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第02話_説明します

『飛行艇』


ゲームでも定番であるが、終盤になると仲間たちと共に空を移動する際に用いられる乗り物である。

ゲームにより形状や名称が違うが、共通するのは『空を飛ぶ乗り物』である点だ。

そこでシュウの考えた『飛行艇』が出てくる。

シュウの作りたいそれは海を行く船をベースに獣王からもらった魔石の力により空を行く物にした形である。

なぜ船なのか、そしてそれを飛ばす意味があるのか、という点について突っ込むのは無粋であろう。

何故ならばそれがロマンなのだから。


「それで、そんなものを作ってどうするんですか?」

「え?だってかっこいいじゃん」

「「「「・・・」」」」


女性陣がジト目で見てくる。

どうやら男のロマンは通じ辛いらしい。

しかし魔石の所持者はシュウであり、そのシュウが作るというのだから止めようがないのが現状である。


「ところで主殿、先程の話に出てきた『じどうしゃ』というのは?」

「んー、馬がいなくても動く馬車、みたいなものかな」

「それは便利そうじゃの。どうしてそっちは作らないのじゃ?」

「だってそれを作るだけならこんな大きな魔石いらないし」


シュウの言っていることは本当で、仮に普通の自動車程度の動きを馬車にさせようと思った場合オーバースペックにも程がある。

では魔石の出力に合わせた物を作ろうとしらレーシングカーの数十倍の速度が出るものになってしまうだろう。

そんなものが大して街道を爆走してしまえば周囲の通行者のみならず、サスペンションやゴムタイヤなどの装備も無ければ搭乗しているシュウたちもただでは済まないだろう。

そして大した知識のないそれらを再現できるとは最初から思っていない。

ならば速度を制限すれば、となるのだがそれではせっかくの魔石が台無しである。

その点、船を飛ばすだけでもそれなりのエネルギーがいるし、ある程度の速度を出そうと思えばこの魔石でなければならないだろう。

と、そこまで説明したところでティアナ達の意見は何も話し合っていないのに統一されつつあった。


(ならばいっそのこと分割してしまえばいいのでは・・・?)


一応ガルムでは国宝扱いだったらしいが、先に記している通りこれは既にシュウに所有権が移っている。

そのためシュウが砕くと決めれば誰もそれを咎めることなど出来ないだろう。

それをしたくないのはシュウの「せっかくの大きな魔石なんだし」という発言によりされることはないのだが。

その理由が『飛行艇』を作るための布石であることは隠し切れない事実である。

ちなみに『魔石を砕く』という行為はそれほど簡単なことではない。

厳密に言えば簡単なのだが、『任意の大きさになるように砕く』というのが至難の業である。

地面に落とした程度では割れない程度の硬さを持っている上に、割れるときは一気に粉々になる。

そんな性質を持つがゆえに一発勝負で砕こう、という気にならないのも仕方がないだろう。


「まぁ、しょうがないですね。しかし『飛行艇』、ですか。最初は普通の移動手段でも作るのかと思ってドワーフの国へ行くことを勧めたのですが、そんなものを作るのであればさすがにドワーフといえども難しいかと思います」

「それはそうだろうね」

「では何故反対しなかったのですか?」

「空を飛ばす部分の機構は俺が作るよ。でもそんな用途に使える船の外装までは難しそうだからそこを担当してもらおうと思って」


この言葉にティアナも納得した。

実在する物や多少の応用で実現可能なものであればドワーフも充分に対応可能だろう。

しかし空を飛ぶなど現実離れしすぎたアイディアを実現してもらうとなるとかなりの難易度となる。

それを懸念していたわけだが、そこはシュウが担当するのであれば比較的簡単になるだろう。

何故ならば、シュウは既に単体であれば空を飛ぶ魔法を習得済み(開発済み)であるし、魔道具の作成も何度か行ったことがある。

さすがにこのサイズの魔石を扱ったことはないがシュウであればなんとかするだろう、という大した根拠の無い、それでいて信頼性抜群の言葉が出てくる。


「まぁ主殿がやるといえばそうなのじゃろう」

「というかうちらは大分慣れてるっすけど、いや慣れるのもどうかとは思うんすけど、とにかくシュウさんの事をよく知らないドワーフさんたちが受け入れてくれるかが不安っすね」

「大丈夫ですよぉ。多分ですけどぉ」


リエルが気楽な事を言っているが、懸念を発したフィアですら「思いついたので言ってみただけ」という感じである。

確かにフィアの意見も尤もなのだが、それはあくまで普通の人に話す場合であり、既に知り合っているラグスの街にいた武器屋の店主のドワーフはシュウの作成した『魔鋼』をすぐに受け入れ独自に研究しているはずである。

ドワーフはシュウが物語で知っている通り技術の獲得には貪欲で新しく可能なものであれば大抵のものを受け入れてくれる気質がある。

そのため最初は色々とあるだろうが話を聞いてもらって軽く実演すれば何とななるはずである。

そう、思っていたのだ。


◇◆◇


ガルムを出発して既に半月以上が経過した。

道中特にトラブルもなく順調に進み、無事にドワーフの国へ辿り着いたシュウたちであるが目的が達成される気配が全く無かった。

というのも無事にドワーフの国へ到着するまでは良かったのだがどうにもドワーフ達の様子がおかしい。

別に何かトラブルが発生している、という雰囲気でもなくあくまでいつも通りの振る舞いのようだが何かがおかしい。

まず職人の揃う工場(こうば)へと出向いたのだが門前払いを食らった。

ここまでは当然であろう。

いきなり工場へ行ったところでそこはあくまで物を作る場であり客から話を聞いたり物を売ったりする場所ではない。

では、ということで手近にあった武器屋へ入ってみることにした。

そこで武器を買うことは出来るようだがシュウの発言から事情が変わり始めたのだ。


「えっと、作ってほしいものがあるのですが・・・」


シュウは武器のオーダーメイドをしたいわけではない。

船を作るにはどこに話を持っていけば良いのか分からず、それを聞こうとしたのである。

しかし返ってきた答えは予想外のものであった。


「それならばまずギルドカードの提示をお願いします」


なるほど、予想外ではあるが身分証明書の提示は大事だろう。

身元のはっきりしない者へ武器を売って悪用でもされれば職人としての名に傷が付く。

それを回避するためいかにも冒険者然としたシュウ達の身分証明書の代わりになるギルドカードの提示要求は真っ当なものであろう。

武器をオーダメイドするつもりはないが話を聞いてもらうために言われた通りギルドカードを提示した。

それを見ると話をしていたドワーフの顔つきが変わる。


「・・・残念ですが当店ではお受けしかねます」

「え、いや、違うのですが・・・」

「どうぞお引取りを」


有無を言わさない雰囲気で言われてしまい思わず退店してしまう。

しかし疑問は残る。


「何でギルドカードを見せただけで追い出されるんだ?」

「・・・この店が特別変わっているだけ、と思いたいですね」


ティアナの希望的な言葉だが、残念ながらそれが外れていることをすぐに実感することになる。

どの店に言ってもギルドカードの提示を求められ全く話を聞いてもらえずシュウたちは途方に暮れてしまうのであった。


無事にドワーフの国に到着しましたがやはり素直にはいかないようです

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