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黒き門・白き門  作者: 灰色人生
第一章 ミディア王国編
10/24

十話

 



 10・調査③



 ▼○



 暫く進むと十字路に差し掛かった。


 普段ならこういう分かれ道に出た時近くに糸を結んでそれを垂らして進んで行く。



 そうするとその先分かれ道があり、行き止まりに出会った時糸を目印に元来た道を戻れるからだ。



 だが残念ながら今回はそんな装備などを持って来ては居なく慎重に進んで行くしかない。



 調査員総勢18名が二列になり進んで行く。



 その後出会った魔物は統率の取れて居ないゴブリン(普段出会う普通のゴブリン)とスライムのみだ。



 それから暫く進むと鉄の扉の前に出た。


 この雰囲気から察するにこの先に階層守護者であり、次の階への門番である魔物が待ち構えているのだろう。



「ちっ、出口を目指す筈が次の階層への階層部屋に辿り着いちまうとはな」と苛立ちを表にする【漆喰の壁】のパーティーリーダー。



 だがそう嘆いても仕方がない来た道を戻るかと一行が振り向いた先には、武装したゴブリンの集団がいつの間にか迫って来て居た。


「なっ!?いつの間に!?周辺はちゃんと警戒して居た筈だ!それもあの様な数を見逃す筈が………」とギルド職員の1人が絶句する。


「こうなれば皆さん、前へ進みましょう。奴らは中へは入って来れません」とリーダーが告げる。


 それに頷き慎重に扉を開けて中へと入る。


 何故後ろのゴブリンが中へと入れないのか?それは迷宮では階層主の部屋に入ると全ての出入口が閉ざされて階層主か、挑戦者の何方かが死ぬまで開かなくなる。


 これが何故なのかは今の所判明しては居ないが少なくとも階層主の部屋に入れば奴らは追って来れない。



 全員が部屋の中へと入ると独りでに扉が閉まりロックが「ガチャリ」と掛かる音がした。


 部屋の中にある燭台に自然と火が灯り部屋の中が明るくなる。



 部屋の中の中央は少し段差があり高くなって居た。


 その中心に椅子が置いてありそこに一体のゴブリンと思わしき魔物が腰掛けて居た。



 何故思わしきなのか、それは彼らの中の誰もその個体の姿を初めて見たからだ。


 その周りにも同じく見た事もないゴブリンが複数体侍って居た。



 だがその中でも一番位の低いと思われるゴブリンは聞いたことがあったのか、ギルド職員が口にする。


「あれは……」


「ん?何かしっているのか?」

 このグループのリーダーを務める職員が同僚に尋ねる。


「いえ、その確証はありませんが。あのゴブリン達の中にいる跪いているゴブリンですが、私の前に見た魔物図鑑で見た事がある様な気がしまして」


「その図鑑ではあのゴブリンの事は何て書かれていたんだ?」


「はい、あのゴブリンはゴブリンナイトと呼ばれていまして、その……ランクは10と表示されていました」


 Level:3 〈ゴブリンナイト〉


 名前:ノーネーム

 職業:騎士

 性別:男

 所属:ダンジョンモンスター

 ランク:10


 HP:870/870

 MP:350/350

 STR:740

 DEX:760

 VIT:690

 INT:130

 AGI:310

 MND:145

 LUK:139


 -スキル-

 剣術LvV

 盾術LvIII

 格闘LvII





 ランク10は冒険者で言うとC級相当に当たる。


 そんな個体が傅いているのが複数体いる。


 これは不味いな。とサーシェやラボックは冷や汗を流す。



 現在のラボックとサーシェのステータスは以下の通りだ。


【ステータス】


【名前:サーシェ・ウィトウィキ】

【女性/普人族(ヒューマン)/平民】

【ミディアム王国人/冒険者】

【職業:戦士】

【状態:疲労】

【年齢:21】

【Level:17】

【スキル:剣術LvI】


 HP:243/310

 MP:13/54

 STR:142

 DEX:86

 VIT:60

 INT:79

 AGI:95

 MND:42

