常に上手い戦い方なのだ、まるで相手の攻撃を読んでいるかの様な動きだった。
「上手いな~、全然危なげないじゃん」
「かなりの熟練者達ですね、向こうでもCランクの冒険者になれるでしょうね」
「うむ、かなり慣れれいるな、オークなら1対1で勝てるだろう」
流石はオタク達、自分の好きな事に全てを掛ける漢。彼等の連携は完璧、モン○ンで鍛えた先読みの能力は実際の戦闘にも十分に通じる様だ。つまり俺達は何もする事が無かった、アイツ等は俺よりも強いのだった。
「ハフ~、だよね~」
「何がダヨネ~なのだ? マスター」
「いやさ、オタクって凄いのよ。普通の人間には出来ない事を平気でするんだわ、自分の好きな事だけに全力を出す姿は実に清々しい」
以前モンハ○の動画を見たが、実に凄かった。相手の攻撃を全て躱す動き、相手の動きを全て知っているのだな、そして自分の攻撃は全て強攻撃を相手の頭にぶち当てるのだ。あんなの無理、あんな事をする連中が冒険者になっていたら、それはそれは凄い冒険者になるだろうと思うのだ。
「あっ、終わりましたよマスター。人間達の勝ちです」
冒険者達4人はオーク3匹をアッサリ討伐した、やられたオークは魔石に変わった様だ、そのまま残ったらグロイので良い事だ。4人はハイタッチを交わしてお互いの健闘を讃え合っていた、う~む、羨ましい。何だか凄く冒険者をしているのだ、何時もコアとバルキリーに助けられている俺とは違う様だ。
「よ~し、挨拶に行くぞ。自分の名前を間違えるなよ」
「分かりました、私はユウコだったですねマスター」
「そうだ、黒髪の美人さんだからユウコさん」
「私はアヤメだったな」
「そう、金髪で巨乳、そしてメガネだからアヤメちゃんなのだ」
「マスター、なんで私が(さん)で、バルキリーの方が(ちゃん)何ですか?」
「秘密だ、これ以上は話すことは無い」
まあ、彼女達の偽名を考える時に自分の好きなアニメのヒロインの名前を頂いたのだな、そうこれはリスペクトなのだ、断じて盗作では無い。俺の名前はどうでも良いので、ジョンに付けてもらった、そしたら俺の偽名はダンになった、あいつも物凄く適当な奴だった。きっとダンジョンのダンの部分を使っただけだと思う。
「よう、君達。すごいじゃないか」
「やあ、お仲間なのかな?」
「俺達は駆け出し冒険者のチームなんだ、話を聞かせてくれないか」
「良いよ、何が聞きたい?」
それから俺は彼等の動きの良さについて質問した。彼等は明らかに普通の人間よりも動きが良いのだ、訓練を受けた軍人よりもパワーとスピードが有る。おまけに冷静に戦っているのが不自然なのだ。
「何であんなに強いんだ? オークを軽くさばいていたよね」
「俺たち全員レベルアップしてるからだよ、魔物を倒すとレベルが上がるんだ」
「そうそう、俺は3回レベルが上がった」
「俺2回」
「俺も3回だな」
何でも魔物を倒すと体が熱くなり力が漲って来る事が有るのだそうだ、そしてその後は実際に力が強くなって持久力なんかも少し上がるのだそうだ。う~む、向こうの世界でも人間達は魔物を倒すとレベルアップして強くなっていたから、こっちも人間達は強くなるようだ。とても羨ましい、俺もレベルアップするのだがダンジョンマスターのレベルアップはダンジョンの階層を増やしたり、呼び出せる魔物のレベルが上がったりするだけで自分は全然強く成らないのだ。
「あのさ、魔物と戦うならちゃんと装備を整えた方が良いよ、スタンガンなんかも持ってた方が良いよ」
「そうそう、美人さんが傷つくのは勿体無い」
「フルフェイスのヘルメットをかぶって綺麗な顔を守った方が良いね、でも顔を隠すと折角の美人が・・・・・・」
「俺としては応援してもらえると、力が出そうな気がする」
「ははは、助言ありがとう」
「ふむ、中々正直な人たちですね」
「うむ、見所のある奴だ、気に入ったぞ」
この冒険者達は中々良い奴等だった、俺達に助言までしてしてくれた。足を引っ張るしか脳の無い連中が多いので普通に良い奴に会うと気持ち良いもんだ。
「よ~し、助言をもらったお返しに飯でもおごるよ、一緒にどうだい、冒険者の事を色々教えてくれよ」
「マジ? そんじゃお言葉に甘えさせて貰うよ」
「「「ウヒョォォォォォ~、こんな美人さんと飯食えるとか最高~!」」」
そして冒険者達の知っている安くて美味い居酒屋へ行く。金なら幾らでも有るので高い所でも平気なのだが、彼等は安くて美味しい所しか興味が無いのだそうだ、ここら辺にこだわる所もオタクらしい所ろだった。そして美人が居るお陰で口の軽くなった彼らから冒険者の事を色々聞いた、どうでも良い事も多かったが、気になる点が一つだけ有った。
「へ~、それじゃあ、最初の魔物はゴブリンばっかりだったのか」
「そうそう、最初はゴブリンばっかり。そして段々オークが現れる様になってきたんだ、最近じゃオーガを見かける様になったから大変だよ」
「ふ~ん、オーガより強いのが出てきたら大変だな」
「だよね~、頑張ってレベルを上げなくちゃ不味いと思う。それか自衛隊に任せるしかないね」
冒険者達も大変な様だ、でも彼等は最悪の事態を考えながら戦っているので多分大丈夫だろう、危なくなれば逃げる位は出来るハズだ、問題は何もせずにただ漠然と生きている連中だった、冒険者や兵士達がまければ彼等は魔物の餌になるのだが、多分気づいていないだろうな、食われながら後悔するのかも知れないが、まあ自業自得って奴だな。




