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夏の終わり

 僕らの夏は終わった。

 夏の合宿は、その後順調にやることをやって、自然と時が流れて終わっていった。旅館の女将さんは「またいらっしゃい」と優しい声をかけてくれた。僕らは、満面の笑顔で返事をして旅館を後にした。

 帰りのバスで、他のみんなは爆睡であったが、僕は窓の外の景色をじっくりと眺めていた。海が、風の力でゆらゆらと綺麗に流れていた。楽しい合宿でもあり、良い勉強にもなり、そしていい思い出になった。簿記部に入ることはあまり気の進むものではなかったけれど、こんな感じで3年間が進むなら楽しいなと思うのであった。

 鎌倉駅に着くと先生は、一言みんなに言って解散となった。

「みんなお疲れ。合宿はお家に着くまでが合宿なので、気を引き締めて帰りましょう!そして、夏休み明けからは、簿記検定に向けての勉強も始まる。そしてなんといっても文化祭がある。商業高校の文化祭は他の普通科高校とは大違いだ。楽しみに。じゃ、後の事に夏休みを満喫しよう」

 お土産の詰まった袋を両手に抱えて帰る先生を見送った後(先生が身軽に現れたのはその理由らしかった)、僕は、みんなに挨拶をして横須賀線になった。やはり、帰る時でも外国人が鎌倉駅をバックに自撮りをしていた。僕はすぐ帰ったが、進はすぐには帰らなかったらしい。橋本や桜たちと駅までおしゃべりをしばし楽しんでから帰ったらしい。進の話を聞いて面白かったのが、おしゃべりをしていて、しばらくして停留所に入ってきたバスが、バスの上部についているミラーと標識をぶつけて、ちょっとしたガラスが激しく割れる爆発音を発した話だ。

 爆発音に気づいた観光客のおじいさんが、「えらいっこっちゃ、ダメだよこんな。あーあー。なにやってんだよ」と怒りの言葉を何回も連呼しながら、持っていた一眼レフで写真をずっと撮っていたことだ。発言と行動が一致していないという状況を想像して僕は笑ってしまった。


 家に着くと誰もいなかった。多分、買い物だろう。

 僕は、もっていったキャリーバックを開けて荷物の整理を行った。たくさんの江ノ島での思い出が詰まったバックだった。あまり、旅行は行ったことないのだけれど(中学の修学旅行等しかなかった)、この瞬間はいつも心がきゅんと小さくなるのがわかる。荷物を整理するのは大変面倒な作業なのだけれど、思い出も整理してしまうのではないかという気持ちが働いてしまうのだ。たこせんべいとともに買った、江ノ島と書かれたTシャツ。きっと外国人向けだったのだろうが、僕らは関係なしに5人お揃いで買った。そうだ、文化祭があると先生は言っていたから、簿記部で何かをやるときに、この江ノ島Tシャツを公式シャツとして着ながら何かをやりたいと思った。

 疲れた体に鞭を打って、僕は荷物の片付けをしていると、両親が帰ってきた。どうやら、僕を除いて、みんなでやはり買い物に行ったらしい。なんだか、家に帰ってきたという実感が少し湧いてきたのだった。

 

 

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