資料調査④
「勇者様はこれから何の資料を覚えるの?」
「住民台帳だ。レスティは何を覚えている?」
「私は今は地図を頭に入れているわ」
「助かるよ。水質調査、現地調査、今俺らやっている資料調査で準備が揃う。これで終わりだ。明日には出発できるだろう」
「やっと準備完了ね。本当は王様との謁見の後すぐに出発したかったけど、まあいいわ。いよいよ出発だもの」
「ああ、出発だ。トリストのところに行くついでに、リアにも俺から伝えておく。それじゃあ最後の仕上げにもう一踏ん張りしよう」
「ええ、がんばるわ」
気合を入れなおし、資料に向かう二人。
「レスティ、資料調査をするだけなのに、ご飯まで用意してくれてありがとうな」
「何言っているのよ。それくらい当たり前よ」
「本当に優しいな」
外に目をやるともう暗くなっていた。
「結構集中していたみたいね。私はもうばっちりだと思うわ」
レスティが両手を広げ伸びをする。
「ちょっと早いけど、明日は出発だし早めにお風呂にして寝ちゃおうかしら」
「ああ、それはいいんじゃないか。明日のためにたっぷりリラックスしてきな」
「い、一緒に入ってもいいのよ?」
レスティが頬を赤らめて言う。
リアとトリストといるときは強気なアピールをしてくるレスティだが、二人きりになると急にしおらしくなる。
「メイドがいるんじゃないか?」
「夕飯の準備を終えたから帰ったわ」
「そうなのか。でもほら、俺はトリストのことろに行かないと」
「お風呂に入ってからでもいいじゃない」
今日のレスティはいつもより強引だ。嫌いじゃない。
「俺と一緒に入ってリラックスできるのか?」
「う、うん。むしろその方がリラックスできる」
「そうか、わかった」
席を立ち、二人でお風呂へ行く。
移動中は二人とも黙っていたが自然に身体が寄り添い、レスティが幸助の腕に絡んだ。
それからのことは想像に任せる。




