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ひととま  作者: 珈琲
第一章
39/275

38

ノアは大きく息を吸い込み深呼吸をした。

少し緊張している。


「じゃ、いきまーす!」


ノアが手のひらに魔石を乗せ、そっと魔力を通した。


パチッパチッと電気花火の様な小さな光が散り始めた。

「お。すごい!」


ノアの毛先がふわりと浮き、周囲の空気までもピリピリと痺れさせる。


「おお。なんか手がピリピリくるね」

ちょっとくすぐったい感触に、思わず笑ってしまう。


次の瞬間、一筋の雷がノアの目の前に落ちた。


ノアはサッと手を引っ込める。

「あっぶね……」


煙を上げながらパチパチと放電する大剣が、地面に突き刺さっている。


「こっわ……」

ハルはちょっと後ずさる。


「危ねぇなぁ……」

ヒスイは身を縮こます。


「まぁ、でかいから手に収まらなかったんだろうな」

エリックは冷静に言った。


ノアは地面から大剣を引き抜き、構えてみせる。


「わ……すごいな。軽い。持ちやすい!」

少し離れた場所でブンブン振り回した。


「あとは魔石無しで、同じ要領でやればいい。

生成させる時の手元を意識するくらいだな」


「うん、わかった」

ノアは頷いた。


ノアは二回目以降もすんなりと大剣を生成していた。


「おお……」

ハルは感心しながら頷く。


さすがですね……。


「ハル、お先どうぞ」

ヒスイが促す。


「う、うん……」

ハルは一旦深呼吸し、エリックから魔石を受け取った。


今、足は震えていない。


待ちに待ったよ、この時を。

多属性の魔法が使えるから、たくっさん悩んでめちゃくちゃ考えたんだから。


一つの属性に縛られた武器は嫌。属性の切り替えなら器用にできるし。

「いっきまーす!」


ハルは右手の魔石に、魔力だけを通した。


ぼんやり光る魔石が、強く光った。


ーーーザクッ。


地面に刃が突き刺さる。

スマートで細長い柄、先端に向けて緩やかにカーブしている刃。


「出来たぁ!!」

ハルは引っこ抜き、柄の部分を抱きしめる。


「……あぁ……最高……!夢にまでみた私専用…うふ……うふふふ………」

ハルの口元が緩む。


自分の背丈よりも高い、2mくらいはあろうその武器は、鎌。

本来なら外側の峰は切れない部分のはずなのに、鋭い刃になっている。殺傷力は抜群だ。


「え?鎌…?」

「鎌……」

アキとノアが思わず声を出した。


恐らく死神が持つ方をイメージしたのであろう。


今ハルが抱きしめているのは、刃が両側にある非常に危ない大きな鎌だった。



誤字修正、漢数字へ修正と主語追記

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