世界最高戦力vsSランク冒険者4
「そうか……僕には、まだ……。」
ユウジの瞳がドロリと澱む。
「へぇ……。」
今までとは明らかに違う雰囲気に興味ない物を見るような表情だったメイビスの顔が僅かに綻ぶ。
「全く……メイ先生は厳しいね……。」
ユウジの瞳がドス黒く変色する。
「断罪の時だよ。」
ユウジはそう一言発言すると……。
【聖騎士 論外スキル 罪禍の聖堂】
ゴーン……ゴーン……。
周囲に鐘の音が鳴り響く。
ユウジの真の力はこれからだった。
「これを受けて平気とはね……。君は本当に僕の理外の人物だということが改めて有り有りと感じるね……。」
ユウジのスキルの行使の最上位のさらに上である論外スキル。
このスキルはとっておきなんて言葉ではとても言い表す事は出来ない代物だ。
聖騎士の名の下に断罪をするスキルで、ユウジを含む周囲の罪を犯した者の細胞一つ一つが悪性腫瘍へと変化してしまう。
【聖騎士 最上位スキル 神の御加護】
ユウジ自身をも蝕むこのスキルは同時にこの最上位スキルを行使することでしか防げない。
そう、そのはずなのだ。
「いえ、全くの平気というわけではありませんわ。常に私のスキルが発動し続けていますもの。」
だが、見た目が変わらないどころか苦しむ様子さえ見せないメイビス。
ユウジの真の力を持ってしても届かない。
「スキル……?君はスキルの行使さえつかってないはずだけど……どうして……。」
ユウジには訳がわからない。
「たまにアンが使っているのも見てましたけど、私には必要ありませんの。」
不敵にクスクスと笑うメイビス。
「……どういう意味だい?」
ユウジの表情がさらに曇る。
問答無用で相手を死に至らしめるスキル。
しかもこれは防ぎ用がない論外スキル。
事実、ユウジの周りの草木は全て死に、虫や地中にいる生き物だって死滅している。
だがコイツは生きている。
これほどまでに長く論外スキルを浴びているのにだ。
「そのままの意味でしてよ。この世の全ての存在が私の前だと水の上を飛び回るボウフラに過ぎない……。」
ゆっくりとユウジの方へと歩を進めるメイビス。
「くっ……!」
その威圧感は全てを平伏させる。
誰も敵わない。
そう思わせるには十分だった。
「少しは楽しめましたわ。そのお礼に見せて差し上げますわ。力の頂のほんの一部を……。」
【変換者 下位スキル 芋虫】
今まで以上の圧力にユウジはなす術などない。
ドサッ!
先ほどまで立っていたユウジは地面に顔面を激突させる。
鼻から、口から血液が流れ出る。
カランカラン……と剣が地面に自由落下して跳ね返る。
「な、なんだよ……これ……!」
情けなく漏れ出た絶望の声。
理解が追いつかない。
ユウジはその場でモゾモゾと身体を捩る事しか出来ない。
そう……。
まるで最初から存在しなかったかのようにユウジの四肢は綺麗さっぱり消滅していたのだ。
「なんなんだよおおおおおおおお!」
叫ぶ事しか出来ない。
理解不能だった。
「真実は常に私の掌の上にあるんですの。私が決定することは何人たりとも介入することさえ出来ないんですのよ?」
直後ユウジの視界は暗転した。
もう何も認識することも出来ない。
全てを正すと決意しただひたすらにがむしゃらに突き進んだ男の末路は……。
圧倒的な力を前にして何も出来ずに沈む残酷な結末だった。




