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品子の青春50

お話の続きです。

どうぞよろしくお願い致します。

2日目、ほとんどの人は前日の失態を反省し、同じ過ちを繰り返すまいとワープマシンで戻って来るものは2~3人までに減った。

早朝から方々へ出かけていった面々は、皆一様に顔がピカピカだった。

一緒に連れてきている動物達は、昨日と同じく宇宙船の傍の草原で疲れるまで思い切り走って寝転んで暖かなハワイを満喫していた。

南と修子は宇宙船を停めてある人気の全くない草原の丘から程近い場所にある、地元の古くて小さな教会で3日目に式をあげられることになった。

そうと判れば皆、安心してそれぞれの予定をこなすことが出来た。

渡辺と品子、そして、美晴とまるみは4人でハワイ観光を楽しんだ後、結婚指輪を買いに大きなショッピングモールに出向いた。

そこでは前の日に年寄り連中から聞いていた「日中ワイド 朝からおばんです!」の特別番組、「年またぎ朝からおばんです!イン・ハワイ!」の公開生放送を今日もやっていた。

品子達は少しだけ公開生放送を見ると、そこで配られていた「日中ワイド 朝からおばんです!」の大きなロゴと両端にパーソナリティの似顔絵が入ったステッカーや、同じデザインの箱ティッシュとアルミホイルにラップなどが詰め合わせになった紙袋をそれぞれ貰った。

その隣のブースでは、やっぱり一緒にハワイに来ている「港みちお」の番組のロゴが印刷された車用のステッカーと、こちらはポケットティッシュが小さな透明の袋に入れられて配られていた。

「やぁ~…なんがこっだらどこまで来て、おやまださんどミカちゃんば見れるなんてねぇ…後、港みちおも…すごいねぇ…」

品子の率直な感想に皆、同調した。

若者に人気の宝石店「ファイ二ー」にて、渡辺と品子はお揃いの指輪を買った。

小さなダイアモンドが埋め込まれている、可愛らしいデザインの指輪は渡辺の手が無理なく届く範囲の丁度いい値段。

買ってもらって指にはめてもらった品子も当然嬉しかったが、こうやって品子に無事プロポーズができて一緒に結婚指輪を購入することができたのが渡辺も嬉しかった。

美晴とまるみも、お揃いで手ごろな値段のペアリングを購入した。

早速それぞれお揃いの指輪をはめた2組のカップルは、「これぞハワイ!」と言わんばかりの名所巡りに出かけたのだった。


昭三達は違う島に行ってみていた。。

すると途中思いがけず、「ラブトシ」の大掛かりなロケ現場に遭遇した。

約2年ほど前に大ヒットしたドラマ「ラブラブトシちゃん大作戦」の続編として、今度はスクリーンで蘇るらしい。

その映画の舞台がたまたまハワイなのだそうだ。

「ラブトシ」の大ファンである昭三を始めとして、一緒に出かけた春子やしろも感激のあまりテンションがマックスに達したのだった。

休憩時間には主演の「トシちゃん役」の紅葉田将や相手役の竹垣えるみに一緒に写真を撮ってもらったり、サインを書いてもらったり。

年寄り連中に混じっているしろを見ると、一瞬トシちゃん達は固まったのだが春子達の振る舞いですっかり仲良く打ち解けあうと、一行にまさかの出演依頼があった。

どぎまぎしながらも買ったばかりのアロハシャツを着た昭三達男性陣と、やはり買ったばかりのムームーを身に纏った女性陣は「観光客役」として何気ない雰囲気で「ラブトシ」にエキストラ出演したのだった。

エキストラとしてだが映画にちょこっと出演できた面々は、トシちゃん達から更にお土産として「ラブトシ」のロゴのTシャツをいただいた。

こんなに良くしていただいて申し訳ない気持ちもあった。

だが、映画の出演者やスタッフの方々の真心溢れる優しさに感動し、可愛らしいピンクのTシャツに皆、興奮した。

別れの挨拶にとトシちゃん役の紅葉田将と握手をしたまま、千田のばあちゃんは誤ってワープボタンを押してしまった。

瞬きよりも短い時間の出来事だった。

それまでみんなに囲まれて一緒にいた主役のトシちゃんと、エキストラの中の一人のおばあさんが魔法のように消えた。

一瞬、その場にいた全員、何が起こったのか理解できずにいたのだが、一人だけ冷静だったしろが説明してくれたおかげで集落から来た連中は皆、「あ~…」と思い、事情がわかならい映画関係者はポカンと口を開けたままだった。


