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女子生徒のプレゼントがパンティーって、何?流行ってるの?



和葉かずは君、私はね、君のことを信頼しているからこそ、あの生徒達を預けているのだよ?」

「……はい」


 

 俺は今、校長室で正座をした状態でいた。



 昨日の放火について、この問題について。それを今、この場で問われている。



「なのに何なのだね、あの失態は」



 失態もなにも、問題ごと全てを押し付けるかのように仕向けたのはお前だろうが!


 

「それについて何か言うことはあるのかね」

「……すいません」



 ……なんてことをいえるはずがない。



「ですが、何かあっても大目に見ると、そう校長はいっていたじゃないですか」



 初日、あの荒れ果てたクラスの内部を見て、俺はすぐさま校長室に駆け込み問い詰めた。すると校長の口から、何かあっても許容範囲内なら目を瞑る。という承諾を得ていたのだ。



「だが、放火は既にその許容範囲内を超えているのだが?」



 そういって、校長は手に抱えていた新聞を見せる。そこにはこう書かれていた。


 

【昼間に学校で火事、原因は花火による出火!!】


 

 新聞の丸々1ページを使い、小屋の火事について大々的に乗せられている。



「運悪く、丁度通りかかった記者のヘリが、火事になっているところを目撃してしまってね、スクープとして取り上げられてしまったのだよ」

「……すいません」 

「だが、大体のことは大目に見るといったのも事実、今回のことは大目に見る、しかし今後は、なるべく揉め事を起さないようにしてくれたまえ」

「……分かりました」



 教師とはこれほどまでに大変なのか……?


 

 生徒の問題は、俺の問題。生徒が問題を起せば、その矛先は俺に向かってくる。



「…失礼しました」


 俺は校長室を後にし、扉を閉める。いつも校長室の扉は、何故かとても重く感じる。



 はぁ~……。



 まだ一日が始まったばかりだというのに、もう気持ちが重い。意気消沈といったところだろうか。



「あ、あの!先生!」

「ん?」



 校長室の前を後にしようとすると、声をかけられた。なんだと思い、声のする方へ顔を向ける。



 そこには、柴木しばき私枝しえ香澄かすみの3人が立っていた。



「なんだお前等か、どうした?」


 

 今回俺が怒られる原因を作った張本人達ではないか。一体こんなところで何をしていたんだろうか。



 まさか、また問題でも起したんじゃ……。



「あ、あの、ごめんなさい!」



 と、柴木は俺に深々と頭を下げた。



「え?」



 続いて私枝と香澄も同じように頭を下げる。



 どうやら校長室の前で、俺が出てくるまで待っていたようだ。3人揃って謝るために。



 ……なんだ、以外に可愛いところあるじゃないか。



 てっきり謝るなんてしないと思っていた、だが、そうそう自分の生徒を捨てたもんじゃないな。



「いや、わざわざ謝りにくるなんて、……俺はお前等のことを見誤っていたようだ」



 今回の素直な謝りに免じて、昨日のことは大目に見よう。って、あれ?まるで校長の受け折みたくなってるような……。



「それで、あの、お詫びの印としてはなんだが」


 

 そういって柴木は、何やらリボン結びした、小さな白い箱を取り出した。



 ……なぬ。



 このシュチュエーション、そして女の子(女子生徒)からのプレゼント。そしてさらに顔を赤らめている女子生徒の姿。



「な、なんだよ、早く受け取れよ!」



 先頭に立つ柴木はもじもじとした姿で、手に持っている箱を受け取るよう促す。



 ここまで条件が揃っているのだ。俺はそれほど鈍い男ではない。



 考えられることはただ一つ。



 手作りクッキーか何かか?!