 LUK:28





【ステータス】


【名前:ラボック・サグマラソ】

【男性/普人族(ヒューマン)/平民】

【ミディアム王国人/冒険者】

【職業:戦士】

【状態:疲労】

【年齢:23】

【Level:19】

【スキル:斧術LvII】


 HP:120/360

 MP:27/60

 STR:190

 DEX:120

 VIT:98

 INT:83

 AGI:108

 MND:58

 LUK:30



 と開きがある。










 座っているゴブリンが言葉を発する。


「行ケ」と、ただそれだけの命令を下すと、ゴブリンナイトが一斉に立ち上がり剣を抜き構える。



 ゴブリンナイトの数は20体もおりそれ以外にもまだ十数体も椅子に座っているゴブリンの近くにいる。



 勝ち目は限りなく低いだろう。


「くそ!兎に角やるしかねぇ!オメェら行くぞ!」と【漆喰の壁】のリーダーが仲間に発破を掛けてゴブリンナイトに向かって駆け出す。



 それを見てこのグループのリーダーであるギルド職員も他のメンバーに指示を出して攻撃に移る。



 サーシェはラボックと目配せし、一体のゴブリンナイトを左右から挟み討ちにする様に回り込み剣を振り下ろす。



 ゴブリンナイトはサーシェの剣を盾で受け止めると剣で隙の出来た、サーシェの脇腹目掛けて剣を突こうとするが、それよりも速く回り込んで来たラボックがゴブリンナイト目掛けて斧を振り下ろす。



 そのままゴブリンナイトの頭蓋を粉砕するかに思えたラボックの斧が後ろから駆け込んで来たもう一体の、ゴブリンナイトの盾で受け止められた。



 ラボックの斧を受け止めたゴブリンナイトはその醜悪な顔をニヤリと笑い余計に醜悪に変えた。



 ラボックは悔しそうに顔を歪ませながら自らの斧を受け止めたゴブリンナイトを右足で蹴飛ばして距離を取る。



 そしてサーシェに剣を突こうとしていたゴブリンナイトは一瞬ラボックに視線を向けていた為に、自らの突きをサーシェは何とか躱して後方へ飛び距離を空けていた。



 突きだした剣を引いて構えなおしてゴブリンナイトはサーシェに斬りかかる。



 その後数分間同じ様な事が繰り返されて行くとラボックとサーシェが先に体力の限界に来た。



 ゴブリンは総じて体力が高くまだまだ元気そうだ。



 辺りを見渡すといつの間にかギルド職員はリーダーを務める元Cランクの男しか残っておらず、【漆喰の壁】も半数が死に残りの半数もボロボロだ。



 痺れを切らしたのか、椅子に座るゴブリンが近くのこれまた立派な体躯のゴブリンに指示を出す。



 すると指示を受けたゴブリンが装備を整えてこちらに向かってくる。



 それを見たゴブリンナイト達の顔は一斉に青ざめて何やら許しを請うている。



「オマエ達ハ下ガレ」と新たに出て来たゴブリンに言われると大人しく従って後ろに下がった。



「全ク不甲斐ナイ。コノ程度ノ獲物二時間ヲ掛ケ過ギダ」


 と言い立派な鎧を着たゴブリンが動いた。



 動いたと思った時にはその巨躯のゴブリンはいつの間にか元Cランクのギルド職員の後ろに居た。


 剣はいつの間にか抜き放っており、その剣には血が付着していた。


 何が起きたか理解が追い付くよりも速くにギルド職員が口から血を吹き出し倒れ伏した。




 理解が追い付くと同時にサーシェはラボックに目配せする。



 その意図を読み取ったラボックは腰に下げていた煙玉を思いっきり地面に叩きつける。


 地面に当たった煙玉は割れて中から煙が一気に吹き出す。


 その煙に紛れてラボックとサーシェは逃げ出す。



 後ろから悲鳴が聞こえる。


 おそらく【漆喰の壁】の誰かがやられたのだろう。


 だがそれに構っている暇は無く、二人は必死に駆け出す。



 後ろから聞こえて来た怒号や悲鳴が止まり静かになり、後ろを振り返るとそこには倒れ伏した【漆喰の壁】の姿を煙の隙間から、窺い知れた。






 To be continued......








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