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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第三章(前半)
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聖槍伝説①

  □◇■◆(トリスト)




「勇者様! ダンジョンの奥にレアアイテムがあるにゃ! うわさで持ち切りにゃ!」

 トリストはクルミカフェに到着した勇者様を確認するなり、まくし立てる。


「どうしたんだよ、トリスト。とりあえず落ち着け」

 そういいながら勇者様は席に着く。



 隣にはリア姉。



「ああ、その話ですか」



 リア姉もこの話は知っている。



「リア、勇者様に昨日話さなかったの?」



 レス姉ももちろん知った話だ。



「え、なに? みんな知ってる話なの?」

 全くもって初耳の様子の勇者様。


「みんにゃっていうか、キュオブルクにいる冒険者は全員知っているにゃ」


「そうなんだ。それじゃあそのレアアイテム、無事に取ってこられるといいね」

 まるで他人事のように話す勇者様。


「にゃに言ってるにゃ! 僕ちゃんたちが取りに行くにゃ! 他のパーティに取られる前に行くにゃ!」



 なぜレアアイテムに食いつかないのだろう? 王様の案件だって乗る気にもならないし、何にだったら、いつになったら本気になるのだろうか。



「そうですよね。レアアイテムの入手は、勇者様の、いえ全パーティの目標となるものですよね」


「リアの言う通りよ。勇者様、ここはダンジョン攻略、してみない?」

 レス姉が勇者様にポーズを決めて誘っている。


「何決めてんの? 決まってないから。いや、いいよ。危ないじゃん」


「危険を冒してでも取りに行く価値があるにゃ!」



 シーフとしては譲れないロマンだ。



「そういうもんなのかね……」

 勇者様が首をかしげる。

「ところで、そのレアアイテムは何なんだ?」


「聖槍らしいわよ」

 レス姉がメニュー表を見ながら勇者様に答える。


「聖槍ってロンギヌスのことか?」


「そうらしいですよ。よくご存じですね」


「ああ、それくらいは知っているよ。俺のいた世界にキリスト教って言う宗教があって、その聖槍だな。持つものに繁栄を、手放す者には破滅をもたらすと言われている」


「そうなんですね」

 リア姉は感心している。


「もしかして勇者様もほしくにゃったかにゃ?」


「いや、全然。いらない」

 即答する勇者様。

「この間レスティとも話したんだけど、剣や斧は俺らのパーティには必要がないことがわかっている。誰も使えないからな」


「使える使えにゃいの話じゃにゃいにゃ! そこは関係にゃいにゃ! レアだからほしいにゃ!」



 シーフの血が騒ぐってやつだ。

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