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ひととま  作者: 珈琲
第一章
40/106

39

「え?鎌…?」

「鎌……」

アキとノアが思わず声を出した。


恐らく草を刈る農具の方ではなく、死神が持つアレをイメージしたのであろう。

今、ハルが抱きしめているのは、刃が両側にある戦闘用の大きな鎌だった。


「うん。鎌!」

ハルは薄ら笑っている。

「外側も切れるの。どっちを振っても切れるし、ちょっと魔力流せば色んな属性にできるの!最高じゃん!」


そう言って、まずは手元に火の魔力を流しこむ。

すると、みるみるうちに鎌は炎に包まれ燃え盛る。

使っているのは初級魔法すら発動しないレベルの細やかな魔力。

超低燃費なのである。


「自分の魔法じゃ怪我しないからね」


その目は揺れる炎を写しだし、怪しく光る。


ノアは苦笑いしつつ、ちょっと引いた。

「……ハル、それ絶対人に向けないでね」


「ちゃんとサイズ確認して距離とるようにな……」

お父さんからの注意も飛んだ。



「わかってるよー」といいながら、鎌をくるりと回してみせるた。


燃え盛る鎌を抱きしめ笑う、死神よりもヤバそうな恐怖の絵面となった。


その動きだけで周囲に緊張が走る。




次はヒスイだね。と言わんばかりに魔石を差し出す。

「ちょ……ハル、熱い。火消して……」

燃え移りそうになって慌てた。




「なぁエリックさん。家族として見てくれるのは有り難いけど、俺は拾ってもらった時から成人済みだし、ノアの従者なだけだぜ。教えてもいいのか?」


「そうだなぁ……ノアに忠誠を誓っているんだろう?裏切る真似はしないだろうしな」


「まぁね。忠誠の刻印は左腕と一緒に吹っ飛んだけど……ただの目印だしな。なんなら、また刻印しとくか?」

ノアの方をチラリと見る。


「別にいいよ。特に変わらないだろ」


「……そうだな」

頭を掻きながらも、ちょっと嬉しそうだ。




ヒスイはハルから差し出された魔石を受け取ると、慎重に魔力を通し始める。

魔石が緑色に光り、一瞬、ビュワッッと強い風が吹上がり、風がヒスイの手元に集まる。

「おっと」

咄嗟に手を引っ込め、地面に突き刺さったのは刃が銀色のよくある普通の剣だ。


「うん、俺にはこれで十分だな」

魔石をエリックさんに返し、剣を引く抜く。

柄を軽く握って感触を確かめる。


「……とても普通だね。安心感があるよ」

アキが一言。


「なんだか地味だな。生成時に大したエフェクトも無いじゃないか」

ノアが腕組みしながら言い放つ。


「……まぁ…。そりゃぁ……ね」


「いや……二人の見てたらこのくらいがちょうどいいよ」

お父さんがフォローにまわった。


「気分が高揚している時ほど怪我しやすいし、判断を誤って死にやすい。いつもの森行って魔物退治でもして練習してくるといい」



ーー

家の窓から5人の様子を眺める団長と副団長。


「いいなぁぁーー。俺も欲しかったなぁーー」

羨ましそうに目を細める副団長。


「まぁ仕方ないさ。なんなら実家の蔵でも漁れば何か出てくるかもよ?俺ん家は蔵もないけどな。結構歴史あるはずなんだけどなぁ」

呆れたように団長が言う。


「うちも無ぇんだわ。西エリア行けば運良ければあるかな?」


「まぁーあっちは建国時からアマツシアだしな。運良ければ、だな」




「窓にいると冷えるでしょう。お茶どうぞー。明日戻られるのなら、風邪引いたら困るでしょう」

ユウカさんが淹れて持ってきてくれた。


「あ、すみません」

「申し訳ない」


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