9 街角で夜露死苦!
「金ちゃん、怒っているの?」
「怒ってねぇ!」
自分で言うのもバカバカしいが、どこか銀次のペースに乗っているのが楽しい。でも、今はそれよりもそんな自分に腹が立つ!!
「ねぇ、ドコに行くの?」
俺達は商店街を歩いていた。何かそれぐらいしか自分の気分がモヤモヤして止められねぇからな。
「おー、金次じゃねぇか!」
目の前に隣の高校の制服を着た3人組が歩いてきた………が、俺は中学の時からケンカに明け暮れていた。負け知らずで有名だから、ケンカは何時も売られるんだ。その一部だろう。
「へぇ~。ヨーランにボンタン?今時、こんな昭和ヤンキーなんか居るんだ?」
「ダッセェ!」
3人組は笑っているが、確かに親父のくれた長ランに、自分で買ったボンタンを着ている。だが、この3人は弱そうだな。
「よー、ソッチでファイトしようぜ!」
「ああ、良いぜ。3人纏めて来いよ」
「余裕だね~。金次を潰せば俺達がナンバーワンだぜ」
「おい、それよりそこの女を見ろよ!」
3人の鼻の下が伸びた………。
「カワイイねぇー!コイツをやった後に遊びに行こうぜ」
「倒せたらね」
銀次は何でか大人しかった。何時もの銀次なら俺が止める前にやっているのにだ。
「金ちゃん、お仲間の銀次を呼んでも良いぜ。半年前に銀次に殴られて腹たってんからよ!」
刹那、銀次が動いた!?
「だったら、もう一度殴ってやんよ!」
そして、顔面に拳をたたき込み、男は回転しながら地面に倒れた!男はそれで沈んだ。こんな所で………でも、どこかホットしていた。何時もの銀次がココに居たからだ。
何時もの銀次が。俺の知っている銀次が。
俺はそんな銀次よりは後になったが、先頭の男を一撃で叩き込むように拳で沈め。逃げようとしたもう一人を捕まえて、顔面に拳を叩き込む!
3人は動けずに地面に倒れていた。
「俺達に3人でどうにかなると思ったか、兄ちゃん達?」
3人の内の1人が上半身だけを何とか上げて………俺達を睨む。
「クソッ………だったら、京極さんに勝ってから言ってみろよ」
「そう言えば逃がして貰えると思っているのか?」
俺は蹴り飛ばした!
そして、3人は完全に沈黙した。
「金ちゃん、京極って誰?」
「隣の高校の、1年の番を張っている奴だ。後は会った事もないから知らん」
「金ちゃんー!!」
「ケンカッスか!?」
「自分も混ぜて下さい!」
田代と山田と丸が走ってきて、倒れている3人組の胸ぐらを掴んだ。
「起きろ!とっとと上の者を呼べや!」
「ナメるのも大概にするでおじゃる!」
「自分は許さないと思います!やってやるから起きるべきです!」
山田も田代も、そして丸がキレていたが………この3人は銀次にボコボコにされているが、一応中学の時から名を売っているんだよなー。
「ダメっす!コイツら完全に伸びているスよ!」
山田は倒れている奴等にケリを入れてから近づいて来た。
「金ちゃん、銀ちゃん、殴り込みを掛けるスッか?」
「いや、山田。コイツらは放っておけ。まあ、コイツらの上の者とウチの高校の上の者がどう対応するか分からんからな」
「銀ちゃんも帰ってきたんスよ。やっちまいましょう」
「山田達は一応すぐに小太郎達に伝えてくれ」
「ハイっす!ラインボーで出しておきますんで、すぐに伝わります」
俺と銀次はその場を離れて行った。
「それにしても、銀次はケンカの腕前は鈍っていない様だな」
「金ちゃん、僕を誰だと思っているの?昔より強くなっているんだからね。外国でも負けなかったしね」
外人相手にも王者に成れるなら大丈夫か。
「んじゃ、例の2年を潰しに行くか?」
「そんな事より!」
銀次は怒っていた………。
「金ちゃん達ナメられすぎ!」
「お前を待っていたんだよ。じゃないと俺達じゃないだろうよ」
すると………銀次は嬉しそう微笑んでいた?
「金ちゃん、大好きだよ❤」
「突然なんだよ?」
ドキリとする様な銀次の笑顔に俺はドキドキしているぞ!?何でだ?こんな………気持は?
「僕の気持ちを分かっていない!」
また怒っちまったよ………。
秋でもないが、秋の空と銀次の心か………。
「分かってんよ」
俺は銀次の頭を撫でた。
「本当?僕は金ちゃんの事が好きなんだよ?」
「分かっているからこそ、少しパニッているんだよ。まさかな………みたいな事が一杯になって困ってんだよ」
すると、銀次はしょんぼりとしちまったよ………。
「銀次、少し時間をくれよ。何時か答えを出すからよ」
すると、俺の腕に銀次は抱きついてきた!?
でも、今は緊張をしていない。なれたのか?だから、俺は謝る。
「すまない………」
「金ちゃん、何時もの公園に行こう」
「その前に昼がまだだから店に行こうぜ」
「僕の家で食べる?」
「母ちゃんの弁当はどうするかな?」
「後で食べれば良いよ」
「そうだな」
銀次の家の家業は喫茶店で、名前は「リンリン」だ。しかも、カタカナで「リンリン」。銀次はそこで女装をしてウエイトレスなんかをしていた………。
ちなみに、俺の家は八百屋だ。
「んじゃ行こうぜ」
歩いていると、椿が目の前に現れた。
「どうした、こんな所で?」
椿はスマホを持っていて、少し怒っているようだった。
「ねぇ、コレって銀ちゃんでしょ?」
スマホには動画………銀次が男を殴った瞬間がネットに映っていた。
「夜露死苦しちゃった❤」
テヘペロの銀次に椿は笑った?
「もう、銀ちゃん!看板売るなら先に言ってよ。この間までケンカしていたレディースが、この制服を見てビビって、さっきワビを入れてきたよ!」
椿は椿でケンカをしていて、それがレディース相手だったはずだ。もう、それも銀次の動画で終わりにしちまったようだな。
「それよりさ、金ちゃんと銀ちゃんドコに行くの?」
「家でご飯を食べるの」
「私も行っていい?その………」
椿の顔が赤くなった?
「その………ホテルに………行ったんでしょ?」
椿よ………モジモジはしないでくれよな。何もなかったんだからよ。
「行ったけど、何もなかったよ」
「えっ!?そうなの!?」
椿………何で妄想が止まらない?
「何にもねぇーよ」
俺は呆れていた。
「だって、銀ちゃんの気持ちは金ちゃんに伝わっているよね?」
「ああ。ストレートに言われて最初は気付かなかったけどよー。でも、ここまで真剣に言われたら分かるよ」
銀次がグイグイと自分の胸を押し付けてくるー!
俺は気付かないフリをするが………それが楽しいのか、更に押し付けてくるぞ!?………身体を密着させてくる!?
「じゃあ、行こうか」
銀次に引っ張られる様に店の中に連れられて行く俺は、もう好きにさせるしかないと覚悟を決める………。
ここから本編になります。ケンカと銀次の色恋沙汰を楽しんで下さい。




