デザイン③
□◇■◆(幸助)
幸助は手配した馬車をリアの家の前に待機させ、リアを呼びに戻った
「すいませんでした。準備にお時間をいただきました」
リアは幸助が戻ったことに気が付くと、玄関まですたすたと小走りでやってくるなり頭を下げた。
「いやいや、気にするな。そんなに時間もかかっていないし、急に俺が言い出した話だからな。それで、弟と妹は大丈夫か?」
「はい。さっき二人の部屋に行き、事情を話してきました。おとなしく部屋で過ごしてるようにと伝えました」
「そうか。それなら安心だな。よし、それじゃあ出発するか。夕方には着けるかな?」
馬車に荷物を積み込み、二人も乗り込む。
幸助は席に着くと深呼吸をした。乗り物酔いへの気合を入れたのだ。気合を入れたからといって、全くもって改善されることはないのだが。
案の定、出発してから数分で幸助は使い物にならなくなった。
「ごめん、リア。少し寝る」
「はい、そうしてください」
リアが大きなカバンをごそごそと探している。
「酔うとわかっていたので、ブランケットを持ってきています」
リアは気が利く。本当にありがたいと思う。ただ、今はその感謝の気持ちをしっかりと伝えられる元気はない。
「ありがとう」
シンプルにそれだけを力なく伝えると、毛布を受け取り包まる。
よし今は寝よう。
寝ている間は酔いを忘れられる。この馬車を揺り籠と思おう。
「勇者様、おやすみなさい」
リアが背中をさすってくれている。情けないと思うが、ここは素直に甘えよう。
だんだんと眠たくなってくる。おやすみリア。幸助は言葉にはせず、心の声でリアに言う。
目を閉じたのは一瞬だったと思ったが、起きた時にはもうクラトゥ村に着いていた。
寝ている間は酔いはなかったが、目が覚めた今は気持ちの悪さが再開されていた。
御者になるべく急いでほしいと伝えていたので、思ったより早く着いたようだ。それに幸助が寝たため、途中休憩がなかったこともあり、スムーズに到着できたようだ。
リアは村を散歩したいと言ったが、幸助にはきつい提案だったので、リアが幸助の意を酌み、部屋で休むことになった。リアは少し残念そうな顔をしていたが、特に何も言ってはこなかった。リアの性格から、具合の悪い人に無理をさせることはしないのだろう。
部屋に着き、幸助はベッドに横になる。リアが水を持ってきてくれる。
「お水を飲んでゆっくりしてください」
リアは鞄から何かを取り出した。
「おにぎりを作ってきたので、お腹が空いたらあ食べてくださいね。本当は馬車の中で一緒に食べようと思ったのですが」
「そうだったのか。悪かったな。それじゃあもう一度寝て、起きた時にいただこうかな」
「わかりました。お大事にしてくださいね」




