立ち塞がる2人
グランツへの道すがら、主に、戒める者の事について聞いた。
戒める者とは、この国の騎士団。
そんな戒める者 の主な役割は……
1つ、魔物からの護衛。
魔女の出現にともない、凶暴性をました魔物。
結界が貼られている街の中で暮らすだけならいいのだが……街を出るとなると、一般人だけでは相当に危険らしい。
そして2つめは………
魔女の討伐だ
そして……この2つめが相当に厄介。
魔女の素性……居場所……果ては、本当に居るのかすら分かっていないのだから……
この世界の人間ですら、世界が破滅に向かっている詳しい理由は分からないそうだ。
そして……最後に3つめ、俺達の捕獲。
こればっかりはなぁ……騎士が真面目じゃないことを祈るばかりだ。
アイルやシノに話しを聞いているうちに、あっという間にグランツの街が見えてくる。
そして……俺達を待ち構えるようにして立っている人影を……この目が捉える。
シノとアイルも人影に気がついているのだろう、会話をやめ、意識を集中させていた。
人影に近づくに連れ、だんだん、はっきりとその顔が見えてくる。
男女の二人組だ。
女性の方は、森であった騎士たちと同じ格好をしているのだが……ところどころ装備が薄いというか、動きやすそうにアレンジされている。
そしてなにより……頭は無防備だ、何もつけていない。
髪の色は金。髪型はツーサイドアップで、その顔からは、自信が溢れていた。
そして……男性の方は……
「やぁサクラ。また会ったね、なんて言う偶然だろうか」
「どーみても偶然じゃ無いだろ」
男性の方は……フィーアだった。
「サクラくん、フィーア様と面識があるんですか?」
隣に立っているアイルが、フィーア達を警戒したままで、こちらに話しかけてくる。
「城を出るときに、ちょっとな」
「良く、無事でしたね……」
「フィーアの気まぐれで、見逃してくれたんだ」
そう、あの時見逃してくれたのは……フィーアの気まぐれ。
そしてその気まぐれは……もう起こらないだろう。
「フィーアって……あのフィーアか?」
それまで黙っていたシノが口を開く。
「あぁ、俺とは違う、才能ある勇者様だ」
「勇者本人が来るなんて……サクラは人気者だな」
「全くだ」
シノも、口調こそふざけているが、その顔には全く余裕がない。
頬から一筋の汗も流れている。
「アイル、勝てるか?」
アイルに問いかける。
こんな時に女性であるアイルを頼るなんて……とても情けない。
情けないが……頼れるのはアイルだけだ。
「絶対に不可能です」
アイルは迷い無く答える。アイルの表情にも、もちろん余裕はない。
「どうやっても?」
「どうやってもです」
アイルが勝てないのであれば……正直お手上げだろう。
シノは魔法も使えなければ、身体強化も苦手らしいし……
そして……俺は、残念ながらこの中で一番弱い。
こうなったら、またフィーアの気まぐれが起こるのを願うしか……
「安心してください」
そして不意に、フィーアの隣にいる女性が一歩前に出た。
「あなた方のお相手はこの私……王国騎士団戒める者、4番隊副隊長………メルクリア・エーデル・ヴァイツェンが勤めさせていただきますわ」
そう言うと、金髪ツーサイドアップの女性……メルクリアは、大げさな動きで自分の胸に手を当てる。
………今、メルクリアは、自分のことを副隊長と言った。
ここに来るまでにアイルたちに聞いたのだが……
今の所、戒める者には、1から5までの部隊があって、それぞれの隊長を、その中の最大戦力……
つまりは、5人の勇者が努めている。
そして……こいつは………メルクリアは4番隊の副隊長。
少なくとも……勇者を除けば、騎士団の中で、4番目には強いと言うことになる。
フィーアだけでも不可能。それに加えてこんな化物までいるんじゃ……
「と……言うわけで君たちの相手はメルルだ。僕は手を出さないから安心してくれ」
「……その呼び方、辞めてくださいませんこと?」
「いいじゃ無いか、可愛くて」
「だから嫌なのですわ……」
フィーアは……笑顔でメルクリアと会話していた。
そう、笑顔で
もちろんこちらにそんな余裕はない。シノもアイルも、未だ油断なく二人を睨みつけている。
「随分と余裕じゃないか、勇者様」
「ん?別に余裕という訳じゃないよ。そこにいるアイルは……警戒に値する人物だからね」
「………………っ」
フィーアの言葉に、メルクリアが反応した。
「あそこにいる……銀髪の女性が、アイルなんですの?聞いていた話と、髪の色が違うようですけれど……」
「彼女がアイルで間違いないよ。最初は僕も、髪の色に驚いたけど……彼女がサクラと一緒にいるのは知っていたからね。知人にバレないように、色を変えたんじゃないかな?」
……せっかく髪を染めたのに、フィーアにはすぐにバレてしまった。
だが……ここまでマジマジと顔を見られれば仕方ないだろう。彼は、アイラとも面識があるだろうし、同じ顔だということはすぐにバレる。
しかし……それよりも気になるのは
なぜ、アイルが俺といることを知っているのかという事だ。
そのことを知っているのは……ここにいる、俺と……シノと……あとは………
「そうですか……貴方が、召喚士の妹、アイル・コールなんですのね……」
メルクリアがアイルの方を見る。
「こんなところで会えるなんて………貴方への恨み、ここで晴らさせてもらいますわ………ッ!」
アイルへの……恨み?
アイルが人から恨まれるようなことしたのか?
考えにくい……
「私への恨み……ですか?メルクリアさんとは、初対面のはずですが……」
どうやら、アイルに心当たりは無いようだった。
「えぇ、私達は初対面ですわ」
「メルクリアさんを知らなかった私が、あなたに恨まれるような事をしたと言うんですか?」
「えぇ、そうですわ。貴方は私を知らなくても、私は貴方を………いいえ、戒める者に所属している人間なら、誰もが貴方を知っていますわ」
「それは……どういう」
アイルの驚きの声を聞いてから……
大きく息を吸って、メルクリアは告げる。
「それは貴方が……」
なぜ、メルクリアが……以前からアイルを知っていたのか
「戒める者の副隊長に任命されたにも関わらず……それを………」
なぜ、メルクリアがアイルを恨んでいるのか
「断ったからですわ」
その……理由を




