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第18話_王様の登場です

だいぶ時間が空きましたが今年の初投稿です。

今後とも宜しくお願いします。

ざわり


シュウが対応を迷っていると周囲を囲んでいた人垣がざわめきを起こした。

また何か起きたのかとシュウは視線だけでざわめきの起きた方を見ると、その方向にいる人々は先程までとは違いシュウたちの方を見ていなかった。

囲んでいる外側の方を向き一歩後ずさる。

するとその動きによって別の誰かに体がぶつかり、ぶつかられた方も訝しげにぶつかってきた人物の視線を辿り同じように後ずさる。

その波はあっという間に広がり今やシュウたちの方を見るものの方が少なくなってきた。

こうなると大臣も放っておけなくなり何が起きたのか確認するため丁度人垣が割れ視界の開けた方に目を向け・・・そして固まった。


「な、何故・・・」

「?」


シュウも人垣が割れたことでその原因となった人物が近づいて来るのが見えたが何故周囲の人々が、そして大臣が動揺しているのかは不明であった。

が、それもすぐに判明する。


「お、王よ。何故このような場所に?それも護衛もつけずに・・・」

「ふむ、大臣よ。我が動くのに貴様の許可がが必要か?それに我の国で我が動くのに護衛が必要とは思えんな」


王と呼ばれた人物の言葉に大臣は言葉もなく視線を下げる。

そしてシュウは現状把握が出来つつあった。


(つまりこの人はこの国の王様。そして何故かはわからないけどこの場に来たことは大臣も予想外だったと。・・・しかし王様が護衛を付けないのはホントにどうなんだろう?)


シュウはそんなことを思いつつも半ば納得していたりする。

王の言うとおりこの国は職人の国であり王という権力に対してはそこまで強い印象を受けなかった。

というかダンの話を聞いている限り職人たちは自分たちがのびのびと作りたいものを作れればそれでいいと思っている雰囲気さえ感じられる。

更には王の体はドワーフらしく身長こそ決して高くはないが、その体にはこれでもかと筋肉が詰め込まれ、それが見かけだけではないことを纏う雰囲気が教えてくれる。

恐らくその辺にいる程度のチンピラでは文字通り相手にならないのだろう。

それでも王という立場にあって護衛を付けないのはどうかと思うが。


「さて、我がここにいることは良いとして・・・大臣よ。これは何の騒ぎだ?」

「は、はっ!この工場には国家反逆罪の容疑が掛けられており、私がその判断を下すべく参っておりました。そして罪が確定的になりましたので全員を拘束しようとしていたところにございます」

「国家反逆罪、のう」

「いかにも!この工場の者たちは本来公開されるべき技術を秘匿したばかりか国を代表して来訪している私の言葉を無視する暴挙に出ておりまして。そのためこの工場にて作成されている製品を押収し、本来然るべき技術の公開を行うところにございました」


大臣はここぞとばかりに言葉を続けるが王はどこか呆れたような雰囲気を出している。

しかしその大臣はそんな王の様子に気づくこともなく我が意を得たりといった様子である。


「さて、この工場の主よ。大臣の言うことは間違いないか?」

「王!私の言葉よりこの工場の主の言うことを優先しようというのですか!?」

「そうではない。そうではないが一方の言うことばかり聞いても状況を把握できぬのではないか?」

「ぐっ」


自分の言葉を王から否定され大臣はやや悔しげに声を漏らした。

そんな大臣に構わず王はダンに向かい声をかける。


「で、どうなのだ?」

「は、はっ!わ、私どもの工場に冒険者が訪ねてきたのがきっかけでございまして。その者が言うには他の工場に依頼を断られ、他の国にて知り合った私の弟子と偶然この国で再会したとのことで私の工場にやってまいりました。元々私の工場でも話を聞かず断っていたのですが弟子からの紹介でもありましたので話を聞いたところ我々の知らぬ技術を持っておりましたのでこうして共同で作成を開始したところであります」

「ほう、この国のドワーフが知らぬ技術を冒険者がのう。さて、では次はその冒険者にも話を聞かねばなるまい」


ダンが説明中何度か視線を向けてきたので王にも話を持ってきたのか理解したであろう冒険者、つまりシュウに目を向ける。

てっきりダンの説明だけで終わると思っていたシュウは突然話を振られて少々動揺してしまった。


「お、俺!?あ、いや私ですか?」

「貴様ッ!王に向かいなんという言葉遣いを!えぇい、兵士よ、こやつをさっさと捕らえなさい!!」


多少言葉遣いが怪しくなったところですかさず大臣が口を挟んでくる。

が、しかし。


「大臣よ。我が話しているのだがそれを遮るのか?」

「しかし王よ!」

「我がいいと言っているのだ。貴様は少し下がっておれ」


すかさず王が大臣を牽制し話し合いの舞台から弾き出す。

こう言われてしまえば大臣は引き下がらざるを得ず悔しそうにしながら一歩下がる。

そんな様子を見つつ、シュウは王に向かい今度は冷静に言葉を紡ぐ。


「えぇと、多少の無作法にはご容赦願えると助かります。では私の提供した技術の話でよろしいでしょうか?」

「正式な謁見でもないので言葉遣いは追求せぬ。そしてお主の持ってきた技術に我は興味があるのだ」

「それで良ければ。そうですね・・・話をする前に実物を見てもらったほうが早いですかね。これをどうぞ」


そう言いつつシュウは腰に挿していた自らの武器、黒刀を王に向かい差し出した。

武器に手をかけたことで兵士がやや警戒の色を強くしたが、鞘から抜くことなく差し出したことで兵士も武器を抜くことはなかった。


「この剣が何か関係あるのか?」

「これは剣ではなく刀という武器です。いえ、武器の名前は今は関係ありませんが私が提供した技術というのは刀の材質の方です」

「材質?・・・これは」


シュウに促され刀を受取り、鞘から引き抜き出てきた刀身に王は思わず目を引かれる。

色こそ黒一色であるが表面には艶があり、そして強靭さと剛性が共存しているその様に思わずため息をつく。


「その刀は見た目だけのものではありません。魔力を通してみてください」


王はシュウに言われるがまま刀に魔力を通してみる。

この王もこの世界の住人らしく魔法を使ったりは出来ないが魔道具を使用する際に使うため魔力の基本的な操作くらいは可能である。

シュウに言われるがまま王は刀に魔力を通してみる。


「これは・・・」


そしてその魔力の通り方に自らの知らぬ異様なものを感じ取り思わず感嘆の声を出す。


「それが私の提供している素材『魔鋼』です」

「ふむ、初めて聞く名だな。製法を聞いてもいいか?」

「えぇ、構いませんよ。特に複雑なことはありません。まず・・・」

「お待ち下さい!!!」


これまでにない大きな声が響きこの場にいる全員が発生源、大臣の方に注目を向けた。




なかなか更新ペースを上げられず申し訳ありません。

予定より時間は掛かりそうですが完結までは続けますのでよろしくお願いします。

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