山かったどーーーーー!!!!!! からの・・・ その1
あれから走って体感で30分くらいで到着したんだけど、走りっぱなしでも全然疲れないって本当にありがたいね。
あとで思いっきり筋肉痛になりそうな気もしないでもないけど、まぁ~緊急を要することが多すぎるんで、今は体が動く限り頑張りたいよ。
とりあえずアデルのお母さんに事の次第を説明すると「あんたら、よくもまぁいろいろ持ってくるもんだねぇ」と半分あきれ顔。
で、やれやれと言いながら「一緒に村長のところに行くからちゃんと説明しといで」との事。
まぁ~毎回毎回お母さんに甘えて相談しちゃう俺が悪いんだけど、お母さんに話すとなんとなく解決の糸口が見えてきそうでついつい甘えちゃうんだよね。この年になっても駄目だね俺。
で、付き添いをお願いしながら村長さんのいるお宅まで行ったんだけど、何やら村長さんのお宅の前で大勢の人が話をしているようで、ちょっとした人だかりが出来てる。
「塩どうするのよ!」
「最近作物もなかなか回ってこない・・・あとどれだけ持つかわからないぞ!」
「最近、隣の村からもなかなか人が来ないし、このままだと俺ら飢え死にしかねない」
「「「「どうするんですか!!村長!!!」」」
そんな血気盛んな村人たち数人をかき分けかき分け・・・村長を見ると本当にげっそりしているのよ。
まるでうちの会社の中間管理職の人間みたいに生気がない状態になってしまっているので、なんだか可哀そうになってきてさ、ついつい口を挟んじゃった俺。
「あ、村長!遅くなって申し訳ない。今取引中の「塩」「食料」の相談に来ましたよ~」なんて営業スマイル作って行ってみると、「あ、マサキさん・・・」と本当に気が抜けてしまったおじいちゃんみたいにうなだれてしまっている。
まぁ~あんだけ人に囲まれて、いろいろゴリゴリ削られているんだろうから、ちょっと助けてやるか~と、さらに「村のために一生懸命金策頑張ってきたんでしょ!私も悪いようにしないからもう少し頑張りましょう」なんてと言うと、周りの人間は「なんだ!ちゃんと考えてるんじゃないか。じゃ、早く済ませて俺ら(あたしら)を安心させておくれよ」といい、そこを立ち去って行ったんだ。
人間現金なのはどこも一緒だなぁ~と思いながら、村長を見ると、その場にへたり込んで動けなくなってしまっていたので、仕方がなくおんぶして部屋に運ぶ。
持ってたペットボトルの麦茶を飲ませて一息つかせると、村長が「もうどうにもならないところまで来てるんです!助けてください」と男泣きしてきたので、事情を聴くと、とんでもない爆弾を投下してきた。
元々このケル村は産業がないただの集落だったのだが、魔族がいる国と高い山を境に隣り合わせているため、国の盾になる意味も込めて高い補助費を支給されていたので、そのお金を使って生活をしていた。
しかし、山で鉱石が出ることを見つけた商人・貴族により、一時的にではあるが産業が出来たため、補助金が打ち切られ、今度は鉱山目当てに村に来るた労働者を相手にすることにより、なんとか生活を送ることが出来ていた。
そして現在。
鉱山は廃れ、また産業がなくなり、国からの補助金も打ち切られた状態。
尚且つ、今まで塩と、ついでにちょっとした食糧を送ってくれていた国も、代替わりして何もしてくれなくなった状態で、そろそろ鉱山で稼いだお金も底を尽きそうになっているとの事。
「・・・ダメじゃん・・・何やってるのよ村長・・・」
そんな話を聞き、俺がボソッとつぶやいたと同時に村長逆切れ!
「アタシだってこんな状態がわかっていつつも、いつも笑顔でいるのが本当に辛かったんだ!首都には何度も陳情書を送っているし、他の村の村長にも頭を下げて何度もいろいろなモノを貸し借りして村を維持しようとしたんだ!・・・だけど、他の村も自分の事で精一杯。もう頼めない!首都も当てにならん!もうナイナイ尽くしで私も限界なんじゃ!!!!!!!!!もうコロセ俺をコロセ!!!!!!!!」
もう涙腺崩壊どころじゃない村長に、軽率だった申し訳ないと頭を下げつつ、背中を優しくなでながら落ち着かせると、えぐえぐ言いながら綺麗なハンカチでチーンなんて思いっきり鼻をかんでから、ようやく泣きやみ、ふぅ・・・と息をつきながら椅子に座る村長。
なんとなく俺とお母さんも対面に座り、どうしようか・・・という空気になってきたので、俺はひとつの提案をしてみたんだ。
「あのさ、村長。俺に山売らないっすか?」
「「へっ?」」
正直、今この村で食料を買うお金も、借りるコネもないじゃないですか。ないない尽くしって言ってるけど、俺、今鉱山跡の山で面白いもの見つけたんですよね。その山でちょっと面白いことが出来そうなんで、良かったらあの左側の山でいろいろやらせてもらいたいんですよ。どうっすか?
そう言いながら、現在用意している塩、砂糖、胡椒の他に、一日時間をもらえたら食料品もそれなりに揃えられるという事を話し、選択肢はないと思いますがどうしますか?と話すと、村長あっけなく陥落。
正式な手続きは、複数人で行うことしたし、山の売り買いの話をした事はお母さんが証人になってくれるということだったので、とりあえず子供たちが待っている山は俺のモノになりそうだよ。
ま、まぁ~本当に山を所有してあれこれして商売というのは考えてないし、異世界人という自分の立場も考えると、この村をどうこうしたりして、落ち着いてきたら、また村に戻すことになるんだろうなぁ~なんてことを思いながらも、村の問題を一つ一つ片付けていこうと、基本的な事を聞いてみる。
そう言えば村長。この村に何世帯何人住んでるんですか?
「大体100世帯、450名くらいかな?」
おっ!さすが村長!さらっと言えてるなぁ~と尊敬しながら、頭の中で何がどれだけ必要なのか?と計算していると、「そういえば、山で何を見つけたんだい?」とお母さん。
そうだなぁ~どうせならみんなに見てもらったほうがいいか~と思ったんで、さっきのメンバー村長・雑貨屋さん・アデル・アデルのお母さんを連れて一度山に戻ろうと思ったんだ。
カミサン待たせてごめんよ~
今行きまする~




