第73話 遊びと相談と
お怒りの酒呑童子ではあるが、一緒にいた瑞奈ちゃんを見るやいなや一緒に黒奈といっしょに遊び始めてしまった。
酒呑童子は黒奈と違って俊敏性はないものの体力だけはあるので幼女との遊びでもどうにかついていけているようだ。
実際瑞奈ちゃんも楽しそうに「きゃう〜」と可愛らしい声を上げながら遊んでもらっている。
「俺様のパワーについてこられるかー?」
「ま、負けないよ~! きゃふ~」
「そーらそらそらー!」
酒呑童子まで一緒に楽しそうに瑞奈ちゃんを掴んではくるくると回している。
ちなみに瑞葉ちゃんはバランス感覚がいいようで楽しそうにしながらもその軸はぶれていない。
あれは転生の素質だなぁと思いつつも、ボクには絶対真似できないものだと悟る。
ボクはこう見えても運動は大の苦手なんだよ。
「暮葉~、構って~」
「黒奈、猫なんだから気ままに過ごしてればいいじゃん」
「猫じゃなくて猫又だよ~。はぁ~暮葉が構ってくれない~」
「あーもうわかったから」
黒奈は猫扱いされると嫌がる癖にやってることは猫なんだよね。
餌付けもされるし撫でられて喜ぶし、遊んでもらって喜ぶし。
まぁ今の時代の猫又ってどっちかっていうと人間と同じような物だからそうなるか。
ボクたち妖狐族も人間系妖狐って感じで動物的な方向じゃなくなってるしね。
「暮葉お嬢様、おやつをご用意いたしました。お代わりが必要になりましたらお気軽にお声掛けください」
「うん、ありがとう」
妖狐族メイドが大きな皿にたくさんのお菓子を用意して持ってきてくれた。
チョコレートやシュークリーム、スナック菓子や何気に豚まんとか肉まんといわれてるふかし饅頭も用意されている。
これは何が良いかわからなかったからとりあえず載せてきた感じかな。
「あの妖狐族のお姉さんの尻尾ももふもふ~。もふもふしにいきたい~」
「だめだよ、瑞奈ちゃん。あのお姉さんはお仕事中だからね」
「えぇ~? もふもふ柔らかそうな金色尻尾なのに~」
瑞奈ちゃんは自分も妖狐族なのに妖狐族の女性の尻尾に夢中らしい。
まぁ男性の妖狐族よりよく手入れされているからさわり心地いいし仕方ないか。
「じゃあ瑞奈の尻尾をもふるね~」
「わきゃ!?」
悲報、友達の猫又黒奈が幼女妖狐の尻尾をもふり始めた件。
これは事案ですよ事案!
「お~、もっふもふ~。毛も柔らかい」
「くっ、くすぐったいよ~……。わきゃ!? 付け根触っちゃダメぇ~! あうぅぅぅ……」
尻尾をつけ狙う瑞奈ちゃんも尻尾を触られるのには弱いらしい。
まぁさっき散々ボクが弄り回した後なんだけど。
あんまりやるとまた瑞奈ちゃんが動かなくなっちゃうからほどほどにしてほしいところ。
「うぅ~。くれはちゃ~ん! たすけて~!」
「あー、はい。すぐ行くよ。ほら黒奈? もう尻尾放してあげて」
「えぇ~?」
幼女の尻尾をもふる悪猫を何とか引き離しつつボクは軽い瑞奈ちゃんを抱き上げる。
するとまた再びボクにべったりくっついて動かなくなってしまった。
体温が上がっていて頬も赤くなっているので、さっきと同じ状態だろう。
「ほら黒奈? やりすぎ」
「ごめんなさい」
それからしばらくボクたちはお菓子を食べながらくだらない話をして過ごした。
その間ずっと瑞奈ちゃんがボクから離れなかったのでそのままお菓子を食べさせてあげたりした。
瑞奈ちゃん曰く、腰に力が入らないそうだ。
もう本当に事案じゃん!
「それでだ、謎の誘拐未遂事件の解決をそろそろ本腰入れてやらないとなって話になってよ」
「大江山勢で行くの? それとも鬼族の自警団で?」
「烏天狗も行くことになってるぞ。まぁ十中八九怪異のせいだと思うんだけど、尻尾が掴めなくてなぁ」
「なるほどねぇ」
話はしばらくして謎の小さい子の誘拐未遂事件の話になっていた。
一応GPSを渡されてはいるけどまだその何者かには出会っていない。
「とりあえずしばらくあのあたりは人通りが多くなるからな」
「わかったよ」
どうやら徹底的に調査が入るようだ。
さて、何がでるのやら。
「はぁ~、くれはちゃん、しゅき」
瑞奈ちゃんはまだとろんとした顔でうわ言のようにそう漏らしていた。
黒奈、やっぱりやりすぎだよ。




