エピローグ それから
あれから数か月。
ソフィアは、聖王大聖女としての日々を送っていた。
相変わらず忙しい毎日ではある。
外交。
教会運営。
災害対応。
光魔法の研究。
教皇補佐。
以前と比べれば仕事はさらに増えた。
それでも。
肩書きの重圧を感じながらも、その一つひとつへ、少しずつやりがいを見いだせるようになっていた。
そんなある日。
執務室の扉が軽く叩かれる。
「失礼します」
秘書が一礼した。
「ソフィア様」
「先日発表された光魔法の研究論文ですが、大変好評とのことです」
「王立魔法学校が『光魔法学部』の新設を決定いたしました」
ソフィアは目を丸くする。
「えっ?」
「ぜひ、現代最高峰の光魔法使いであるソフィア様へ、客員教授をお願いしたいそうです」
「…………」
ソフィアは固まった。
秘書は淡々と続きを読み上げる。
「それと」
「エルフ国、ドワーフ国、そして五大竜国より外交要請が届いております」
「ぜひソフィア様ご本人にお越しいただきたいとのことです」
「…………」
さらに書類を一枚。
「こちらは王都病院から講演依頼」
「こちらは聖騎士団から光魔法講習会のご依頼」
「こちらは――」
「ま、待ってください!」
ソフィアは思わず立ち上がった。
「それ……」
「私一人で全部できると思ってます?」
秘書は少しだけ首を傾げる。
「皆様、ソフィア様ならできると」
「そんなぁ……」
ソフィアは机へ突っ伏した。
(それこそ……)
(元大聖女のあの方々の方が適任なのに……)
本人の嘆きをよそに、机には新しい書類が一枚、また一枚と積み上がっていく。
ソフィアは天井を見上げ、大きく叫んだ。
「普通の女の子になりたいよーーー!!」
その叫びは今日も教皇庁へ元気よく響き渡るのだった。




