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47 久々の親子の再会ってこんな感じでいいんですか?

「はじめまして────ふぉっ?!」


「まぁぁぁぁ!なんて可愛らしいお嬢さんなの!?」




ジルさんの過去の話を聞きながら抜け道を通って無事に離れの屋敷についたのですが……。その人物に挨拶をして顔をあげた瞬間、同時にぷにゅっと柔らかいなにかを顔を押し付けられ身動きがとれなくされてしまいました。い、息が苦しいです……!



「ちょっ……母上!?ロティーナを離してください!」


「だって、可愛らしいんですもの!とってもとっても可愛らしいんですもの!こんなに可愛らしいなんて思わなかったんですものぉ!!」


「あまり興奮するとまた倒れますよ!?」


「あらあら、それはいけないわ。せっかく可愛い息子がこんなに可愛いお嬢さんを連れてきてくれたのに、倒れてはいられないわ!でもやっぱり可愛いらしいわぁ!」


「ぷはっ!」


なんとか呼吸を確保して、やっと顔を覆う柔らかいふたつの塊から脱出できました。あまりの弾力に息が出来ませんでしたよ。むっちりポニョポニョでしたわ。


「あ、あの……」


「あらあら、ごめんなさい。嬉しくてつい」


そう言って私を解放してくれた人が、ジルさんそっくりのにんまり顔を見せてくれました。


 その方は想像していたよりさらに絶世の美女でした。目鼻のパーツも、長くてサラサラの銀髪も、まるで神々を書き写した歴史的な絵のような美しさです。


 ただその瞳が灰色なのと、なによりもこの独特なにんまり顔。間違いなくこの人はジルさんのお母様だと確信しました。だってこのにんまり顔があまりにもそっくりなんですもの。本当に瓜二つだわ。


「あ、あの……ジルさんのお母様ですよね?あの、ご病気だとお聞きしましたけどお加減は……」


「あらあら、ありがとう。でも今日は調子がいいのよ。やっぱり可愛い我が子がこんなに可愛らしいお嫁さんを連れて来てくれたからだわ」


「お、お嫁さん?「あら、後ろにも誰か……まさか、お嫁さんがふたりぃ?!」いえ、この子は────」


 ジルさんのお母様の表情が私の後ろで呆然としていたアニーの姿を見て、にんまり顔から驚愕に変わりました。


「まさかジーンルディにモテ期が?!あぁ、でもふたりともなんてそんな不誠実はいけないわ!初恋もまだだと思っていたのにいつの間にそんな人間になってしまったの?!浮気とか二股なんて恐ろしい!」


「母上、落ち着いて!この子は聖女様だから!ほら桃色の髪!よく見て!後ろの子は聖女様の侍女だから!」


ジルさんがなぜか顔を赤くしながら慌てて説明をし始めました。もしかして、本当に初恋がまだなことをバラされて恥ずかしいのでしょうか?


「…………」


 すると、ジルさんのお母様はじーっと私を見て「はっ!」と言葉を口に出して言いました。 そして「本当だわ!聖女様だわ!」とワタワタとしだしたのです。なんだか、お人形のようで可愛らしい動きに見えてしまいました。


えーと、ちょっと……聞いてたイメージと違いますが。お元気そうでなによりです?








***









どうしましょう。ジルさんのお母様がジルさんにお説教をされています……。



「何回も言ってますよね?調子がいいからって無理をするとすぐに悪化するんだから、おとなしくしてるようにって」


「だってぇ、ジーンルディが帰ってきたって使用人さんたちが噂していたから……てっきりお嫁さんを連れてきてくれたんだと思ったんだもの!」


「まったく……オレが嫁を連れてこれる立場かどうかなんて、母上が1番よく知っているでしょう?」


「あらあら、人生なんてどこでどう変わるかわからないものなのよ?例えば聖女様をお嫁さ「今はそれはいいですから!」えぇー……」


ジルさんのお叱りを受けてぷくっと頬を膨らませるジルさんのお母様。どうしましょう、止めた方がいいのでしょうか。


「大丈夫ですよ、聖女様。自分も昔から知っていますがあの方はいつもこんな感じです。まぁ、あの国王たちの前では毅然としておられるので他の者は知らないと思いますが、ジルに会えて喜んでいるんですよ。ちょっとはしゃいでいるようですけどね」


「そうなんですね……」


ターイズさんがそう教えてくれていると、ジルさんが私の方へやって来ました。


「ロティーナ、改めて紹介するよ。こちらがオレの母上だ」


「先ほどは失礼致しました、聖女様。わたしはジーンルディの母であるルーナと申します。お目にかかれて光栄でございますわ」


ジルさんのお母様は元踊り子さんだと伺っていましたが、その美しい所作はあの王女たちよりもよっぽど気品があるように見えました。国王から酷い扱いを受けて、息子すらも“呪われた王子”と呼ばれているのに……この方の心はあの王族の誰よりも誇り高くあるように見えるのです。


「ロティーナと申します。こちらこそお会い出来て嬉しいです、ルーナ様。それとこの子は私の侍女のアニーです」


 アニーの紹介をして視線を向けるとアニーはまだ呆けていました。どうやらアニーはルーナ様の美しさに目を奪われているようで「わぁぁぁ……ルーナ様ってものすごくキレイな方ですね!月の女神様みたい……」と、うっとりした顔で呟いています。アニーの態度をルーナ様が不快に思われたら大変だと慌ててルーナ様に向き直ると……。


「あぁぁ……やっぱり可愛らしいわ!聖女様を今すぐ抱き締めたいわ!」


「母上、手をわきわきしない!お触り厳禁!」


両方の手のひらを広げて指を器用に動かす楽しそうなルーナ様から私を隠すように立ち、ジルさんがひたすらお説教して怒っていました。



 ……ターイズさん曰く「この親子はだいたいこんな感じ」だそうです。





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