第9話 1階の罠
ようこそ。
1階。
洞窟のような薄暗い通路で、先が暗すぎて先に何があるかわからない。
暗いので迂闊には行動ができない。
光魔法が使える人がいればよかったんだが…。
生憎実践経験もあまりない俺たちなのでそういった調整もしたことがなかった。
俺らが困っていると、後ろから声がした。
「おーい、困ってんのか?」
俺らが後ろを振り向くとそこには先端が光っている草を持ったひょろりとした体つきの男が立っていた。
「この暗い洞窟みてぇなところ行くには湿地帯に生えてるこの"月光花"が必要だぜ?」
その男は俺に"月光花"とやらを見せてきた。
「生憎俺らはクエスト経験が浅いんだ。もし良かったら俺らと同行してもらえないだろうか?」
俺が丁寧に聞くとその男はニッと笑って
「喜んで!!俺と一緒ならこんなクエスト一瞬よぉ!任せときな!」
その男は嬉しそうに言った。
洞窟内を歩くと同時にその男について色々と知れた。
彼の名は「メタリア」。
普段はギルドなどを作らずにソロで活動しているようだ。
レベルは500。
だいぶ強い。
レベルについて聞くと
「ま!俺は課金しちまってるからなぁ!はははは!」
と笑っていた。
翼とツカサは苦笑いを浮かべていた。
するとメタリアが急に前を歩いていたツカサの手を掴んだ。
「どうした?メタリア」
ツカサの手を急に握ったメタリアに憤りを感じたミズキがチャットを打つ。
[その手を離して。]
ミズキからの忠告を受けても離そうとしない。
「坊ちゃん…その先は危ねぇぜ。見ろ。落とし穴だ。」
俺らはツカサの少し前を覗いてみた。
するとそこにはメタリアが言った通り落とし穴が。
「ありがとうございました!メタリアさん!」
「いいってことよぉ!それよりも、次から気をつけろよ?」
「なぁメタリア。なんで落とし穴があるって分かったんだ?」
落とし穴は真っ暗な洞窟の中では全く見えない。
それなのに気づいたのはおかしい。
俺とミズキはそう考えていた。
しかし、メタリアは笑って答えた。
「あー、俺はな、暗視能力を付与させてんだよ。」
「暗視?そんな能力どこで手に入るんだよ、見たことも聞いたこともねぇぞ?」
翼が聞く。
「それもそうさ…だってこれは課金アイテムだからな!」
ははははは!と笑うメタリア。
洞窟内に声が響く。
気さくで面白い奴だな。
俺は素直にそう思った。
残り時間あと53分
残りプレイヤー85214321/100352410
現在地 魔王迷宮1階
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