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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第三章(前半)
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伝令

  □◇■◆(トリスト)



 刑の執行から五日が経った。


 久しぶりにキュオブルクに行く日だ。


 勇者様は防具の作成のため、ずっと家にこもりっぱなしで誰に家にも泊まらなかった。


 まあ一緒に寝ていたらまた測られるのではないかと気が気じゃなくなって眠れないだろう。


 クールダウンにはちょうど良かったかもしれない。


 そういうこともあり、ランチ会は一時休止で、この五日間はそれぞれ過ごしていた。


 でも今日は防具が完成していても、していなくても一緒に食事をすることになっている。


 進捗具合の報告会みたいたものか。


 出発までまだ時間がある。余裕をもって準備ができる。


 この前は勇者様と一緒の馬車に乗ってキュオブルクまで言ったので、今日もいっしょに行けるかなと、気になっていた。


 もどかしいので勇者様の家に訪ねに行ってしまおう。


 レス姉とリア姉に勝手に勇者様の家に行ったらルール違反だと言われるかもしれないけれど、どうでもいい。


 怒られる覚悟をしていたら、ドアをノックする音が聞こえてきた。



「にゃんですかー?」

 急いで玄関まで来訪者を迎えに行く。


「俺だ」

 勇者様の声だった。


「どうしたにゃ?」



 会いに行こうと思った矢先に来てくれたので少し驚いた。それと同時にうれしくなった。



「今日のランチ会なんだけど。もうすぐ防具が完成するから、ランチ会じゃなくてディナー会にしようと二人に伝えてくれないか?」



 さっきまで鍛冶をしていたのだろうか。服も顔も汚れている。



「わかったにゃ。先に行って伝えるにゃ」



 結構本気で作ってくれていたようだ。


 まあ当然だけれど。勝手に身体のサイズを測ったのだから本気になってもらわないと刑にならない。



「ありがとう。それじゃあまた後ほど」

 そう言うと優者様は自宅へ帰っていった。



 一緒にキュオブルクに行きたかったけれど、お使いを頼まれてしまった。


 まあ一緒に馬車に乗ったところで、勇者様はずっと寝ているだけだ。


 勇者様が一緒でないなら、馬車に乗らず、少し疲れるけれど、走っていった方が早く着く。


 二人に伝えて、どこかで時間でつぶしていよう。


 準備を済ませると、トリストは家を出て走り出した。


 あの聖槍事件以来、身体を動かしていなかった。ちょうどいい運動だ。


 勇者様からもらった短剣を振ってみよう。


 イメージトレーニングをしながら駆けるトリスト。


 木から木へ飛び移り、回転しながら短剣を振り着地。


 動きやすい。これは実践が楽しみだ。


 防具の出来はどんな感じだろう。


 不本意な計測だったけれど、勇者様のことだ。この短剣同様、自分に合ったものを作成してくれているに違いない。


 早く装着してトレーニングをしたい。


 いや、実践をしたい。


 胸が躍る。


 ない胸が躍るとか言うなよ。


 自虐ネタ。でも悪い気はしない。


 早くみんなとクルミカフェで会って話をしたい。新しく装着した防具を見せ合いたい。


 なんだかんだ言って、みんなは仲間だ。


 身寄りのない自分にできた家族みたいなものだ。


 五日間あっていないだけで少し寂しい気持ちもある。


 幸せだ。ずっとこの幸せが続くといいな。


 キュオブルクは自分にはすぐだ。


 みんなに早く会いたい。


 かけるスピードが少し上がった気がした。

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