第8話 参加プレイヤー協力型クエスト
ようこそ。
俺ら4人は"魔王軍の領域"に到着した。
湿地帯のようなフィールドに囲まれ、枯れ果てた木、草が広がり、暗い雰囲気を醸し出していた。
周りにはすでに参加するプレイヤーで溢れていた。
こんなにたくさんのプレイヤーがいるのか…割と簡単そうだな。
今回のクエストは魔王を先に討ち取ったプレイヤーの勝ち、といった競争ではない。
今回のクエストはこのクエストに参加したプレイヤー全員が協力して魔王を倒すというクエストだ。
こういうクエストを"参加プレイヤー協力型クエスト"という。
「でっけぇー」
周りを見ていた翼が声を上げる。
俺らプレイヤーの前には巨大な塔が建っていた。
これが今回、クエストが行われる場所だ。
俺はここには来ない、来れないだろうと思っていた。
自分が強い弱いではなく、今は仲間を助けることが最優先すべきことだ。
だから俺はここにいる。
すると参加する全プレイヤーの前にモニターのようなものが映し出される。
そこには白ひげのお爺さんが映っていた。
そのお爺さんは静かに口を開いた。
「我はクロミナ界の王である。」
王?!
あの通知を送ってきた人…か。
周りも騒然となる。
でもあれはゲームの世界観を保つためにそう言っているだけだ。
本当は運営会社の社長らしい。
まあここではどうでもいいが。
「魔王を倒すべく立ち上がってくれた勇者たちよ…今から大事な情報を皆に伝える。」
大事という言葉を耳にしたプレイヤーは王からの言葉により耳を傾ける。
「今回、魔王軍に権限を奪われたのは我々運営の責任だ。しかし、敵NPCに立ち向かうことができるのは君たちしかいない。そして、ここからが問題なのだ。石化された今確認できている1000ものアカウントは1時間後に魔王軍NPCの手によってデータが改ざんされてしまう。」
は?!
嘘だろ?!冗談じゃない!
石化されたプレイヤーのデータを改ざんするなんてできるのか?!
周りにいた王の話を真剣に聞いていたプレイヤーも怒鳴り立てる。
「聞いてねぇーぞ!」
「帰らせろー!」
非難する声が飛ぶ。
しかし、王は落ち着いていた。
「報酬は山ほど与える。それに魔王軍を沈めた勇者として後世に名を残すこともできよう。」
プレイヤーはしーん、となった。
やはり報酬と名声は欲しいらしい。
皆、奮い立った。
「さて、勇者諸君。ここは魔王軍のリーダーである魔王が住む"魔王迷宮"である!フロアは4階まであり、最上階に魔王がいる。中には罠や、敵が溢れているだろう。権限を持つ魔王を倒す準備を整え、いざ進め!」
王から鼓舞され勇者を夢見るプレイヤーは雄叫びを上げる。
王が映っていたモニターが空から消え、俺らの視界には1時間のカウントダウンと100352410/100352410という数値が映し出された。
これは見た感じこのクエストを受けているプレイヤーの総数だろう。
すげぇな、1億以上のプレイヤーがこのクエストを受けているぞ。
プレイヤー達の半数はクエスト開始とともに塔の中に入って行った。
俺らも行くことにした。
その時、俺の足元で何かが鳴いた。
〈ゲコッ〉
げこ?
俺が足元を見るとそこには真っ白な珍しそうなカエルがちょこんと座っていた。
これは動物のNPCだろうか。
こちらを見て動かない。
俺は構わず魔王迷宮に向かおうとした。
だが、カエルがどうしても付いてくる。
俺はカエルの方を向いて座り、伝わるはずもないことも承知の上で話しかけた。
「カエルちゃん。ここから先は危ない付いてきちゃダメだよ。」
するとカエルはゲコッと鳴いて俺の肩の上に乗ってきた。
「わっ!」
少々驚いたが、カエルは別に苦手ではない。
「カイト、カエルに好かれるんだな」
「可愛いなぁ」
翼とツカサから感想をもらう。
別に求めてはないんだが。
離れそうもなかったので俺は仕方なくカエルと一緒にクエストに行くことにした。
ツカサの言う通り可愛いかもな。
俺ら4人は真剣な表情で魔王迷宮に入った。
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