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斜め上のダンジョンマスター・現代編  作者: ぴっぴ
第2章 動き出す世界
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第15話 オタク達の宴

 魔物に襲われ各国の国民たちが絶望に沈んでいる所に、少しだけ光明が見える事態が起きていた。それは今まで影に生きてきた者たちに依るものだった。彼等は世の中の人間たちからは見下されていた、ネットではオタクと呼ばれていた者達だ、彼等はアニメやラノベを好んで見るので馬鹿にされていたのだ。俺としては何故アニメやラノベを読むと馬鹿にされるかサッパリ分からないが、何故かしょうもない小説を読む連中から馬鹿にされていたのだ。


「魔物来た~! 俺達の時代来た~!」


「レベルアップ来た~!!」


「ハーレム、ハーレム!」


 世界中に魔物が現れ、多くの人々が絶望している時に。極少数だが歓喜する者達がいた、そうオタクである。それも唯のオタクではない、異世界もの大好きオタク達だ。彼等は魔物を狩ってレベルアップし、女の子にモテモテ、金持ちになりハーレムを作って、更に建国して内政チートをすると言う夢を持ったオタク達だ。


 彼等は長年閉じこもった部屋から抜け出し、魔物を探して街をうろつきまわり。そして見つけた魔物に歓喜して襲いかかって行く勇者達だったのである。


「おらァ~!!!」


「ブモォ~!!!」


「うわ! うわ~!!」


「痛い! 痛い!!」


 だが現実は甘くなかった、長年部屋に引き籠もり体力も無く、頭も悪い彼等は現実にアッサリと敗れ、魔物の餌になっていった。現実の世界では実力が無ければ結果が伴わない事を知った瞬間に死んでいったのだった、これは誰にでも予想できる当然の結果だった。だが彼等は少なくとも戦う意思は有ったのだ、他人をあてにして生きている人間達より確実に勇者に近かったのだ。ただ圧倒的に実力が無かっただけなのである。


「引き籠もり達が死んだようだな」


「フフフ、奴らは我らの中でも最弱」


「全く、準備も無しに魔物に戦いを挑むとは愚かな奴らだ」


 そして愚かな引き籠もり達を見ていた更に上級のオタク達、彼等は何時かこの様な事態が起こると思い込んで色々な準備をしていた。この中にはゾンビに備えていた者達も勿論含まれていた。彼等はホームセンターやネットで色々な物を買いあさり、一人でも最低3ヶ月は暮らせる程の物資とサバイバルで生き延びる知識を日頃から溜め込んでいた。

 この日の為に運動をする者、武道をする者、半額弁当を狙って狼になった者等色々な勇者達だった、彼等は夢を実現させるために、一見無駄に見える事に人生を掛けて取り組む熱い漢達だったのだ。


 そして彼らも又街を徘徊し魔物を狙っていた。但し彼等は頭が良いので狩り易い獲物を探し出しても無茶はしなかった。


「うおォ~!!!!」


「グギャ!」


 ホームセンターやネットで防具を買い込んで、防御力を上げ、更に自作の武器まで持って攻撃力を上げている上級オタク達。彼等は一番弱そうな魔物に後ろから襲いかかるか、落とし穴を使い魔物を仕留めていった。


「レベルアップしたぞ~!!」


「マジ! 今レベルは?」


「2回したから・・・・・・レベル3?」


「何で疑問形?」


「ステータスとか出ないから分からん、けど少し強くなった様な気がする」


 彼等は用心深く魔物を狩ってゆき着実にレベルアップしていった、そしてレベルアップする度に少しずつ強くなっていったのだ。彼等の日頃の努力は実を結んだのだった。そして彼等は徐々にオタク仲間と合流してゆき冒険者組合を作ってしまった。そして団結を覚えた彼等は更に成長してゆく事になった。

 ここに世界初の冒険者組合が出来上がったのだ、但し、冒険者組合の入会審査は非常に厳しかった、入会資格は魔物を撃破した人間に限るというものだったのだ。


「おい、あれ見ろよ、ステルスさん達だぜ」


「お~あの人達がそうなのか。俺達と変わらね~な」


「そりゃあ、ステルスさん達だからな」


 そして冒険者組合のトッププレーヤー達の中にオタクの頂点の存在が居た。彼等はオタクで有る事を完全に隠し、社会に溶け込んで普通の人間のフリをする程の知能と忍耐力を持ち、更に戦闘力やサバイバルテクニックを金を貰って学ぶ方法として、自衛官や警察官等に一時的に就職して、必要な事を学ぶとサッサと辞めて民間に溶け込むと言う、外から見ただけではオタクに見えない、完全ステルスタイプのオタク達なのだった。上級オタク達は最上級のオタク達を畏敬を持って、最新型ステルスタイプのオタク、通称ステルス・オタクと呼んだ。


 最新型ステルスタイプのオタクの特徴として、彼等は非常に用心深く完全に勝てる状態でしか魔物と戦わない、罠でも何でも使えるものは何でも使う、卑怯は褒め言葉と言うのが彼等の特徴だった。そして彼等は元から強い上にガンガンレベルアップして更に強くなって言った。民間人で最強なのが彼等ステルスさん、なのだった。


「チョット、Aさん。討伐依頼が来てるわよ」


「うむ、内容は?」


「隣町にオークが増えてるらしいの、出来るだけ討伐して数を減らして欲しいの」


「良かろう、引き受けた」


「そろそろ、名前を教えてくれても良いんじゃ無いかしら」


「俺はA、それ以上でもそれ以下でも無い」


 彼等は絶対に本名を名乗らない、身元がバレるのを嫌うのだ。彼等は私生活でも完全にステルス生活を送っている、漫画のゴルゴ以上に用心深い人間達だったのだ。


「で? 依頼料は幾らだ」


「最低討伐数が5匹で10万円、後は1匹に付き1万円よ」


「了解した、C級冒険者ステルスチームAがその依頼引き受けた」


 この頃には冒険者達の活躍を知った政府が、冒険者組合を国の外部委託団体として認めていた。国や県、そして各自治体が冒険者組合に魔物の討伐依頼を出す様になっていたのだ。冒険者達は魔物を討伐した場合討伐部位を冒険者組合に持っていけば金をもらえると言う、ラノベの世界と同じシステムが出来上がったのだった。因みにゴブリン1匹5千円、オーク1匹1万円、オーガは1匹10万円と言う値段だった、冒険者のプロになれば一月100万以上稼ぐ猛者も現れた、そして最大の特徴は討伐の賞金は無税だったのだ、ただし討伐費用捻出のため国は消費税を20%に引き上げた。そして何時もの様にドサクサに紛れて公務員と議員の給料を上げて国民から顰蹙を買っていた。



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