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間宮 晴彦の女難  作者: 捻じ曲がり式
災難の始まり
6/6

倉野 伊織という災難④


小鳥の囀りの音が聞こえてくる。朝日が差し込み、瞼の向こう側を明るく照らす。


「ん〜っ…はぁ〜〜。朝か……」


軽く伸びをしながら起床する。鳴る前の携帯のアラームを切りながら時間を確認する。


耳につけたままのワイヤレスイヤホンからは微かな寝息が聞こえてくる。


眠気に微睡む脳が少しずつ活性化していき、昨日の出来事が思い出されてゆく。


そうだった……俺、昨日あのまま寝落ちたんだ。というより寝落ちさせられたんだ。



切ろうとすれば駄々を捏ねられ、飯の時でさえミュートにしてくれ、とどうしても切ることを拒まれた。

挙げ句の果てにあの録音された歌声のような、甘〜〜い声で『だめ?』なんて言われてしまい、繋げたまま寝落ちすることとなったのだ。

恨むぜ思春期。



『伊織ー!朝よー!起きなさい〜』


『……んぅ』


通話の向こう側で、彼女の母親らしき声が少し遠くから響いてくる。


寝覚めは悪くないのか、小さいあくびと伸びの声を漏らしながら彼女は起床した。



『はるくぅん、おはよぅ』


「……あぁ、おはよう」


なんだこの甘酸っぱい感じ。

青春か?これが青春なのか?こんな電波越しにやりとりされるものが俺の青春であっていいのか?



『んへへ、ぎゅー』


「………」


なんだこいつ…寝ぼけてんのか?どういうこと?電話越しで『ぎゅー』ってなに?『牛』ってこと?朝から牛肉は重くない?



『んーん!ぎゅーぅ!』


昨日の夜と同じ、駄々をこねるような声色。


なに?『ぎゅー』って、抱擁?ハグ?のぎゅーってことなの?黒歴史に巻き込むのはやめてください。



『……やなの?』


「すぅーーーーっ、ふぅ〜〜〜」



思春期思春期思春期思春期思春期!

おいバカやめろ!出てくるな!思春期の俺!抑えろ!わからないフリを貫くんだよ!

コラ!こいつの胸とかスタイルのことなんて思い出すな!あのスタイルで抱きつかれたら、胸の感触が……とかそんな不埒なこと想像するんじゃありません!やめろやめろ!昨日のタックルを思い出すな!ここで彼女のノリに付き合えばいつかは本当にハグできるかも……とか邪なこと考えるな!負けるな負けるな負けるな!誘惑に負けるんじゃない!

これ、こんなのやっちゃったらもう−−−−−−



「ぎ、牛〜」


『えへへ、ぎゅー』


………男子高校生って、本当にバカだよなぁ……


俺の初めての女子とのハグは通話越しでした。

女子とイチャイチャできてることに喜ぶべきなのか、通話越しで変なことに巻き込まれてることを悔やむべきなのか……



『伊織〜、起きないと朝ごはん食べる時間なくなるよー!』


『……んぁーい』



間の抜けた返事をする彼女。


『じゃあ、行ってくるね。また学校で…』


「あ、あぁ。いってらっしゃい」



そこでようやく彼女との通話は切れた。

跳ねるこの鼓動は、恐怖からなのか好意からなのか、恋愛経験値ゼロの俺には分かるはずもなかった。




○●○●




教室に入る。倉野の方を見ると先についていたみたいで、いつも通り気配を消してこぢんまりと席についてる。

こちらに気付き、軽く手を振ってくる。


俺も同じように返してやる。

髪の毛に隠れて表情は見えづらいが、まぁ嫌な顔はしていないだろう。


普通に挨拶すれば良いのに、と思ったが、彼女の控えめな性格を考えるとこういうものか、と納得する。


……じゃあ昨日の電話でのはっちゃけ具合は何なの?という感じではあるが。




「はよーっす」


「はるっちおは〜。どだった?昨日はイチャイチャ出来た?」


「………」


「え、冗談のつもりだったんだけど……まじ?」


「お前……すごいな」


いつもは考えられないほど表情豊かに驚きを示す倫太郎。


お前、こう言う時にレアな表情を見せるな。そう言うのは好きな女の前でやりやがれ。



「……もう付き合っちゃえば?」


「なんでそうなる!?」

幾ら何でも流石に展開が早すぎるだろ。


「だって、『可愛いなぁ〜』って思ってるんでしょ?一回付き合ってみるのもアリじゃない?サブカル趣味の彼女は、なんだかんだ一緒にいて楽しいってなる男の人多いんじゃない〜?」


あれが『サブカル』なんて単純な言葉で片付くようには思えない。

他人事だからって無茶苦茶言いやがる。

こいつ、もしかして俺で遊ぼうとしてないか?



「おい、間宮」


いつメンでわちゃわちゃしていると、後ろからあまり聞きたくない声がかかる。



「……北条、何だよ。まずは挨拶からだろうよ普通」


「君、良い加減にしなよ」


『わ〜お、ブチ切れ〜』と小さく呟く萩原。北条に睨みつけられ倫太郎の後ろに隠れる。


逃げるなら煽るな。


「おいおい、随分とご機嫌斜めじゃねぇかよ。俺が一体何した?」


「君、また女子に告白したんだってね……しかも気の弱そうな倉野さんに」


「……は?」


俺はその言葉が理解できなかった。




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