話し合い
次の日、姫子とあやねと花は昼休みを使い、姫子とあやねの教室に集まっていた。
姫子の席は窓側の一番前。花の分のイスをクラスメイトに借り、姫子の机を中心に三人で座っていた。
「飯島先生の話をまとめると」
姫子は神妙な顔で続けた。
「飯島先生は一人だけ紹介出来る先生を知っている。で、その先生にはおいしい食べ物を渡し、料理部の顧問になれば美味しいものが食べられますよ、とアピール出来れば顧問になってくれるらしい。だから、私達は飯島先生に紹介してもらえる明日の放課後までに、おいしいものを作っておく、ということね」
姫子は黙ってあやねと花の返事を待つ。けれど、二人はイスに座っているものの、お互い顔は背けていて、喋ろうともしない。
教室の中の騒音が三人の前を通り抜ける。
「……もう、いいかげんにしてよ」
姫子の恐ろしく低い声に、あやねと花はビクリと肩を揺らし、姫子を見た。
「料理部の危機だっていうのに、二人はケンカばかり。大変な状況だからこそ、三人で力を合わせなければならないのに」
下を向きながら、姫子は淡々と喋る。優しい姫子らしからぬ態度に、あやねと花はおろおろし始めた。
「勝手すぎるよ」
姫子はガタンとイスを動かし、立ち上がった。そして、何も言わずに教室を出て行った。姫子の席には、あやねと花だけが残された。




