11 やっと、我が家………そして❤
俺は家に帰ると、野菜を出した段ボール箱を畳んでいた。
まあ、家の家業だし、小遣い稼ぎにも丁度良い。だから手伝いはする。
すると、妹のチコがやって来た。
「お兄、お風呂に入っていいよ」
「チコ、家の裏って言ってもパジャマ姿で出てくんなよ」
もう夕方。どうりで暗いわけだな。
「それよりも、銀ちゃん美人になったね」
「知っていたのかよ?」
「お兄に言ったはずだよ」
「聞いてねぇぞ」
「高校に入る時にデビューするって」
………マジか!?
「そうだったのか。まあいい。もう会ったしな」
俺は服に付いた埃を払って。
「んじゃ、風呂に入ってくるよ」
俺は湯船に入りながら………フッと銀次の裸を思い出して、鼻血を出していた。
お湯で流して………何か視線を感じる!?
開いている窓を見ると………誰も居なかった。
いやいや、男の裸を見て喜ぶわけないか。それに………。
「そんなアニメみたいな事があるわけないよな」
湯船の中で身体を伸ばす。
親父が風呂に金を使って、デカくしたから無駄に風呂はデカい。
俺は、そんな中で天井を見上げた。
「銀次………」
「なに?金ちゃん」
幻聴?………えっ!?
横を振り向くと、そこにはシャワーを浴びる銀次が居たじゃねかよ!?
「な、何で銀次がココに居んだよ」
「ん?やっぱり一緒に入りたいし、チコちゃんに金ちゃんの場所を聞いたら風呂に居るって言うから、「入って良い?」って聞いたの。そしたら、こんな事になってしまいました❤」
俺は何の話しを聞かされているんだ………?
「と、とりあえず、俺はもう出るからな」
「うん………でも、下の方が………」
「気にするな。俺は何時でも元気だ」
「うん、分かった!」
銀次よ………その笑顔で納得しないでくれ………。
部屋に戻ると、銀次も入ってきた?
ミニのスカートにYシャツ姿………そして、俺の隣に座ってジュースを飲んでいた。
「金ちゃんも1口どう?」
「いや、血糖値が高いからジュースはやめておく」
何を言ってんの?俺は気でも狂ったか?でも、その………同じ物を飲むって………間接キスだよな?それは…ちょっと。
「金ちゃん、どうしたの?何時もなら何も気にせずに飲むじゃん❤」
「いや、その………今はいい………」
銀次の奴、俺の腕に絡みついて、身体をグイグイ押し付けてくる!?
「なあ、銀次。何か今夜は俺達少し近くね?」
「愛し合う2人には当然の距離だよ❤」
「でも、俺は何かちょっと変だと思うんだよな」
男は男とベタベタしませんと言いたいが、今の銀次は女の子?だし。でも、心が女の子って言うなら俺の心はどうするだよって話しだし。………この距離感は変だろ?いくら何でも、早く距離感を近付けたいって感じだな。
「ねえ、金ちゃん僕の事を好きじゃないの?」
そんな悲しそうな顔をすんなよ………何か俺が銀次をイジメているみたいじゃんよ………。
「そうじゃなくて、何時から俺を好きになった?」
「昔からだよ❤」
即答されちったよ!!
「昔からって?」
なんか恋人みたいだな。まあ、彼女なんていた事はないけどよ。
「僕は昔からスカートを穿く時があったでしょう?それを近所のガキに馬鹿にされて、殺っちまうか?って思ったの。それを金ちゃんがガキ共をシバいてくれた………カッコイイ。そう思ったの」
途中で昔の銀次が出ましたよね?でも、最後は俺を見詰めていた………。
「確かに、そんな事はあったけどよ。でも、俺は服なんて自由だと思ってんかんよ。何でも型にはめるのは違うと思うんだよ。コレが男?コレが女?それは俺は違うと思ってんだよ。それに、銀次は………似合っていたぜ」
銀次が一瞬キョトンとしたが、すぐに………見た事の無い優しげな笑みを浮かべる。
なんか、一瞬ドキリとしたじゃねぇか。
「やっぱり、金ちゃんはカッコイイね❤」
「そんな事はねぇよ」
イヤな気はしねぇが、俺はそんな事を言ってんじゃねえ。ただ………友達がイジメられているのがイヤなだけだよ。
「それでね、金ちゃんが好きになったの。でも、最初は軽い物だったんだけど、今は………本気だよ❤」
「そんなに惚れんじゃねぇよ」
「他にも色々とあるけど、金ちゃんの男気ってやつに惚れたんだよ❤」
買い被りすぎだぞ………。
「そんな事を言うなよ。それに銀次を守るのは俺の義務だと思ってんだよ」
「それを守って来た………そこに女の子は惚れるんだよ❤」
「女になってまで俺に惚れるって………」
俺の中で理解が追いつかない……。
「金ちゃん………キス…したい?」
「いや、待て!雰囲気を出すな!」
それは本物の惚れた女にしたい……でも、そこで銀次に押し倒された!?
や、柔らけぇー!!銀次にキスされたー!!
「………………プハッ!」
銀次を引き離した俺は息を止めていたけど、キスするって時って呼吸を止めないとダメなのか?
いや、そう言う事じゃなくて!!!
「銀次、やめなさい!」
言ったけど………銀次は恥ずかしそうに座り直した。
なんか気まずい………。
「金ちゃん、僕は帰るね」
立ち上がって、2階の俺の部屋の窓を開けて、自分の部屋のベランダに飛び移って帰って行った………。
何か………明日から会うのが気まずいな………。
出掛けるか………。
俺は着替えてガレージに向かう……。
もちろん、免許は無いが単車に乗って気分を晴らしたい。
色々と考えたかったんだ………。




