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ひととま  作者: 珈琲
第一章
12/107

11

「すみません、助かりました!」

と男性が車から降りてきた。


「普段、あんな魔物街まで来ないのですが……何かあったんですか?」


「……研究で幼体の血液を採取しようとしたら、成体に見つかってしまって。」


「危なすぎですが!」

やばいキレそう。まじかぁ……。


そこへちょうど、バスの音が聞こえてきた。

「あ!バス!!」


「僕はアマツシア魔導研……あっ……」


変なの!気持ち悪い!

ハルはダッシュでバス停へ戻り、バスに飛び乗った。



あー危なかったー。これ乗れなかったら試験間に合わないもん。

民家の近くで魔物研究とか、何考えてるんだろ。

逃げて民間人襲われたらどうすんのよ。

酷すぎる。



だいぶイラついた午前中だったけど、気持ちを切り替えて午後の試験も無事に終わり。


「おつハルー!カフェ寄ろうよー!」

「おつーアリー!行くー!」


アリスは同じ産婦人科で産まれた幼馴染。誕生日も2日違いなので母親同士、病室で喋りまくって仲良くなったらしく。


お父さんがお城勤めのちょっといい感じのお嬢様で、すでに婚約者もいる。

『婚約者は頭がいいから、釣り合うようになりたいの』

という理由で高等学校へ通うらしい。


まあ、この地域には高等学校が二つしかないから、よっぽどじゃなければ誰でも受かるんだけどね。


「ここのコーヒー美味しいね。学校帰り、毎日行っちゃいそうー」

暖かなコーヒーカップが、ハルの冷えた手を温めてくれる。


「よくブラック飲めるよね。私は無理だわー。カフェラテが最強でしょ」

アリスは蜂蜜を入れ、スプーンでくるくる回している。

「ラテも美味しいけどね。やっぱりブラックでしょ。豆のほのかな甘味とちょっぴり感じる苦味がいいのよー」


ハルは今朝あった出来事をアリスに話した。

「朝から困っちゃうよねー。まさか魔物を街まで連れてくるなんて。」


「何それ!ハルがいなかったら、他の人巻き込んでたかもじゃん!街まで連れてきたら犯罪だよ!

ハルも怪我しなくてよかったけどさ。

私なんてすぐやられちゃうわ」


アリスも怒ってくれたので、

ちょっとスッキリした。


「それとさ、ねぇねぇ聞いてー!今度ね、彼が城下に連れて行ってくれるの!彼の実家にもお泊まりさせていただくの!」


「おー!それは緊張しそう…いつ入籍するのー?」


「来年、十六歳の誕生日にーね」

両手を頬に当て、顔が赤い。


それから二時間程話した。


コーヒーの香りに癒されながら、すっかり暗くなった田舎町へ二人で帰った。

ちょっと気持ち悪い部分直しました。

少々雑談追加です。

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