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たいむいずまねー その3

「うっす!おばちゃん!」


「こんにちわ~今日のお昼は何かな?」


「おやおや、噂をすればなんとやらだね、丁度良かった!」


俺らが宿にした酒場で、宿のおばちゃんが紹介してくれると言っていた冒険者さんらしき人が、丁度少し遅いお昼を目当てに来たらしい。


軽装でロングソードと小型の盾を持った冒険者風の30代前半くらいの男性と、青を基調としたセーラー服っぽいスカート姿の制服らしきものを身に着けた20代半ばくらいの女性がテーブルに案内される。


仲良くご飯を注文しようとしていたので、一瞬、お邪魔しちゃ悪いかな?なんて事を思ったんだけど、このチャンスを逃したら話が出来なくなるって思ったから、覚悟を決めて話に行ったよ。


で、お食事前に申し訳ないけど、少しお話させてもらえないかな?と言うと、男性が女性をかばってこちらを警戒してきたのでどうしようかな?って思ったら、宿のおばちゃんが「あ~この人達、例の馬車の関係者の人だよ」と助け船を出してくれたので、ほっとしたよ。


「その節は大変申し訳ありません」という女性と「お前のせいじゃないだろ!」とかばう男性を見ながら、まずはこの人達が思っている誤解を解きたくて、まずは冒険者ギルドの関係者だから冒険者ギルドの事全体を悪く思っているというわけではないという事を話し、彼らが注文したもののお会計を先払いする。


「なんか悪いな」という男性を見ながら、正直最近の冒険者ギルドってどうよ?なんて話をすると、女性と顔を向き合わせてからため息をつく。


その表情だけで言いたいことや感じていることはわかる気がするんだけど、一応ちゃんと聞いておきたいと思ったので話をしてもらうと、思った通り、ギルドマスターの「ごーるど」へのこだわりが強すぎて、以前のように街の人達を助けるという趣旨で冒険者をやっていくという感じではなくなっているようだ。


とにかくかねにならない依頼はほとんどはねられる為、街の人たちも困っているけど、それを受け入れる役割の窓口担当者もとても困っているし、以前から街の人たちにお世話になっている冒険者の人達もかなりやりにくくなっているので、どうにかしたいと思っているものの、なかなか行動に移せないでいるということだったんだ。


行動に移すってどういう事?なんて言うと「ここの冒険者ギルドを出て他の街に行き一からやり直す」という事なんだけど、ギルドマスターがどんな手を使ってくるかわからない、もしかしたら言いがかりで冒険者の資格のはく奪なんて事もやりかねないのでは?と思ってるらしいので、よほど恐れられているんだなと実感。


ただ、俺としては冒険者ギルドで真面目に仕事している人が見つかればいいやと思っていたので、ちょっとお話してみて、この二人だったらなんとなく真面目に仕事をしてもらえそうだなと安心したよ。


そしてこういう真面目な人間がいるんだったら、あとは金の問題でどうにでもなりそうだな、と思ったので、若いお二人に「ここに成金の塩売りがいて、明日にでも故郷のケル村へ帰りたいんだけど、護衛をお願いすることって出来そうかい?」と言うと、「俺は構わないぜ、PTメンバー5人。みんな真面目で仕事に手を抜かないやつらだぞ」と男性。


女性も「”成金”ってところを強調させてもらえれば大丈夫かも?もし前金でもお支払いいただければ効果的かと思いますが、いかがいたしますか?」なんて言うので、それならと手持ちのお金を女性に払うと「ちょっと待っててくださいね」と席をはずして、目の前の冒険者ギルドに向かう。


帰ってきた女性の手には手書きの領収証があったので、きっちり仕事が出来る人なんだなと感心しながらも、あとで正式な手続きを行いたいので、冒険者ギルドに行くという事を言うと、丁度ご飯が来たので、どんどん食べてもらう。


「わーい」と笑顔でシチューを食べる彼女と、その様子を見ながら手元の料理をもぐもぐ食べている男性を見て、俺もお腹が空いてきたので一緒に食べると、ここのシチューかなり美味しい!特にこの肉がとっても美味しいな!って言うと、その肉たまに俺らが卸してたんだと男性が一言。


近くの害獣を倒して肉を卸すのも仕事の一つで、結構街の役にたってたんだけど、これも出来なくなったんだよな、と残念そうに言っている男性を見て、出来れば何とかしてやりたいなぁと思った次第です。


で、そんな話やあんな話など世間話を交えて話していたら、すっかりお互いの緊張がほぐれ、お互いに握手なんかもし、信用してもらえたのかな?なんてことを勝手に実感。


仮契約に何か書いておこうか?というと、大丈夫、食事代で前払いしてもらったことにしとくよ、なんて言ってくれたので、なかなかの好人物を見つけたなぁ~と感激したよ。


そんな二人と俺が話している間、今回の被害者一同は被害額を算出したり、町長さん達に話をしにいく人だったり、はたまた馬車の整備をしたり、今回俺が護衛をするためのルートを計画的にまとめたり、移転の魔法で下調べに行く娘二人だったり・・・と、大忙し。


出来れば今夜中にでもすべての事を実行して、明日にはけりをつけたいな、と思う俺なんだけど、俺も冒険者ギルドに行ったり、町長さん達にいろいろ聞きたいこともあるんだよね。


ここで言う裁判所とかどうなんだろう?


証拠の提出や根拠の出し方はどうなんだろう?


まぁ~最悪はったりはったり、またはったりでなんとかしたいと思うんだけどね、そのはったりを成功させるにはそこそこのデータも必要だから、俺もちょこちょこ動かないといけないんだよね。


本当はこんなめんどくさい事カミサンに任せて、俺はふんぞり返ってみてればいいんだろうけど、今回に関しては俺が被害者って立場で、いくぶんか優位に立ってるので、それを活かさない手はないと思う今日この頃。


冒険者ギルドに着いて、女神様たちが作ったくじ賞品の回収を依頼するだけが・・・


う~ん・・・


なぜこうなった????


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