事情聴取④
「それでいいだろ? いいよな。いいんだよ。さっきも言ったけど、魔法剣士、シーフ、治癒士ってバランスいいんじゃないの? 俺の立ち位置はこれから決めるとしても、ほら、強そうじゃない? いいと思うなぁ俺。うん、いいと思う。いいよ、絶対」
ゴリゴリに押し通す。
「にゃっとくできにゃい……」
「私もです」
「悔しいけど……バランスいいのは確かだわ……」
レスティだけは少し俯瞰して物事を考えられるようだ。
「そうだろレスティ! いいね。物分かりがいい人は好きだ」
「にゃ! 実際、僕ちゃんもそう思うにゃ」
「そうですね。パーティとしては相性のいい職種ですね」
「うんうん。そうだろそうだろ。それじゃあこれはもう決定ってことで。よかったな、三人とも。希望通り、勇者と共に行動できるのだ。おめでとう」
案外簡単に操れそうだ。
「おめでとうじゃないわよ……」
レスティは片肘を付いて言う。
「じゃあ、まあ、もう、それでいいわよ」
「もやもやが残っているにゃ……」
「してやられました」
「いやいや、俺は三人の熱い思いに胸を打たれたんだ」
「ホントと何言ってんのよ……」
はぁとため息をつくレスティ。
「ところで勇者様、泊まる所とかあるの? ないなら私の家に空き部屋があるから使っていいわよ」
「あ、レスティさん、それは抜け駆けですか?」
「ずるいにゃ! 勇者様を独り占めするのはずるいにゃ」
リアとトリストがレスティの提案に反対する。
「二人は泊められるの?」
「泊めました」
「泊めたにゃ」
「ああ、そっか……」
レスティは転移後三夜の幸助の行いを失念していたようだ。
「「「……」」」
気まずくなる三人。
「おい、話を続けよう」
幸助はこの空気はまずいと判断する。
「じゃあローテーションで泊めるのはどうでしょうか?」
リアが妙なことを言い出した。
「俺が順番に泊まっていくって事か?」
「変にゃ感じがするけど、平等だにゃ」
「ええ、確かにそうね。妥協案としては最善かもしれないわね」
「それなら、今日から、私、トリストちゃん、レスティさんという順番で泊まるって事でいいですね」
「問題ないわ」
「問題にゃい」
何やら勝手に幸助の今後が決定されているようだ。




