表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き門・白き門  作者: 灰色人生
第一章 ミディア王国編
9/24

九話

 


 9・調査❷



 ▼○



 翌日機能戻って来なかったギルドの調査員が向かった区画へ数名を此処に残して向かう事が決まった。



 もしも今日の夜までに誰もメンバーが戻って来なければ、この事をギルドへ伝えに行ってもらう為に数名が野営地に残る事にしたのだ。




 調査メンバーは【苔の洞窟】がある区画へたどり着いた。



 特にこれと言った変化は見られなかった。


 もしかしたら【苔の洞窟】がランクアップしたのか?と皆で話し合ったがやはり、見て見ないことにはわからないと結論付け全員で、【苔の洞窟】へ向かった。



 向かう途中に出てくるゴブリンは倒しながら進むと迷宮の入り口に辿り着いた。


 入り口から中の様子を伺うが、特に変化は見られない。


 だが誰も油断せずに中へと進む。


【苔の洞窟】は三階層で構成されており、出現する魔物はゴブリンとスライムのみ、迷宮主であるゴブリンチーフはすでに倒している為にランクアップする筈はない。


 今までそんな例は無かったのでそう思っているがもしかしたら初めての例かも知れないとサーシェとラボックは気を引き締めて臨む。




 ■■■


 何の問題もなく1人も欠くことも無く。迷宮の中枢区コアの部屋へと辿り着いた。


 コアをギルドの調査員が念入りに調べるが前に調べた時と変わりないとの事だ。



 なら何が原因だ?と皆の頭の上に?が出た。



 迷宮から出て辺りを調査していると、1人の調査員が声を上げた。



 その声の元へ行ってみると【苔の洞窟】に似た洞窟を発見した。



 まあ、似たものがあっても不思議ではないか、と思いながらその洞窟の中へと入ると此処がすぐに迷宮だと気付いた。



 迷宮には独特な空気がある、何回か迷宮に潜るとその独特な雰囲気などを感じ取れる様になる。


 過去の経験から此処は迷宮だろうと、サーシェ達Dランク冒険者やギルド員は当たりをつける。



 十分に辺りを警戒しながら調査メンバーは迷宮の奥へと入って行く。



 ▼▲▼▲



 イニティウムは新たな侵入者を眺めていた。


 モニターに映る侵入者の姿形やその装備、雰囲気からベテランの冒険者だと判断した。


 今日までに侵入して来た冒険者や、魔物を倒して得たDPで新たに召喚したモンスターや装置を思い浮かべながらこの者達(侵入者)をどう料理して行こうかと、今から楽しみで、つい口元に笑みが浮かぶ。



 イニティウムは新たに召喚したモンスターに念話を送る。


『獲物が来た。貴様の力、それに貴様が鍛えた部下供の力見せてもらうぞ?』


『御意ニ御座イマス。我ガ力トクトゴ覧アレ』と、返事が返って来た。


 今回念話を送った相手は新たに第一階層の守護者に任命したモンスターだ。



 イニティウムがグラスを手に持つとそこへ側仕えとして召喚した、メイドの1人が赤ワインを注ぐ。



 このメイドの容姿は大層整った美人であるが、その正体は凶悪なモンスターの一体でもある。


 そんな存在が複数この玉座の間に佇んでいる。



 グラスに注がれたワインを一口口に含んで味わいながら飲み干す。


 そして、再び視線をグラスからモニターに戻す。



 ▽△▽△



 調査員のメンバーは立ちはだかる魔物を倒しながら奥へと進んで行くと広い空間に出た。


 仄暗い先を目を凝らして見ると、そこに何かがいる事がわかった。



「総員警戒!多数の魔物がいるぞ!」と、調査員の臨時のリーダーであるギルド職員が声を上げた。


 彼が選ばれた理由は今は冒険者を引退してギルドの職員になったが、引退する前は冒険者のランクがCであり、ベテランの冒険者であった為に選ばれた。


【漆喰の壁】の魔術士が『ライト』の呪文を唱えてそれを蠢く何かの元へと向けるとその正体が明らかになった。



 ライトの魔法で照らされた元に居たのは多数のゴブリンだ。


 だがその姿は普段見るゴブリンと明らかに違う。


 整然と隊列を組み、揃いの革鎧を着用して居る。


 中にはふた回り大きい個体も居る。


「こりゃ不味いね。普通のゴブリンもよく訓練された兵の様だしその上位種もいくつか見られるね。多分大きいのはボブゴブリンだろうさ、それとあれはハイゴブリンにゴブリンエリート、ゴブリンファイターにゴブリンメイジにゴブリンアーチャーとゴブリンの見本市みたいに沢山の種類が居るわね。撤退した方が良くない?」と言ったのは【漆喰の壁】のレンジャーを務める女性だ。