 


 生まれてこの方、女子からプレゼントを貰っていなかった分、これは嬉しい。



 やっべ、興奮してきた。



 ……って、待て待て落ち着け俺!教師である俺が女子生徒の前で興奮するとか危ない人じゃねえか!まずは落ち着くために深呼吸だ。

 


 スーンーハー、スーンーハー。



 よし。落ち着いた。



「では、ありがたく!」

「お、おう」



 受け取ってみると、予想以上に軽い。



 なんだろう、軽いってことはやっぱり、クッキーなのか?!



 柴木は問題児ではあるが、問題を起さなければ活発で元気のいい、それでいて可愛い女の子ではあるのだ。


 

 そんな可愛い女子生徒からのプレゼント。これはもう、俺は勝ち組ということでいいんじゃないか?



「っじゃ、じゃあ私達はこれで失礼するね」



 顔を赤らめたまま去っていく3人の女子高生。その後ろ姿を見つめる。



 ……ふむ、悪くない。


 

 神は俺に天職を与えてくれたのか。 教師という職業、なるほど、悪くないじゃないか。



 柴木から受け取ったプレゼントを見る。


 

 ヤバイ、何が入っているのか確認したい。したくてたまらない。

 


 よくお楽しみは、帰ってからのお楽しみというが、後で今楽しもうと今楽しもうと結果は同じことじゃないか!



 フーンフフフフーン♪



 リボンの結び目を解き、鼻歌を歌いながら箱を開ける。



 っお、開いた開いた……ってなんぞこれ?



 クッキーかと予想していたのだが、箱の中に入っていたのは小さく丸まった布のような物だった。



 ……ハンカチか?



 手に持って布を広げてみる。



 ……うん?



 それを見て、思考が一瞬停止しかけた。



 ……これはあれだよな?あれ以外ないよな?



 布の端と端を両手で持ち、広げる。



 それはパンツだった。いや、パンティーと呼ぶべきか。



「_ッ!ななななななんてものを寄越しやがるあいつ!」



 こんなものを持っている姿を誰かに見られでもしたら!



「さっきから校長室の前で君は何をしているのかね?」



 と、丁度校長がドアを開けて出てきた。



 俺がパンティーを両手で広げて持っている姿が校長の目に映る。



 多分、そのとき校長の目にはこう映って見えていただろう。



 学校にある、女子生徒の下着を盗み、そしてそれを広げ見ている姿。


  

「………」


 

 ガチャ、 カシャリ。


 

 校長は何も言わず、無言で扉を閉めた。その後扉の鍵を閉める。



「こ、これはその、違うんです!誤解です校長!」



 必死に扉に手を叩きつけるが、扉はビクともしない。まるで中に鉄板か何かを仕込んでいるかのようだ。



 っく?!いつも異様に重いと思っていたのは気のせいじゃなかったのか!?



 いや落ち着け、落ち着くんだ俺、まだ間に合う。弁解の余地は残されているんだ。



 今から急いで柴木を呼んで事情を説明すれば!



「あ、もしもし警察ですか?」

「こうちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」







 ~問題児資料~


 

 柴木菜名瀬しばきななせ

 

 ・パンティー悪魔


 上記を追加


 

 

 ~柴木しばきの返答~


 

  活発で元気がいいのは大変良いことですが、常識というものをまずは考えましょう。

 あと、花火をするなら火を消せるよう、バケツに水を入れた状態を用意してから行うようにしましょう。



『私のパンティー気にいってもらえました?』



 職員室に来ようか




 ~私枝しえの返答~


 

 友達は良く見てから選びましょう。



『…良く見たら気味悪がられました』


 

 そういう意味でいったのではありません




 ~香澄かすみの返答~



 笑ってばかりで先生には何を考えているのかさっぱりです。



『あはは~【面白い】あははは~【楽しい】あはははは~【超楽しい】』



 だからなんなのですか




 ~高田こうだの返答~



 これからよろしくお願いします。



『おう、宜しく!俺に出来ることあったら何でもいってくれよな!』


 

 じゃあ、今先生牢屋にいるので、

 私の無実という弁解をお願いしてもいいですか?



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