1 プロローグ
見切り発車でお送り致します。
朝、目が覚める。
朝に目が覚めるのは至って普通のことであり、特に変わったことではない。しかし、今回はいつもと少し違うようだ。
目の前にはショートに切られた黒髪、左の目尻には赤い火傷後、ブサイクでもなければイケメンでもない平均的な日本人学生が横になって眠っている。
彼の名前は福多勇雄。何を隠そう、俺だ。
はて、コレは一体どうしたものか。朝起きたら自分が自分の真横で眠っている事など常識的に考えてあり得ない。
俺はベットで眠っている俺の周りをぐるぐる歩きながら暫く考えたのち、コレは夢だと結論付けた。夢ならばもう一度眠れば今度こそ起きれるだろう。
てことで、おやすみなさい。
「zzz……」
『すまない、少し待たせな』
『私はこの世界を束ねる神の一人である』
「zzz……」
『君を体から魂を引き出したのは他でもない、ある世界を救って欲しいのだ』
「zzz……」
『其の世界ではある恐ろしい病原体が繁栄してしまい、人類が滅びかけているのだ。このままでは一つの世界から神への信仰が途絶えてしまい、神の存亡に関わる事になってしまう』
「zzz……」
『そこで、我々はこの世界から
其の世界に一人の勇者を送る事にした』
「zzz……」
『おめでとう。其方が75億分のくじから選ばれたのだ』
「確率低すぎぃzzz……」
『そうだ。そしてやるからには死して帰る事許さん。目的を見失う失態も同罪である!』
「ふぁ……zzz」
『本聖戦こそ其方に与えられた最高の務めとして心得よ!必ずや憎き病原体を根絶やしにし、誇り高き英雄として帰ってくるのだ!』
「zzz……」
『なお、其方には特別配給のチートやらを用意した!この力は必ずや其方の助けになるだろう!』
「むにゃ……ちーと……」
『おお、聖戦前だというのに表情一つ変える事なく目を瞑り精神統一をしている。
この力を初陣前に試しておく必要もあると案したが……その必要も我が勇者には必要ないと見た』
「うへへ……チート……」
『ならばこれより其の世界に転送を始める!必ずや病原体と開発した異教徒に神の鉄槌を下すのだ!!勇者の健闘を祈る!!』
その日、一人の少年が誰にも知られる事なく別世界に飛ばされた。