どれぐらいの時間だったのだろう。

景色と同化した軽自動車ほどの大きさの小型宇宙船から、消えた主役のトシちゃんと千田のばあちゃんが戻ると心配していた全員から歓喜の声が上がった。

「や~…なんか信じられないけど…楽しかったなぁ…」

主役のトシちゃんは憤ることなく、穏やかな表情を浮かべた。

「あのぉ…」

トシちゃん役の紅葉田将から監督や関係者に話が行き渡ると、ロケに参加した俳優達やスタッフ一同を連れて、マクロ達が留守番をしている宇宙船に行く話となった。

「なんだべ?どうするべ?マクロ君達に何て言えば…」

春子達の心配をよそに、しろは自分の通信装置でこのことを全てマクロ達に報告していたのだった。

「どうずる?なんがやばいごどさなんねばいいんだども…」

昭三達が心配する「やばいこと」とは、しろ達の存在が世間に知られてしまったらという、今まで集落全体で守ってきた秘密のことだった。

「しろちゃん…」

春子はしろをいつもの様にぎゅっと抱きしめた。

しろは柔らかい春子の腕の中で、「ハルタン…ダイジョブ…シロタチ…ミンナ…ダイジョブ…トシタチ…イイヒト…シンジル…」と答えた。


たっぷりハワイを満喫して夜の7時ぐらいに品子達が戻って来ると、宇宙船の外、草原の丘の上はなにやらとても賑やかだった。

「ただい…えっ?嘘っ!トシちゃん?なんで?」

父、昭三や春子達、そしてしろやマクロ達と楽しげにバーベキューをしている「トシちゃん」こと「竜巻」の紅葉田将や相手役の竹垣えるみなどの姿に、戻って来たばかりの品子達そして、タエの長男孝之家族、結婚式を明日に控えている南と修子と修子の家族らは驚きすぎて声を失ったのだった。

馬鹿みたいに呆然と立ち尽くしている、集落では若い面々に昭三が気づくと、すぐさま「いいがら、こっちゃ来い!」と手招きをした。

昭三の手招きに魔法の様に引き寄せられた面々は、まだ呆然としたまま、目の前、手の届く場所で爽やかな笑顔を振りまいている「トシちゃん」を改めて紹介されるも、これが現実なのか、夢なのか区別がつかないふわふわ感でいっぱいなのだった。


「…という訳でよ…南君、修子ちゃん…明日の結婚式にな、このトシちゃん達がよ、来てけれるごどになったんだ!すげぇべぇ!なっ!なっ!…んだがら、なっ!っで…やんや、おめらだら、なっ!っで…あん?聞いてんのが?トシちゃん達も結婚式さ参加してけれるんだと…明日、ちょんどオフだんだって…んだがら、ちょろっと、短い時間だども来てけれるんだど…って、おめら、ちゃんど聞いてんのが?」

口をぽかんと開けたままの面々が、きちんと自分の話を聞いてくれているのかはっきりわからない昭三のイラつきは、少しづつ声のトーンとともに大きくなっていった。

「ん?ああ、わがった…わがったって…うん…」

心ここにあらずの状態でキラキラしているトシちゃんから目を離すことが出来なくなっていた品子は、昭三にカラ返事をしたのだが、イラついている昭三もなかなかそれを受け取ってはくれないのだった。


わいわいと大勢によるバーベキュー大会は、楽しすぎてなかなか終わらなかった。


2日目のハワイの夜空も、やっぱり星が降り注ぐほど美しかった。


最終日の3日目、ようやく南と修子の結婚式第2弾が午前中から行われた。

頼んであった地元の古くて小さな教会に宇宙船で一緒にハワイに来た全員と、「ラブトシ」の俳優陣と監督やスタッフ全員は中に入ることが出来ず、開かれた窓やドアの外から式に参加する形となった。

新郎新婦以外の出席者達は、買ったばかりのアロハシャツやTシャツ、女性陣はムームーやサンドレスなどの軽装でよかった。

千田のばあちゃんと「ラブトシ」のヘアメイクさんは、ドレス姿の新婦を美しく仕上げてくれた。

そうやって行われた結婚式は、地元の新聞に小さく記事として載った。

約30分ほどの式が終わると、「ラブトシ」の関係者の皆さんは笑顔で「どうぞ末永くお幸せに」との言葉を残して、自分達のところへ戻って行った。

日本に出発する夜の8時頃までの間、みんなもう一度ハワイを満喫したのだった。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

お話はまだ続きますので、引き続きよろしくお願い致します。

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