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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第三章(前半)
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ダンジョン攻略①

  □◇■◆(リア)




 洞窟に着くと、勇者様は目覚めたばかりなのか、きりっとしていた。



「この間見つけた時にすぐに入るんだったにゃ」

 トリストちゃんが悔しそうにしている。


「クルミカフェで話した洞窟だにゃ。誰かが入った痕跡があるにゃ」


「わかるのか、トリスト」

 勇者様がトリストちゃんに聞いている。


「わかるにゃ。シーフたるもの、痕跡には敏感だにゃ」



 私にはわからないが、シーフのトリストちゃんにはわかるらしい。


 しかし先に入った人たちが、魔物にやられているという可能性もある。


 先に入った人たちが聖槍を手に入れていたら魔物は片づけられているので安全。


 先に入った人たちが魔物にやられていたら聖槍が手に入る可能性があるけれど危険。


 そういう状況だ。



「それじゃあ私を先頭に、トリスト、勇者様、リアの順番で進むわよ」

 レスティさんが指揮を執る。



 このパーティの主軸は勇者様ではなくて、レスティさんであることは間違いないだろう。



「勇者様とトリストは察知魔法を使いながら行動してね」


「わかったにゃ」

 トリストちゃんが腰にぶら下げていた短刀を構えて答える。



 それを見て私も杖を持つ手に力が入る。


 勇者様は、いつも通りの脱力具合で、刀とかいっていた剣を持っている。


 案外すんなりダンジョン攻略についてきているようだ。反対する様子はない。



「リアは状況を見て補助してちょうだい」


「わかりました」

 レスティさんに返事をする。



 恋敵とはいえ、仲間である。ここで反発しても意味がない。無事に帰ってくることが最優先だ。 


 それぞれの役割の確認を終えると、いよいよダンジョン進入となる。


 勇者パーティとして初の実戦と言っていいだろう。


 普段はやる気を出さない勇者様だけれど、このような状況になってしまったら、駄々をこねることもないようだ。


 今までは下準備をしっかり行ったうえでの戦いだったけれど、今回は完全に行き当たりばったりの実践だ。


 私と一緒に魔法の稽古をしたけれど、剣の稽古もシーフの稽古もしっかり行っていたと聞いている。


 それに勇者様の構えている剣は、勇者様本人が作った剣だ。変わった形をしているけれど、剣としての攻撃力があるとレスティさんが言っていた。


 私としてはかなりの魔力を感じる、魔剣に見える。


 つまり三人との稽古のほかに、鍛冶や付術のレベルも上げていたのだろう。


 元々のポテンシャルの高さがあるとはいえ、陰での努力がしっかりと伝わっている。


 そんな勇者様に応えたい。


 そしてしっかりと努力の成果が実ったと思ってもらえるよう、今回のダンジョン公約は成功させたい。


 しかし進んでも勇者様とトリストちゃんの察知魔法には反応がないようだ。


 洞窟を間違えたのではないかと疑ってしまうほど、静まり返っている。

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