 それを受けてこのメンバーのリーダーを務めるギルド職員が撤退の合図を出すよりも前に、元来た道を封鎖する様に鉄格子が上から降りて来て道を封鎖する。


「こりゃ俺たちを逃す気がないって事だな」とラボックはサーシェに呟いた。


「ええ、そうね。それに多分此処が行方不明者達の原因ね。恐らくはもう、サム達もやられてしまったのかもね」と悲しげにサーシェは答える。


「なら、何としても此処を生きて出てこの事をギルドに知らせて此処を討伐せにゃならんなサーシェ」とラボックはサーシェを元気付ける。


「ええ、そうね。やってやろうじゃないの!」とサーシェは気合を入れる。



 撤退は無理と見たリーダーは密集して目の前のゴブリンの群れを突破するぞ、と指示を出す。



 それに各々了承し、まずは魔術士の魔法により突破口を開く事にする。



 魔術士が呪文を唱え終わるまで他のメンバーはその援護だ。




 ゴブリンからも矢や魔法が飛んでくる。


 それを巧みに躱したり、盾で防いだりしながらこちらも弓を持って居るものは応戦する。



 魔術士も呪文を唱え終わりゴブリンの群れへと魔法を叩き込むが、ゴブリンメイジが魔法障壁を集団で構築し、それを防ぐ。


 リーダーは素早くゴブリンメイジをまず倒すと指示を出し自身も突貫して行く。



 他のメンバーもそれに従う。


 サーシェは剣と盾を構えて近くのゴブリンに斬りかかる。


 ゴブリンが上から振り下ろす剣を盾を斜めに構えて受け流し、ゴブリンが振り下ろした剣を戻すよりも早くに剣を一閃してその首を跳ね飛ばす。


 首を切り飛ばしたゴブリンの胴体をその後ろのゴブリン目掛けて蹴り飛ばす。



 蹴り飛ばされたゴブリンの胴体を受けたゴブリンが体制を崩した隙を突いて、そのゴブリンの顔めがけて剣を振り下ろし、一刀両断にする。



 そんなサーシェの後ろから襲いかかったゴブリンの頭をラボックの斧が襲いかかる。





 サーシェとラボックは背中合わせになりながら阿吽の呼吸でゴブリンの群れを突破して行き、ゴブリンメイジの元まで辿り着いた。


 ゴブリンメイジが近くの護衛のゴブリンになりやら「グゲ、グギャグギャ」と指示を飛ばすがそれよりも早くサーシェは一歩踏み出し、ゴブリンメイジを袈裟懸けに斬る。


 その事に驚いている護衛のゴブリンを纏めてラボックが斧で叩き斬る。


 他の所に目を向けると、そこでも【漆喰の壁】が丁度ゴブリンメイジを倒す所だった。


 辺りを見渡すがゴブリンメイジを全て排除出来た様だ。


 そこへ後方で控えていた魔術士達が魔法を叩き込む。


 今度は魔法障壁に邪魔される事なく魔法はゴブリンの群れに炸裂した。



 そうして炸裂した場所のゴブリンは吹き飛び隙間が出来る。


 そこへ「今だ!全員彼処へ向かって走れ!」とリーダーが告げると全員隙間が出来た空間に駆け出す。



 何とか全員が通り抜けると後ろのゴブリンに向かって魔術士達がストーンウォールを作り出し足止めする。



 全員擦り傷などはあれど目立った外傷は無く無事な様だ。



 リーダーは、マッピングして来た紙を見ながらこれからに着いて話す。


「ふぅ、よし。これからの事を話すぞ。第一の目標は達成された(行方不明者達の原因)此処に長居するのは得策じゃない。何としても力を合わせて出口へと辿り着くぞ」



 その後全員で意見を出し合うがやはり初めての迷宮だけあり、此処がどう言った種類の迷宮かはまだ判断出来ないので慎重に進み、出来るだけ戦闘を避けながら出口を目指す事に決まった。



 暫く休憩した後再び出口を目指して動き出す。





 To be continued.......







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