君と僕の内部統制4
僕がチョークを右手に持って、黒板に文字を記しをつけようとした瞬間、勢い良く教室のドアが開いた(ぎぎぎとドアがつっかえるような音ともに)
「あら、みんないたんだ。クリスマスが近いっていうのに暇なのね」
「うーさい」
進は、ふくっれつらで橋本の方を見た。橋本は、元気よく笑っている。
「あら。なんか面白そうな絵が書いてあるわね。これ、進が書いたの?上手ね。幼稚園生とか喜びそうな可愛らしい絵だわ」
橋本は、驚いた表情を見せた。不意に、飴と鞭をいただいた進は、嬉しそうにしたり恥ずかしそうにしたりしていた。橋本は気が済んだのか、その後静かにだまって黒板を見ていた。僕が、チョークを持っていたから察してくれてのかもしれなかったが。僕は、気を取り直して、黒板の絵の一つにマークをして、進の問いに答えた。
「一人だけ自由な人がいる。そうそれは、お父さん」
「正解っ」
進は、小さく拍手をしてくれた。そして僕は、正解を導き出せたことに安堵した。
「そう、お父さんはこの中では自由である。自由なんだ」
進は、力強く言った。
「でも、それゆえに内部統制には弱点があると言える。統制、統制と連呼したとしても、現時点においてはお父さんを統制できる環境にはない。しかも、このゲームを買うまでの流れを考えたのはお父さんである。だから、君にクリスマスプレゼントをあげよう!といってゲームを買う場合、お父さんはお母さんの承認など不要で、勝手に君に買ってきてくれることになる。まぁ、悪くない話ではあるが」
僕からしてみれば、進の今話している話はメリットだらけである。お父さんの優しさが滲みでてしまうかもしれないエピソードだ。
「逆に、お父さんはゲームを勝手に買ってこれるとも言える。すなわち、お父さんは自由なんだ。内部統制なんて最初からなかったことにだってできる存在だ。これを内部統制の無効化リスクとかっていうらしいんだ」
進の難しい話に入ったことだけは、僕はわかったのであった。




