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60 気付いてしまいました

国王が無惨な死を迎えた事が国中に知れ渡った後……、大変ではありましたが今までの苦労が嘘のように順調に事が進みました。




国王が死んで、王妃と側室がその国王を殺したのは事実です。ですが多少の嘘も練り混ぜました。王妃たちと残る王女たちは本当はジルさんが逃がしたそうなのですがこの方たちも死んだと発表しました。王妃たちはまだしも、王女たちは国王の血を引く者ですから、生きているとわかればそれを利用しようとする悪い考えを持つ人間が現れないとも限りません。もしもまた、あの方たちがジルさんの前に姿を現したら……と不安にはなりますが、ジルさんが「そこまで馬鹿じゃないと信じたいんだ」と言うのでジルさんの意見を尊重することになりました。


あれから私はレベッカ様の言葉により集まった国民の前で計画通りにジルさんに祝福をしました。


どうやら前国王はだいぶ国民に課税など苦労を背負わせていたようで、呪いが祓われた王子が新王となることにそれほど反発もありませんでした。なによりも聖女の後押しが効いたようだとレベッカ様が仰っていたので、私は役に立てたようです。


こうしてジルさんは、王族の最後のひとりとしてラスドレード国の新たな王となり……それからこの国は目まぐるしい変貌を遂げることになりました……。













***








青い空がよく見渡せる丘の上に、ふたりでルーナ様の遺骨を埋めました。ラスドレード国の中でも1番景色の良い丘で、ここならいつでもルーナ様が躍れるからとジルさんが目を細めます。


確かにルーナ様には青い空の下で自由にされているのが似合っていると思いました。きっと今もにこやかにジルさんを見守ってくれているはずです。


「ロティーナ、オレはこれからラスドレード国の王としてやっていくよ。母上と同じ流れ者たちがこの国に来るのを楽しみに出来るような国を作ろうと思うんだ」


「ジルさんならきっと出来ます。私も聖女としてがんばりますから」


ジルさんが私の手を握りしめ、灰色の瞳に私の顔がうつりました。


「ロティーナ、オレは……「3年。でいいですか?」へ?」


私が首を傾げて聞くとジルさんが目を丸くしました。もしかして3年《《も》》なんて長すぎたかしら?


「いえ、偽物聖女でもなくなったので、最初の契約通り数年は聖女としてラスドレード国でお勤めをと……あ、やっぱり私は邪魔でしたでしょうか……」


「い、いやいや!そうじゃなくて……!」


いくら私が聖女だとはいえ、ジルさんはこれからラスドレード国の国王になるのです。ジルさんが立派な国王になれば灰眼のことだってそのうち悪い噂も無くなるでしょう。


そうすれば……数年後にはジルさんには各国から婚約の申し込みが殺到するはずですもの。流れ者の皆さんのことなどにも差別の無い理解ある方ならきっとジルさんを支えてくれるはずです。


だからせめてそれまでは……聖女として、もう少しだけ側にいたいと思いました。


 聖女のお役目が終われば私はしがない伯爵令嬢に戻るだけですし、なによりも私の帰りを待つ両親や領地の事があります。だから、3年だけ……この国の復興の為だと理由付ければそれくらいなら許されるかと思ったのですが、浅はかだったかもしれません。


「あ、あの……厚かましい事を言ってしまい申し訳ありませんでした。レベッカ様もいらっしゃいますし、私など偽物でなくてもお飾りの聖女でしたよね……」


「そ、そんなことない!ロティーナはラスドレード国にとって重要な存在で!だから!あの、その!」


なぜか慌てた様子で必死に弁解し出すジルさんの姿に再び首を傾げてしまいました。が、すぐにその理由を察しました。そうか、ここまで来て私をすぐに追いだしたら国民のみなさんのが不審がりますものね。


とりあえず3年は側にいていいそうなので、ほっと胸を撫で下ろしてます。


3年。これから3年は聖女として彼に寄り添える。それがとても嬉しかったです。


私はいつの間にかジルさんの事が……。そんな淡い気持ちに気づき頬が緩みました。


ですがこれから国王となりラスドレード国を背負う彼の重荷にはなりたくないと、その想いにそっと蓋をしたのでした。


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