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「すみません、助かりました!」
と男性が車から降りてきた。
「普段、あんな魔物街まで来ないのですが……何かあったんですか?」
「……研究で幼体の血液を採取しようとしたら、成体に見つかってしまって。」
「危なすぎですが!」
やばいキレそう。まじかぁ……。
そこへちょうど、バスの音が聞こえてきた。
「あ!バス!!」
「僕はアマツシア魔導研……あっ……」
変なの!気持ち悪い!
ハルはダッシュでバス停へ戻り、バスに飛び乗った。
あー危なかったー。これ乗れなかったら試験間に合わないもん。
民家の近くで魔物研究とか、何考えてるんだろ。
逃げて民間人襲われたらどうすんのよ。
酷すぎる。
だいぶイラついた午前中だったけど、気持ちを切り替えて午後の試験も無事に終わり。
「おつハルー!カフェ寄ろうよー!」
「おつーアリー!行くー!」
アリスは同じ産婦人科で産まれた幼馴染。誕生日も2日違いなので母親同士、病室で喋りまくって仲良くなったらしく。
お父さんがお城勤めのちょっといい感じのお嬢様で、すでに婚約者もいる。
『婚約者は頭がいいから、釣り合うようになりたいの』
という理由で高等学校へ通うらしい。
まあ、この地域には高等学校が二つしかないから、よっぽどじゃなければ誰でも受かるんだけどね。
「ここのコーヒー美味しいね。学校帰り、毎日行っちゃいそうー」
暖かなコーヒーカップが、ハルの冷えた手を温めてくれる。
「よくブラック飲めるよね。私は無理だわー。カフェラテが最強でしょ」
アリスは蜂蜜を入れ、スプーンでくるくる回している。
「ラテも美味しいけどね。やっぱりブラックでしょ。豆のほのかな甘味とちょっぴり感じる苦味がいいのよー」
ハルは今朝あった出来事をアリスに話した。
「朝から困っちゃうよねー。まさか魔物を街まで連れてくるなんて。」
「何それ!ハルがいなかったら、他の人巻き込んでたかもじゃん!街まで連れてきたら犯罪だよ!
ハルも怪我しなくてよかったけどさ。
私なんてすぐやられちゃうわ」
アリスも怒ってくれたので、
ちょっとスッキリした。
「それとさ、ねぇねぇ聞いてー!今度ね、彼が城下に連れて行ってくれるの!彼の実家にもお泊まりさせていただくの!」
「おー!それは緊張しそう…いつ入籍するのー?」
「来年、十六歳の誕生日にーね」
両手を頬に当て、顔が赤い。
それから二時間程話した。
コーヒーの香りに癒されながら、すっかり暗くなった田舎町へ二人で帰った。
ちょっと気持ち悪い部分直しました。
少々雑談追加です。




