3話
急ピッチで仕上げたため、ほころびだらけです。
できるだけすぐに直しますので……m(__)m
あと、感想と批評。どしどし待ってますので、優しく叩きつけに来てくれると嬉しいです。
九月末。樹々の青い若葉は朱に色を染め始める頃。太陽が西の空に沈み始めている。
放課後になり、俺たちは家路につこうとしていた。
まだまだ蒸し暑い日の続く毎日ではあるが、夕暮れ時の今は風もあってけっこう涼しい。どこからか聴こえる虫の声も、セミからコオロギにバトンタッチ、と秋の訪れを感じさせるには十分だった。
そして――ふと、胸に込み上げる空虚感。
暑い夏の終わり。そして、熱かった祭りの終わり。
今日で我が校の今年度秋の学園祭――閣条祭が幕を閉じた。
入学して二回目の学園祭。終わった今になってようやく感じる空しさと寂しさ。俺は頭の中で振り返る。今年も思い返せば本当に色んなことがあった。
千秋と出店を見て回ったり、千秋のクラスの人形劇を観たり、千秋と……etc。って、あれ?
何か――俺の学園祭、千秋率百パーセントじゃね?
「……(チラッ)」
なぜだろうと不思議に思い、隣を歩く千秋の顔を窺うと、
「ふふふふふふふふ……あ、どうしたんですかお兄ちゃん?」
一瞬、悪女のように口を歪めた妹が見えた。
こ……怖えええええええッッ! 何だよ今の! え、何で笑ってたのっ!?
恐る恐る聞いてみると。
「いや、そ、その……ずいぶん嬉しそうだな? どうして、だ?」
「聞きたいですか?」
「あ、ああ」
「ふふん、そりゃ今の私はご機嫌もご機嫌ですよ。だって今日は一日中お兄ちゃんと一緒にいられましたし何より学園祭を回るという名目でいつもは断られるはずの二人きりのデートに持ち込めましたし二人でクラスの劇を観たことでクラスメイトからはラブラブとか言われて超興奮しましたし一緒に行った出店ではお兄ちゃんとカップルに間違えられるというギャルゲー的イベントもありましたし続けて妹のポジションを最大限にいかせる頬っぺたにごはんつぶイベントもありましたし計画通り誘導できたしそれからそれから……えへへへへへへへ(じゅるり)」
「怖いわっ!」
「もう! そんなこと言うなんて、ひどいですよお兄ちゃん。私は今日の閣条祭のためにジャック・ザ・リッパーさんもびっくり仰天な計画を緻密に立ててですね……たとえば、この睡眠薬を」
「犯罪の香りしかせんわっ!!」
そして、愛が重すぎるッ!
異常なほどの行動に戦慄していると、ニヤニヤとした千秋が身体をすり寄せてきた。
「ほらほら、そんなこと言わずに。良いではないか良いではないか……(ハアハア)!!」
「ちょ、まっ、の、飲ませようとすんなや! い、いやあああああああ」
恐ろしすぎる。怖すぎる。本来、愛されるべき「ブラコン」という個性もさすがにここまで極まると文字通り恐怖しか感じな――
「あたしは、どっちもどっちだと思うけどねー」
『!?』
時が、止まった気がした。
「…………ぜったいあたしがいること、忘れてたでしょ」
不意に、背後から声がした。幽霊的なものではない、帰路に憑いたわけでもなかろうに。
そう――そこには、幼なじみの雨上穂夏がいた。
びっくりさせんなよ。
「なんだ穂夏、いたのか」
「なっちゃん、いたんですか」
「いるよ? ていうか、今日は三人でずっと一緒だったよねぇっ!?」
「…………そうだっけ、か?」
「…………そうでした、っけ?」
「二人ともひどいよ!」
どうやら穂夏も一緒だったらしい。