第96話 内見
「こちらのお客様、302号室を内見でお願いします。」
女性スタッフがボーイにカギを渡した。
「こちらです、どうぞ。」
階段で3階へ上がる。
「こちらのお部屋です。」
ボーイが302号室のドアを開けた。
ベッドが2台と大きな窓がある。
「こちらのお部屋は、ベランダもございます。」
ボーイが大きな窓を開ける。
「へぇ、凄いな。」
ネコ娘が直ぐにベランダへ出る。
広くは無いけど、十分な部屋だな。 でも、ベランダも付いてて、結構な値段なんじゃないかな・・。
「この部屋で幾らなんだ?」
「こちらのタイプのお部屋は1泊5000WDになります。」
「・・そうか。」
「あ、お客様、どれくらい滞在されますか? 1週間以上の長期滞在ですとロングステイパッケージもございますが。」
「ほう。ちょうど1週間の予定なんだが。 なんなんだ、そのパッケージっていうのは?」
「はい、通常ご宿泊のお客様は、毎朝食がセットになってますが、ロングステイパッケージでは、朝食は最終日の朝食だけが付いてます。 これは、長期滞在のお客様はご自身で食事準備されたり、外へ出られたりされるだろう、ということで食事を省く代わりにリーズナブルに、というプランになってます。」
「なるほど、確かにな。で、1週間のパッケージだと幾らになるんだ?」
「はい、ロングステイパッケージは1週間単位でのご利用になりまして、1週間で20000WDになります。」
「1週間20000WDってことは、1週間6泊だから、1泊3300WD位ってことか。」
「ここ、泊まろうよ。」
「まぁ、そうだな。悪くはないな。よし、じゃぁ、ここにするか。」
「それでは、もう一度フロントまでお願いできますか?」
部屋を出て階段を下りる。
「如何でしたか?」
さっきのフロント女性スタッフがボーイからカギを受け取りながらこっちを見た。
「あぁ、気に入ったよ。ロングステイパッケージにしようと思う。」
「1週間のご滞在ですか、ありがとうございます。いつからご利用になられますか?」
「明日からは空いてるかな?」
「明日からですね。少々お待ちください、今確認致しますので。」
スタッフがノートのようなものを開いた。
「はい、大丈夫です、明日から1週間、お部屋ご準備できます。」
「そうか。それじゃ予約してもらおうか。」
「はい、かしこまりました。 それではこちらにお名前と連絡先をお願いします。 あと、こちらのロングステイパッケージはご宿泊代先払いでお願いしておりますので、チェックインの際にお支払いをお願い致します。」
「あぁ、わかった。それじゃ、明日。 あ、チェックインは何時から出来るんだ?」
「15時からでお願いしております。」
「15時か、わかった。それじゃ、明日また。」
明日からの予約を済ませてホテルを出た。
「明日からホテルか。なんかワクワクするね。」
「あのな、遊びで泊まるんじゃないからな。 とにかく情報収集だからな。」
「わかってますって、レジェンド探偵さま。」
「どうだか怪しいがな。 まぁ、いいか。 さて、これからどうするかだが、もう宿に戻って、明日の移動の準備をしようかと思うけど、どうだ?」
「うん、荷物、片づけないとだしね。」
「宿にも今夜最後だって言っとかないといけないしな。」
メインストリートをゆっくり歩いて宿へ戻る。
「オレはフロント寄ってくから先に部屋に戻ってていいぞ。」
「はーい、了解。」
カウンターにはいつもの白ワイシャツの初老の男性がいた。
「今の部屋だが、明日チェックアウトで頼む。」
「おや、もうチェックアウトされるんですか。なんだか寂しくなりますね。」
「ありがたいことを言ってくれるね。 まぁ、オレ達は商売上、長居は出来ないのと、色んな所を転々とする必要もあるんでな。 でも、またこの近くに来る必要があったら、ここに世話になると思うぞ。」
「それは、こちらこそありがたいことを言っていただいて。 はい、かしこまりました、明日、チェックアウトの準備をしておきます。 ところで、何時頃チェックアウトされますか?」
「いや、特に急いでないんで、昼前に出るつもりだ。」
「そうですか。では、その際にまたお声かけて下さい。」
部屋に戻るとネコ娘がカバンの中を整理していた。
「結構いろんなものが増えたんで、カバン、もっと大きいのが欲しいな。」
「それじゃ、晩飯の前に市場を覗いてみるか?」
「そうだね。 で、最終日の夕食はどうするの?」
「いや、最終日ったって、門のホテルからだって、ここに来られるだろ。 っていうか、たぶん、何度も来ることになるんじゃないか?」
「それもそうだね。 あ、じゃぁさ、初めてここに泊まった時に行った、食堂はどう? あのフロントのおじいさんに教えてもらった店。」
「あぁ、なんだったかな。あ、ブラウンズキッチン? だったか?」
「そうそう、たぶんそう。そんな感じの名前だった。」
「それなら、カバン探しもしなきゃいけないから、もう行くか?」
「うん、アタシはいつでも出られるよ。」




