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異世界初心者  作者: 寿々喜 節句
第三章(前半)
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魔術の稽古

  □◇■◆(幸助)



「勇者様は魔力の量が普通の人より多いですね」

 リアが手を止めて言う。



 リアの庭で魔術の稽古を受けている。



「そうなのか?」


「ええ、そうですね。勇者様が今まで魔術に興味を持たれなかったので気が付きませんでしたが、なかなかだと思います」


「悪い気はしないな」



 リアのアドバイスを聞いて杖も作ってみたが、構えた姿が様になっているだろうか。



「最近、別の国で転移してきた勇者様の秘めた能力を見極める帽子ができたって話を聞きました」


「なんだそれ。ああ、でも女神が秘めた能力があるとか言っていたな」


「やはりそうなのですね。勇者様の秘めた能力もぜひ見てみたいものです」


「そうだな。機会があったら試してみたいな」



 自分にどんな秘めた能力があるのだろうか。今まで通りの生活を望んでいるので、こんな能力がいいといったような希望はない。


 とりあえず、今はリアの稽古を受けることが優先だ。


 回復魔法に関してはリアに任せるので、サポート系の魔法を中心に習得しようとしている。攻撃系の魔法はレスティの件で習得する。なんだかまるで勇者になった気分になる。



「さっき教えた呪文を唱えて杖を振ってください」


「マジックバリア」



 この間リアに教えてもらった魔法だ。


 とりあえず、防御系は習得したいと思っている。死にたくないからだ。


 なんか俺は一度死んでいるらしいし、ここで死んでも転移することもないだろう。


 呪文を唱えると、目の前にアクリル板のようなものが出現する。


 リアが俺に向かって石を投げると、石はアクリル板のようなものにぶつかり、落下する。



「ちゃんとバリアを張れていますね」


「何とかできてよかったよ」


「しかし今はまだそんなに頑丈なものではないので、強力なものにしていきましょう」



 よく見るとアクリル板のようなものにひびが入っていた。力のないリアが投げた石でひびが入るくらいだ。強度は全然ないといっていいだろう。



「このアクリル板のようなものはどうすれば強くなるんだ?」


「アクリル板? よくわかりませんが、このバリアは使っていくうちに強くなりますから、何度も出現させて、慣れていくことが課題ですね」


「まあそんなに疲れないし、やってみるか」


「ふつうは魔力を使うと疲れるのですよ。さっきも言いましたけど、勇者様は魔力が多いですから、レベルが上がるのは早いと思います」


「自覚はないけど、まあそれなら助かる」

 ほめられるとうれしい。

「でもまあ反復練習は後にして、とりあえず、複数の魔法を覚えておきたい。基本的なものをいくつか習得してから、それぞれの反復練習としたい」


「種類を増やしてから、強くしていくわけですね」


「ああ、そうだ。多分反復練習は一人の時もできるだろう。新しいのを覚えるのはリアがいたときの方が習得が早いだろう」


「そうですね。一人で新しい魔法を覚えるのは慣れないうちは難しいでしょうね。手取り足取りしっかり教えます」



 いろいろ含みのある言い方だった。



「助かるよ」



 その後リアから、今の俺に出来るであろう魔法をいくつか教えてもらった。


 今後プランとしては、リアから基礎を教えてもらうと同時に、種類を増やしていく。一人の時は反復練習。そしてリアの稽古の時は個人練習の成果を発表してアドバイスをもらう。そして基礎練習と種類を増やして……と繰り返しのレッスンだ。普通に習い事の要領だ。


 それにしても魔法を習得するなんて、なんだかまるで勇者じゃないか。

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