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たいむいずまねー その4

「今後もどうぞ、当冒険者ギルドをごひいきに」


そう満面の笑顔で見送られ、冒険者パーティーの護衛を受ける俺。


これが一般的な職員の方だったら良い気持ちになったのかもしれないけど、これがギルドマスターだからとても複雑な気持ちなんだよ。


急な依頼という事で、通常料金の倍を払い、尚且つお詫びにと礼金を少し包んで持って行ったのが良かったのか悪かったのか?でっぷり太った体を揺さぶりながら、もみてで笑顔を浮かべるギルドマスターを見ていると、こんな金で態度を一転二転させる人物の陰で、苦しんでる人が大勢いるんだけどなと思ってしまう俺がいました。


今回のメンバーは俺と先日からお世話になってる御者さん。

そして、昨日お話させてもらった冒険者パーティーの5名。

街を出る前に、自分以外の6名が経路を確認し、注意点などを話し合ってくれているので、自分はただお客様として座っているだけの状態を演じている。


本当だったら、俺もいろいろお手伝いして動いていたいところなんだけど、俺には成金の塩売り役を演じてるので動きたくても動けない。


そもそもこの”ケル村に帰る”ということ自体、半分嘘なのだから、こんなことでおじゃんにしたらみんなに怒られてしまうので、おとなしくしておこうと思ったんだけど、気が付けば皆さんにお菓子なんか配ったりしている俺。やっぱりじーーーっとしてるのは苦手だよ。うん。


いろいろな準備が終わったようで、移動を開始するようだったので、俺はおとなしく馬車に乗りながら外の景色などを見ている。


何も持たないままで馬車をチャーターするのは怪しすぎると思ったので、急遽ケル村のみんなへのお土産で傷まないものを大量に買って入れさせてもらったんだけど、衣類と本が多いのかな?何気に楽しみにしているケル村の学校の事を思い浮かべてたらそんなモノばっかりになっちゃったよ。


これからおそらく半日くらい暇だろうからと、冒険者さんの一人を捕まえて、冒険者ギルドの事について聞いてみると、顧客の相手も仕事と割り切ってくれたのか?お話に付き合ってくれたよ。


そもそも冒険者ギルドというものは、街の安全を守るために出来た組織が大きくなったもので、スケットの街にあるギルドは支部になるんだって。


各支部によって仕組みは若干違うらしいんだけど、スケットの街の支部は、以前は街の仕事の代行から害獣の駆除などの危険な依頼まで幅広く行っていたらしいんだけど、今や金払いの良い仕事しか受けない状態になってしまって・・・と、話に付き合ってくれた冒険者さんの愚痴が止まらない。


冒険者にとって、モンスター退治、駆除など危険な目にあい怪我をしてしまった間に出来る仕事として、街の仕事の代行というのはとても助かるものらしく、身体を酷使出来ないけど店番は出来るとか、料理を作る仕事だったら賄いなどで食事面も助かるのに・・・と言う愚痴を聞いていたら、急に周りが騒がしくなってきた。


ふとそちらを見ると、かなり慌てた様子で斥候らしき人が戻ってきたらしく、「た、大変だ・・・オークが数体土に埋もれてる・・・もしかしたら亜種もいるかもしれない」との事。


それと同時に大破した馬車もあり、良く見ると、少し先に道らしきものが見えるので、もしかしたらオークなどモンスターの集落があるかもしれない。


これをほっといたら被害が広がる可能性があるので、護衛中で申し訳ないが集落などの確認と、安全かどうかの確認だけさせてもらえないか?とパーティーのリーダーの方が聞いてきたので、快諾する。


「皆さんの安全を守るのが冒険者というお仕事であるのならば、私の事は後回しで構いません、私も多少は武芸をたしなみますので、皆さんで確認してきてください。お願いします。」なんてちょっとカッコつけて言ってみたんだけど、さすがに全員で行くことに対しては反対されて、一人だけ俺の護衛についたんだよね。


で、その護衛についてくれた彼が俺を見て「あんた・・・俺らにこれをやらせたかったんだな」と一言。

先日、宿で話した戦士さんには、他のパーティーの方には私と話した事は内緒にしていてくださいと念を押していたので、この行動を見てようやく納得してくれた見たい。


護衛中に偶然いろいろなモノを発見したという事なら、ギルドマスターの妨害も入らないだろうし、この事を知らないパーティメンバーが善意の行動として、ギルドにこの現状を報告すれば、ギルドという組織側も無下に出来ない状況が出来る。


俺が偶然にもギルドマスターに顔を知られてなかったのが良かったのか?相手に”金持ってる世間知らずのただのおっさん”だって油断させることが出来たから良かったよ。


これで帰ってきたパーティーメンバーが「至急報告を行いたいので、街に戻りたい!」と言ってくれれば、ほぼ成功なので、戦士さんにはお願いだから街に戻らなければいけない空気を作ってね!というと「なんか騙されたような・・・でもこうしないといけなかったような・・・しゃーねーわかったよ!」とふてくされてるよ。


全部終わったら皆さんに何かおごらせてもらうから勘弁してよーと言うと、絶対だぞ!と言って慌てて帰ってきたメンバーを迎える戦士さん。


さて、これから面白いことがはじまるぞ~


ウケケケケケケケケ

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