レアアイテム③
「おいおい、そっちが聞いてきたんだろ。聞いておいてそういう反応はやめろよ」
完全に話し損だとため息をつく。
「まあそんな俺だが、最近はレスティに剣の稽古をつけてもらっているんだけどな」
「確かにそうね。さっきの意見には勇者のプライドのかけらも見当たらなかったけれど、剣を握るようにはなったわね」
「い、言うようになったな」
レスティ師匠の発言にたじろぐ。
「そうなのですか? 私も何かお手伝いしたいです」
リアが身を乗り出す。
「剣の稽古が身についたらお願いするよ」
「もうちょっと時間がかかるかなって思ってるから、気長に待っててね、リア」
リアにマウントを取るレスティ。
「僕ちゃんのシーフの稽古は再開しにゃいのかにゃ?」
「シーフはとりあえず身についたから後回しにしているけど、剣はもう少しで終わりかなって思ってる」
「いやいや。まだまだよ。全然足りてないわよ」
「大丈夫。ある程度振れればいいと思ってるから」
「そうですか。楽しみに待っていますね」
リアがレスティに睨みを利かせる。
「ところで、剣は買われたのですか?」
「いや、この間盗賊討伐の報酬の盗品の件を使っている。持ち主が見つからなかったら売ってもよかったんだけど、せっかくだからそれを使ってる」
「私としては、新しいのを買ったらって提案したんだけどね。なんか嫌じゃない? 普通」
「僕ちゃんは気にしにゃいにゃ」
「あなたはそうでしょうね」
「ええ、トリストちゃんはそうですよね」
「にゃんか嫌にゃ感じ」
トリストが飲み物を一気飲みをする。
「そういえば、この間、勇者様の家に用があって行ったら、いにゃかったけど、どこか行っていたのかにゃ?」
「ちょっとトリスト! 約束破って抜け駆けする気だったの?」
「詳しく話してください」
「にゃ、にゃ!? そういうことじゃにゃいにゃ。村の人が困っていたから、呼ぼうと思っただけだにゃ」
「ああ、あの件かな? 村の人に呼ばれたけど、最初にトリストに声をかけたって言っていたから」
「それならいいけど、抜け駆けはだめよ」
「そうですよ。気を付けてくださいね」
「わかったにゃ……」
トリストがしゅんと小さくなっている。
レスティは視線を幸助に向ける。
「それで勇者様は何をしていたの? 浮気じゃないでしょうね?」
「にゃに!? 浮気にゃのか!?」
「おいおいおいおい。待ってくれよ。最近家に誰かが来ても気が付かないことが多くなったのは確かだけど、理由があるんだよ」
三人に睨まれ、おびえながら話をする。
「実は家の地下で鍛冶をやっているんだ……」
「鍛冶やっているの?」
「どういうことですか?」
「あーあの煙ってどうだったんだにゃ」
「トリスト、気が付いているじゃん。まあいいけど。ほら、王様から大量の武器や防具をもらっただろう? それを有効活用できないかなって思って、自分で本を読んだりしながら作ってるんだよ」
鞄からアイテムを出す。
「ちなみに付術もやっている」
幸助がサークレットとブレスレットを並べる。